18.ルーカスの登場。
やっぱり、説明回から始まる。
ルーカス・スラッシュ。このアルカディア王国の英雄と称されるダン・スラッシュの孫。身分は平民ではあるが、彼は祖父譲りの炎魔法を使用する。彼は祖父のように魔法騎士になるのが、夢である。しかし、周りの期待というものは彼を苦しめるものになる。勿論、周りの期待には最大限応えたいと思っている。けれども、彼には弱点がある。それは”暗闇”が苦手という事!魔法騎士たるもの夜に仕事をする事もある。しかし、彼は平民という事ではあるが、気さくな性格。しかも、貴族たちにも人気がある彼。そんな悩みは当然他人には言えない。
ゲームでは、ヒロインが彼と接して、彼の笑顔の裏に隠しているものを暴いていって、恋に落ち、彼の長年の悩み、コンプレックスを克服していくー・・・。
ちなみに、私の立ち回りはただ普通に彼に惚れて、ハッピーでもバッドでも行方知らずになるという、何とも平和的なバッドエンド。しかし、破滅フラグの持ち主には安易に近付きたくないというのが本音である。
ともあれ騒ぎは解決した。ジル様はしばらく考え込むとルーカス様を連れてくるように警備の者に指示した。えっ!?破滅フラグが来るの?それは、つい表情に出てしまった。レイスは不思議に思う。
「あの少年に会うのそんなに嫌なの?」
「べ、別に・・・。それより、あの犯人が使っていた魔法は・・・。」
ルーカス様がジル様を見ると、少しビビっていた。そりゃあ、いきなり王子と対面なんて驚くわよね。しかし、彼は気さくにも話しかけてくる。
「・・・えっと、ジル王子。俺に何か御用でしょうか?」
ジル様はじっとルーカス様を見つめる。そして、にこりと笑う。
「・・・失礼ですが、魔法騎士のダン様のお孫さんですか?ダン様に何となく雰囲気が似ているなと思って。」
「・・・はい。おそらく、ジル王子の言っている通りだと思います。」
「そうでしたか。この度は大変お世話になりました。良かったらこの後王城に来ませんか?お礼もしたいと思っておりますので。」
ちょっと、待って!!それ、私も当然付き合わないといけないのかしら?そうよね。それに、闇魔法ね。あれもゲームのどこかで出ていたような・・・?早く自邸に戻りたいわ!
ルーカス様をお連れして王城へ。ルーカス様は初めての王城に興奮気味。私は内心ビクビクしている。とある一室に私達を招き入れると、ジル様は端を発した。
「皆さんをこちらにお呼びしたのは先程の事件の事についてです。何故、ダン様のお孫さんに力を借りてまでもあの者を捕らえられなかったのか。それについて、お伝えする為です。」
私はかすかに手を挙げる。
「あの、いつまでも彼をダン様のお孫さんと呼ぶのはやめましょう。彼だって、きっと名前はありますから。まず私から改めて自己紹介致しましょう。私はフローディア・フランソワーズと申します。こちらはリュートにレイスですわ。」
私は順にリュート様とレイスを紹介する。そうすると、彼も緊張が少し解けたのか、自己紹介に入る。
「あの、俺はルーカス・スラッシュです。近所の人達にはルークって呼ばれています。どうぞよろしくお願いします。」
「あぁ、こちらとしては少し話を急いていたようですね。フローディア様、申し訳ない。・・・こちらの方はリード・アズウェル様。隣国のアズウェル皇国の皇子です。」
ジル様は私に頭を下げると、リード様を紹介する。ルーカス様もといルークはとても驚いていた。
「えぇ!?アズウェル皇国の皇子?俺、初めて見た・・・!マジでスゲー。」
リュート様は静かにルークを叱る。
「ルーカス殿?ここは公式の場に近いのですよ?言葉はお選びになった方がよろしいのでは?」
ルークはしゅうんとしてしまう。可愛いワンコ系男子!私、こういうのにはとことん弱いのよね。こう、なんていうか守ってあげたくなるような感じ。たまらない。私はふるふると震えてしまう。しかし、レディーの嗜みとして顔はうつ伏せで見せないようにする。きっと、今にやついてる。手を口元に押さえる。
その様子を誰にも気付かれなかった様子で助かった。ジル様は仕切り直す。
「・・・それでは、話を戻しましょう。先程、彼の者が用いていた魔法ー・・・。あれは、国で禁じられている闇魔法です。」
思ったより話が進まなかった・・・。




