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えーと、ごめんちゃい


更新空いちゃうなぁ〜理由は……ゲームに言ってください。俺悪くないw

 19



 寝息が聞こえるクラスでは血の匂いが充満していた。


 それも濃くて生臭く、死の凝縮されたようなも思わず鼻を塞ぎたくなるような激臭だ。


 その中でクラスメイトたちは何食わぬ平然とした顔で一切も話さず、一切も動かず殺気を放っている。

 連日戦闘続きで皆疲れているだろうにその殺気だけは1片たりとも欠かさなかった。


 何故か?


 それは、そこにいるたった1人の女から発せられる尋常で計り知れない程の濃密な殺気が溢れ出ていたからだ。



「……」


「なぁ、アイツやばくないか」


 ヒソヒソと聞こえるか聞こえないくらいの小さな声でそんな会話が聞こえてくる。


 彼女から発せられる殺気に気圧されそうになる彼ら彼女らは眠たいのを押し殺し対抗するためだけに殺気を表すのだ。



「ねぇ、夜見……貴方殺気凄いわよ?」


 命美は、夜見の耳にしたうちし気だるそうに机に体を倒す。

「そんなこと言っても仕方ないじゃない……体質的なものなんだから」


 と、夜見は面倒くさそうに肩をすくめる。


 相変わらずいびきがうるさいデブはぐがぐかといびきをかきながら爆睡……。


 ある意味特異点と呼称しても問題は無いだろう。


「体質って……そんな体質聞いたことないわよ。殺気が漏れ出る体って……どんな生活して来たらそうなるのか少し教えて欲しいわ」


 夜見は首をかしげ頬に指を当てた。少し悩むとポツリポツリと語り出した。



「えーと、とりあえず両親が死んで、祖父をなんか暴走? しちゃって殺して。それから今の師匠に旅に出ろとか言われて一年間鬼を殺しまくりながら飢餓に飢えてた? そんな感じかな」


「…………いや、そんなのほほ〜んみたいな口調で語ることでは無いと思うのだけど」



 夜見の過酷過ぎる生い立ちに命美はドン引きするのであった。


 ガラガラ


 教室の引き戸が開く音がした。何年も使われているのだろうが、又は血で滲んで開きにくいのかは分からないがとにかく重い引き戸を軽々と開けて出てきた先生……。


「おや、誰一人として欠けなかったですか、今年は優秀な人が多いのですね。素晴らしいことです。さて、皆さん。これから3年間私が全ての科目を受け持つことになりました。皆さんには適度に苦しんで、適当に死んで間引かせて貰います。なので必死に食らいついてきてください。あと、そこで爆睡しているポークはなんですか? ゴミですか?」


「せんせーこのデブは粗大ゴミです。空き地に捨てるといい肥溜めになるかと」


(ちょ、ちょっと夜見ちゃん?!! 仲間をそんなゴミみたいに。結構活躍してくれたと思うんだけど!)


 そっと、サムズアップを決める夜見の目には一片の曇りがなかったと後に美命は語るという……。


「そんな御託はいい。授業を始める。いつまで寝ているつもりだ。寝る時間はとっくに過ぎた起きろ肉塊お前の晩ご飯は」



「!!晩御飯」


 ケラケラとクラス中が笑う中デブは当たりを見渡し肩を落とした。


「なんだ……まだ朝か」


 そんなことを呟けるほど今のこのクラス内は落ち着いてきている。先程の夜見の殺気は何処やら。生徒たちは先生の話を……き、聞き?


 各々各人の武器を出し手入れを始めた。その異様な光景に誰一人として口を挟まずただ淡々と黒板に文字が辛なってゆく。


「であるからして……」

 キーンコーンカーンコン


 時計を見ると12時を刺している。

「今日は、これまでとする。各々各自解散して明日の授業に備えなさい。でわ私はこれにて」


 それだけを言い残し先生は教室から出ていった。

 今日やったことと言えば基本的な国語や算数、あと……武器の出し入れについてくらいだろう。

 本格的な武術の鍛錬や研磨は遠分先なのだろうと誰しもが思った。


「あーあ、やってらんねーぜ……こんなだるいことばっかやってると腕が訛っちまうおい、そこにいるクソ女さっきは殺気ばら撒きやがってこっちの身にもなれってんだ。ぶっ殺すぞ」



 机に足を置き茶髪の男は唸る。

 腰にある獲物に手を伸ばしそっと引き抜いた。刃渡り80センチはあろうかというその剣。柄は腐りところどころ錆び付いているようにも見えた。

 だが、そこから発せられるおぞましいほどまでの呪いの衝動は並大抵のものなら失禁してぶっ倒れているだろう。


 だが、ここにいる全員は常人のそれをかなり逸脱している。いや、これは周知の事実である。


 禍々しくも美しく映えるその剣を夜見の方へ向けカタカタと剣を上下させ挑発をした。


「お前もその腰にぶら下げてる刀を抜け。さもないと無抵抗のまま首を切り落とす。ここにいる全員がお前のせいで殺気立っている。その詫びひとつくらい入れろや」



「ちょっとあんた達いい加減に……」



「その必要はない……」


 椅子から立ち上がった夜見の左手には時すでに刀が握られていた。誰も彼女が抜刀した姿を見てはいない。いや、そこから半歩動き男の喉元に刀を向けた動きを捉えた物も数少ないだろう。この特異点となるこの教室にいる子ら全てが把握出来なかった動き。


「やるってんなら上等だ。表出ろお前のその仏頂面叩いてメスの顔にしてやるよ。過去のお荷物みたいな家紋背負って恥ずかしくないのやら」



「今は家の名前を語っている場ではない。貴様の命の問題を話し合っている」



 男は窓を開け外に飛び出す。相変わらずの血の着いた草むらは滑りやすい。反吐が出そうになるほどの汚臭。思わず目を背けたくなるような内蔵。


 そんな地獄と言うには生ぬるい異様な様を諸共せず男はさらに挑発を、かける。




「こいよ、遊んでやるよ」

「墓に刻む言葉でもかんがえてろ」


 二人の間から発せられる熱源に似たその焦げ臭さは益々強くなる。


 飛び出た夜見は地べたを一瞥し語りかける。


「私は人を殺めたことがある。お前は5人目だ」


「ふっ、人を殺したとてなんになる。俺たちは……鬼を殺すために作られてるようなもんだ。だから、ここで将来鬼になるかもしれない危険分子を取り除くのは俺の、いや、俺らの仕事でもある。だからよぉ、夜見……お前をーーころす」

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