39.アズウェル皇国の闇4。
前回の続きです。論破って難しいですね。私には到底出来ない。
「この遺体は死後間もないというのに、黒い靄がかかっていないの。きっと、闇魔法の適性がなかったって事だわ!魔法を取り込もうとして、失敗するって事は靄は蒸発する。それに、リード様の警備は厳重なものだわ。その者がどうしてそもそも誘拐されたのよ?・・・貴方は知っているでしょう?リード様の警備は厳重な事。」
口を噤むクローディン皇子。でも、決定的な事は何一つ相手の心に刺さっていない。・・・そう、事の発端はクローディン皇子が闇魔法を使えるって事を証明しなくては!リード様の誘拐事件は、その為の状況証拠。突き詰めていけば、ボロが出るかも。落ち着け!私!
「つまり、5年前にこの者はリード様に闇魔法をかけられなかった証拠であり、第三者による者の関与があり、それはリード様の近くにいても不思議ではない人物だったって事よ!!」
クローディン皇子がついに業を煮やす。
「もう、うるさい、うるさい、うるさい!!・・・リード、お前がいなければ、私は次期皇帝になれたかもしれないのに!」
えぇっ!?ここで、業を煮やすの!?クローディン皇子はリード様に闇魔法をかけようとする。私は強く叫ぶ。
「リード様!気を強く持って!!乗っ取られないぞと思えば、闇魔法なんて打ち砕けるわ!!」
「喰らえぇぇぇ!!!眠れ、永遠に!!その命が尽きるまで!!」
リード様に黒い靄が覆う。けれども、私の言った通り必死になって抵抗している。そして、ルークは”聖なる炎”で対抗しようとしている。しかし、クローディン皇子の執念は凄く、ルークの魔法だけではその効力を打ち消す事は出来ない。
”黒狼”は私が持っていた魔法石を手に取り、ルークの手に握らせる。ルークの魔法により勢いが増す。・・・!?そうか、魔法石は魔力を大きくさせる為の補助道具。この際、アズウェル皇国の法律を破っても仕方ない。これは、正当防衛だわ!
クローディン皇子はリード様からターゲットを変更する。そう、私に向かって、闇魔法をかけようとしてきた。
「まずは、女。お前からだぁぁぁ!!」
「・・・!フローディア様、危ない!!」
私の前に立ちふさがったのは、私の愛する人。リュート様。リュート様は両手を伸ばして、私から闇魔法の攻撃をその身で受ける。・・・けれど。
「何故だ!?何故、闇魔法が効かない!?」
「あははっ・・・。その言葉が聞きたかったのだわ。その理由を特別に教えてあげる。リード様もリュート様も闇魔法にはかからないのだわ。・・・だって、一度闇魔法を喰らっているから。一度闇魔法を喰らえば、耐性が付き、かかりにくくなるのだわ。それでも、かけたいなら、かけたいと思っている人物の保持する魔力以上に魔力を消費しなくてはならない。」
ルークはついに”聖なる炎”で、闇魔法の効力を打ち消す。炎はクローディン皇子を包む。たちまち、クローディン皇子を、包んでいる黒い靄を燃やし尽くした。・・・これで、闇魔法を使えないはず。クローディン皇子はその場に倒れた。きっと、身体を壊してしまうのね。
リード様は小さく呟く。
「・・・どうして、兄上は皇帝にそんなにも固執する・・・。」
リュート様も私の元に駆け寄って、私の無事を確認する。
「フローディア様にお怪我はありませんか?・・・自分の見える限りでは、怪我はなさそうですね。」
ジル様も少し落ち着いたのか、ホッと一息吐くが、遺体の傍にいる為にいかんせん気分が良くならない。今にも吐きそうである。”黒狼”はジル様を連れて、一旦その部屋を出る。
・・・正直、アズウェル皇国の闇は思っていた以上に大きかった事を身をもって知らされた。
一応、アズウェル皇国の闇。終了です。




