38.アズウェル皇国の闇3。
前回の続きです。
まさしく、現れたのはクローディン皇子だった。リード様は毅然とした態度で臨まれる。
「これは、どういう事か説明していただけますよね。」
クローディン皇子は鼻で笑う。
「何の事やら、私には分からないな。それに、何故このような場所にいるのかも理解できないな。」
「それは、貴方も一緒でしょう?兄上がここにいる理由も私には分かりませんよ。それに、私が部屋から抜け出した事を知っているなんて、おかしい事ばかりではございませんか?」
おっと、話に入っていけない。今、2人の間には目では見えない炎がバチバチとぶつかり合っている。ここで、クローディン皇子の闇魔法が使えなくなったら、好都合なのに。
「・・・おっと、こちらのお方はリードがお呼びした方だよね。何故ここにいる?」
まずいな。それをつかれると、こちらの立場も、リード様の立場も危うくなる。何か、ないか・・・?気を逸らすような言葉を。
・・・?クローディン皇子を黒い靄が覆っているような。そんな気配がしてたまらない。確か、12年前にレオン様をお助けした時も、レオン様には黒い靄が覆っていた・・・。それを思い出してしまった!レオン様は、リュート様は闇魔法を使わない。つまり、闇魔法をかけられたって事だわ。そして、私はレオン様をおぶさって、自邸に戻った。当然、黒い靄は私をも覆ったはず。やけに、レオン様は体重以上に重かった。きっと、あの時かけられた闇魔法が強くて、私も魔法を使用しなければならなかった状況にあったって事だわ。つまり、私にも闇魔法にはかからないって事かしら。
なら、強気に出る!
「・・・あら、貴方。闇魔法を使うのね。魔法が使える私達には、貴方に黒い靄がかかっているのが見えるの。それは、闇魔法を使う者、あるいは闇魔法をかけられたって事。・・・でも、後者は一時的なものよ。でも、貴方はそれに該当しない!貴方は闇魔法の使い手よ!」
クローディン皇子は終始表情を崩さない。涼やかそうに言葉を返す。
「ここに、不法侵入した者が何を言うのかと思いきや、そんな事ですか。でも、私は魔法を使えないのですよ?魔法をかけられたと考えるのが筋ではないのですか?」
くっ・・・。正論で返されるか。でも、ここは論破しなくちゃ。リード様達に迷惑をかける訳にもいかない!
「・・・いいえ。貴方は5年前にリード様に闇魔法で眠らせたわ!そして、誘拐させた。それが出来たのも貴方だけだわ!」
「あれは、リードの魔法の教育者が起こしたものでしょう。・・・私には関係ない。」
くそっ・・・!でも、設定集を隅々まで読んだ私の記憶力をなめないで!
「・・・これが、証拠よ!」
私は近くにあった手のひらサイズの赤い石を手に取る。そして、その近くに人が転がっている。その人は穴という穴から血を噴き出して亡くなっている。死後、そんなに経過していない。
「これは、幼い頃にリード様が身に着けていた魔法石だわ!魔法石は魔法が使えるが、魔力が少ない者に渡される補助道具よ!つまり、これを持っていたこの者こそがリード様の元魔法の教育者!」
「ふん。その石ころで見た事ない人物を語るな。それに、それがリードの物かなんて、分からないだろう?」
私はその魔法石をひっくり返して、アズウェル皇国の紋章を見せる。
「これが、皇族以外の持ち物だとでも?紋章がついているのを身に着ける事が出来るのは、皇族以外にいないと、アズウェル皇国の法律で決まっているわ!それに、これはリンドウ鉱石ね。アズウェル皇国原産ながらも、アルカディア王家の御用達の一品。このサイズの物になると、かなりの値段がするわね。けれども、アズウェル皇国の紋章付いていて、これを身に着ける事が出来たのは魔法が使えたリード様以外にはいらっしゃらないの!」
その意味を理解したようか、少し顔を歪ませる。でも、これだけじゃクローディン皇子を追い詰める事はできないわ!!
「でも、この者は皇族ではない。どう考えても身なりで分かるもの。きっと、闇魔法の儀式を執り行おうとして亡くなったのね。じゃなきゃ、こんな酷い死に様、他にはないもの!」
・・・どうしたら、クローディン皇子を追い詰める事が出来るの?そして、これはSECRET LOVERS2~私を取り巻く王子様達~のアリスがリード様に助けられる時の状態に酷似しているわ!そう、これはリード様が論破した内容。もう、ゲームは始まっていると言うの!?
ほのぼの詐欺です。




