番外編.リュートの憂鬱。
いきなりの番外編。
俺はリュート・ランフォードという名前である。現在、8歳である。誕生日は不明の為、フローディア様と同じ日に生まれた事になっている。俺は赤子の頃、フランソワーズ家の屋敷の玄関にフローディア様と眠っていたらしい。だから、俺は本当の両親を知らない。
その為に、俺はフランソワーズ家で生活をしている。旦那様方は俺をフローディア様の義兄妹にしようとしていたみたいだが、お世話になっている以上、この家で仕えると決めた。これは・・・俺の意思だ。そして、俺の仕えている不思議な少女、フローディア様の話をしよう。
フローディア様は聡明な方である。年齢の割に、考えはしっかりとしており、勉学も魔法の実力も年相応のものとは言えず、天才的な才能に恵まれた方だ。しかし、事あるごとに俺に愛の告白をしてくる為、フローディア様にはもっと色んな方と接すればいいのにと思ってしまう。けれども、その反面嬉しいと思ってしまう自分がいる事に気付いた。フローディア様を独占したい気持ちに駆られる時もある。
あぁ、認めたくはないが、俺はフローディア様を愛しているのだと、思う。この気持ちは生涯隠さないといけないと思った。・・・俺とフローディア様の間では、身分に大きく差がある。俺の想いは成就させてはいけないのだと実感する。
だが、6歳の時に王族の主催するお茶会に参加した。フローディア様はあまり我儘を言わないから、お茶会に参加したいと申された時は非常に驚いた。そんなにも王族に興味があるのかと、少し落胆してしまったが、エスコート役に俺がついていく事になり、正直驚いた。
しかし、驚いたのはそれだけでない。お茶会に参加した理由は王族に関係する事ではあったが、まさか、生まれて半年の赤子であった第四王子のレオン王子の誘拐事件について調べる為に王城に足を踏み入れたのだとは露知らず。俺はいつも傍にいたのに、フローディア様の事を知らなかった事に驚愕する。
ほんの一瞬だけ俺は誘拐されたレオン王子かと思った時期があった。それは、レオン王子と俺は同時期に入れ替わるように、行き違いになったからである。レオン王子が誘拐された時期と、俺がフランソワーズ家に引き取られた時期がちょうど重なるのだ。しかし、俺がフランソワーズ家に引き取られた時期の方が、レオン王子が誘拐されたと発表されたよりも早かった事、レオン王子はアルカディア王家の血筋で、彼もまた王族の特徴的な”金髪碧眼”の持ち主である事に気付き、少し恥ずかしい思いをした。俺は黒髪で黒い瞳を持っているからだ。俺はレオン王子とは似ても似つかない。
その日のお茶会で、ジル王子に会った時の様子はとても奇妙であった。フローディア様が珍しく動揺していた。その顔は『まるで、出会いたくなかった!』と言わんばかりあったからだ。何故だろう?普通の貴族令嬢は王子との出会いはチャンスだと思うはずだ。でも、フローディア様は違った。
やはり、ジル王子の前でもレオン王子の事を聞いたのであった。フローディア様はそこまでレオン王子に固執するのかと。何故だとは聞けなかった。ジル王子との邂逅後、庭園を散策している途中、怪しい輩を見かけた。正直、それに気付いた時、フローディア様は自らその輩に近寄って行ったのだ!止める暇もなく、仕方なくこちらもついていく。フローディア様のその素晴らしい風魔法のおかげで、怪しい輩からはこちらの姿が見えない位置で話を聞く事が出来た。けれど、フローディア様はそれが特別だとは思っていない様子。普通は出来ない事を為し得ているのに、話を聞く事に夢中で自身の恵まれた才能の開花に気付かない。
怪しい輩からの情報に終始怒り気味であった。隣で聞いていた俺も胸糞悪くなった。”賭け”の為に、誘拐されたレオン王子。そして、更なる犯行予告。怪しい輩がその場を離れて、正直に胸の内を話した。フローディア様も意気消沈してしまった。
少し続きます!




