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「うぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
湧き上がる殺意と、蒸し返すような血反吐か夜見の体を駆け巡る。
電撃が走ったかのようなその痛みが体を不自然にくねらせる。
まるで、あの時のように。祖父をなぶり殺しにした時のような感覚が、麻痺しかけていたあの、敵を殺せと言わんばかりの衝動が心の奥底から夜見に問いかけるのだ。
『殺せ』と……
紛うことなきその、殺意は赤い霧となって顕現する。
全てを飲み込み殺し、自身の糧とするその狂気は、見るもの全てを死へと誘うのだ。
「夜見! 待て早まるな何故か分からないかそれだけはダメだ!」
デフは必死に声をかけるが、その声は虚しくも鬼たちの奇声によってかき消される。
「複直術式! 陰鉄封梱」
美命が投げた短剣が夜見の背中に浅く突き刺さる。
だが、それはいくら引き抜こうとしても抜けない呪詛の刀身。
「世話かけさせんじゃないわよ」
赤くなりつつある夜見の目は次第に元の黒へと戻って行く。
「ごめん……」
「謝る前にその刀を振れ!!」
眼下にはまだ敵対する鬼たちがいる。それを狩りつくそうとしていた事を今の今まで忘れていたでは無いか。
歯茎の奥から破裂した水道水のように吹き出る血を諸共せず、夜見は突っ込んた。
「うぉ!!!!!!」
雄々しき声に、鬼たちは一瞬怯む。
だが直ぐに建て直した
(さすが、伊達に殺してはない)
歯と歯がぶつかり合い金属音に似たかなきり音をを小さくならす。
振り下ろされた刀は、鬼を深く深く切りつけた……。
◇
夜が明けた。
ゾロゾロと生徒たちが教室へ戻る様子が伺える。その一団に夜見たちは並んでいた。
その手には鬼の首が引っ下げられており見事課題をクリアして見せたのだった。
「でわ、諸君。昨日の夜は楽しめたかな? 若干遊びすぎて軽くひねられた雑魚が混じっていたようだか、概ねそこはいいだろう。諸君らは晴れてこの学校の生徒となったわけだ。が、まぁなんだ。基本的にここでやることはそうたいしてはない」
教師は続ける。
「まず第一に休め、昨日は疲れただろう。このまま授業をしても話にならん。とりあえず隣の建物に部屋がある。ナンバープレートに自身の名前が書いてあるからそこに入ってくれ。むろん、門限もある。時間を通り過ぎたらまた野宿だから、安心して遅刻するがいい」
使い魔らしき男は窓の外からその様子を伺っている。
どうやら、死屍累々の生徒を肩に担いで来たようだ。
「おい、クソ野郎。この雑魚どうすればいい」
「そこに捨てておけ、大した問題ではない」
「そうか、なら」
使い魔はそう言捨てると死にかけの子供を医務室へと連れていった。
「なんだ、案外優しいところあるじゃないか」
教師はそんなことをブツブツ呟きながら教室から出ていった。
生徒だけが、残った教室には静寂が訪れていた。
死んだように眠る生徒たちのなか、たった1人だけ目を開けて何かを書いている者がいた。
「ご飯にありつけなかった……か、明日また、、探せばいいか」
相変わらずお腹がなっているでぶは「もう、ねるか」
そんな、短いセリフを抱いてとこに耽った。




