43.ゲームの始まり。
魔法学園に入学早々の話です。
15歳になり、社交界デビューをして、アルカディア王立魔法学園の入学試験も無事通過して、晴れて学園に通う事になりました。
・・・にしても、ストーリー補正というものは凄いと思う。私の所属するクラスはA組。一番保持する魔力が高いクラス。そして、決められた席順がとても私には厄介なものでした。
私は後ろから2番目の席ですが、私の左隣がルーク、その前にいるのはジル様。ルークの後ろがリード様。私の前にいるのはレイス、後ろがリュート様。私の右隣が、SECRET LOVERS~私を取り巻く王子様達~の主人公、アリア。その後ろが続編の主人公、アリスである。
・・・なんですの!!これはっ!!一体、どういう基準で私の周りに関係者・・・というか、ヒロインに攻略対象が密集していますの!!確かに、悪役令嬢がヒロインをいじめやすい位置かつ攻略対象がヒロイン達を守りやすくなる位置なのですが、これは、ないでしょうよ。
何気に笑顔で挨拶してくるルーク。こちらの内心を気にしていない様子。
「おはよー。フローディアさん。これから3年間よろしくね。」
「・・・おはようございますわ。」
これから、気分が落ち込んできそうだわ。ルークの言葉通り、3年間、余程の事がない限り、クラスは変更できないし、決められた席順も変わらない。
思わず、机に突っ伏してしまう。・・・これだから、嫌になってくるのよね。前にいたレイスが声をかける。
「あれ、フローディア調子悪い?」
「・・・ただ、気分が乗らないだけだわ。心配しなくても平気よ。」
そう言うと、ルークが疑問をぶつける。
「フローディアさんなら、生徒会に勧誘されるかと思ったのに、調子悪かったの?」
後ろからリュート様が口をはさむ。代わりに答えてくれるようだ。
「いえ、これに関しては完全に手を抜きましたね?フローディア様?何で、貴方が全教科平均点、ちょうどど真ん中の成績を取っているんですか!!完全に生徒会に入りたくないからでしょう!!」
だって、攻略対象が勢揃いする生徒会には入りたくないもの。ハルキはストーリー通り生徒会長に就任したし、副会長だってゼクス様に、デミス様。書記にはジル様。会計がリュート様。庶務がアリア。
私は思わず、話を逸らす。
「ルークはクラスの学級委員会に入るなんて、流石ね。あなた、そういうのに長けていそうだものね。」
「そういう、フローディアさんはリード皇子と同じ保健委員会に入ったんだよね。レイスは美化委員会だっけ?」
「そう。花を手入れするのは好きだから。」
レイスはつい笑顔を浮かべている。・・・本当に花が好きなんだなぁ・・・。好きな事がある人間って素晴らしいと思うのよね。私にはレイスみたいな好きな事に挑戦する機会がないからな。この世界に転生してから、友人がいないのよね。
・・・会話に参加したがっている右斜め後ろのアリスがたまらず、私に挨拶をする。
「私は!アリス・リリスです!!よろしくお願いします!!」
「ちょ・・・アリス!!相手は貴族の方よ!?いきなりは失礼じゃないかしら?」
思わずアリアがアリスに注意する。アリアはアリスとは違い、内向的である。双子でこうも性格って違うものかしら?アリスは社交的なんだよね。
アリスはアリアに文句を言う。
「こういうのは声をかけない事には友人だって出来ないでしょ?まず、席の近くにいる人から仲良くならなきゃ。・・・あ、こっちにいるのは双子の姉、アリアです。」
私は、紙にある言葉を書いて、2人に見せる。
「あなたたちはこれが何に見えますか?」
アリアとアリスは紙を凝視するも、何が何だか分からない様子。・・・へー?まるで、この”文字”が読めないって反応ね。紙にはこう書かれている。
『SECRET LOVERS~私を取り巻く王子様達~っていう乙女ゲームを知りませんか?』
そう、”日本語”でね。
アリアとアリスは申し訳なさそうに謝罪する。
「「ごめんなさい。分からないです。」」
この2人は転生者ではないのね。それは、本気でこの文字を理解していない様子から見て取れる。なら、私が言うべき言葉はただ一つ。
「アリアさんに、アリスさん。どうぞこれからよろしくね。」
2人とは仲良くできそうだ。
ネタバレをここで言うと、アリアとアリスは本当に転生者ではありません。この世界の転生者は遥と悠生だけです。これは、最初から決めていた設定です!!




