30.実兄、登場。
これは前々から決めていた設定です。
神崎悠生。それは、前世での私の実兄であり、享年19歳。大学生であった。あれは、一緒に学校に行く途中の出来事であった。暇だった兄と私の通う高校まで向かっている最中、私達は交差点で赤信号の為に待っていた私達。私は乙女ゲーム、SECRET LOVERS~私を取り巻く王子様達~の話を兄にしていた。
兄は嫌々聞いていたが、私は構わず熱心に話していた。その時、赤信号を無視してきた暴走車が私達を襲う。私達はその車に撥ね飛ばされて、この世から離れる事になったのである。仲が良かったと言えば、私達は仲がよかったのかもしれない。
そして、今目の前のいる少年。名を、これまたハルキ・コンフォートと言う。前世と同じ名前なんてきっと、神様の悪戯ね。
ハルキ・コンフォート。アルカディア王立魔法学園の生徒会長に就任する予定のキャラ。最高学年である。つまりは、2歳年上である。私達はゲームが始まる頃、1年であるがこのキャラは3年生であり、真面目でガリ勉タイプ・・・というか、どこぞの風紀委員みたいな勤勉さを持つキャラである。青髪で眼鏡をかけているのが特徴的。コンフォート公爵家の跡取りである。
悠生も高校では生徒会長だったもんね。成績も優秀で確かに、ピッタリな役柄なのかもしれない。私は乙女ゲームをするのに忙しかったけれど。
「遥。お前だったのか。お前はその役って悪役令嬢だよな?」
「ご明察ですわ。悪役令嬢、フローディア・フランソワーズですわ!!」
「うぇ・・・。お前のその口調、気持ち悪い。」
本当に吐きそうにならないでくださいまし!私だって、好きでこの口調ではないのだわ!!
「あらぁ?失礼デショ。・・・確か、あなた他に婚約者がいるのではなくて?その人の元に向かわなくてもいいのかしら?」
「あっ、いっけね!また、連絡する。」
ハルキはこの場から去る。私は立ち上がる。・・・全く、レディーが倒れたら紳士的に手を差し伸べるのが常識ではなくて?それにしても、前世の私の実兄の登場か・・・。これは・・・厄介ですわね。果たして私を助けてくれる存在になるのかしら?でも、他に”転生者”がいるのは好都合だわ。それが、ましてや私の実兄なんて。あの人はストーリー通りには動かない人だもの。シナリオブレイクするにはちょうどいい人材。
・・・今回のお茶会では随分と収穫が大きかったですわね。陽気に自邸に戻りましたの。それから、数日後。本当にハルキは手紙をよこしてきた。内容はざっと『この世界はメンドクサイ。あと、俺はゲーム通りには動かないからな。ゲームの内容を詳しく教えてくれ。』だそうな。しかも、ご丁寧に”日本語”で書いてくださって、誰も内容が読めない。私以外はね。
本当にハルキは人使いが荒いのだから。なので、箇条書きでゲームの内容を書き綴った。勿論、”日本語”でね。私は書簡を送ると、ホッと一息。
そして、私はセイレーン侯爵家を詳しく調べる事にしたのであった。
今回の話は短いです。




