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07

 α07



 しばらく歩くと、木造建築の建物が見えてきた。

 古臭くて今にも倒れそうだ。


 あたりには木々が生い茂り、かなり昔から建てられているように思えるように。


「古そうですね」

「えぇ、かなり古いかと思います。たしか、今から200年程前に建てられたそうで……その間何度も、改装工事されてますけどね!」



 後ろで腕を組み、男性は相変わらず何の苦もなく歩いているが道は相変わらず険しい。

 ゴツゴツとした岩場に滑りやすい苔類。終いには鬼ときた。

 これは何の冗談だろうと肩を落とすが、そうもいっていられないほどにきつい。

 デブを見るとなんか、臭い。


 異様な匂いと、汗が噴き出している。

 ヒョロ長たちは既に死に絶え耐えといったところだろう。


 こいつら修行とかしてないのか? 走り込みとか?

 それらをしている私でもしんどいのだ。


 息が切れる、足が痺れる、喉が乾く。


「そろそろ着くが、大丈夫か? おっと、そんなこと言う必要無かった。既に死にそうだがここからは鬼は出ない。教室に着いたら少し休め。授業は3日後だからな。入学式までには体力はつけておけ」



「は、はい……」


 ヒョロ長はへたり込んで、水をがぶ飲みしている。デブは大きく息を吸い脈を落ち着かせていた。このデブはなかなかにやれる。私はそうおもった。


 私も息を整え、刀のつかを握りしめた。


 血で濡れた柄は気持ちの良いものではないが握っていると少しだけ落ち着くのだ。


「ふぅ……」


 息を吐き捨て、目を閉じる。

 息を吸うとともに目を開き心拍を落とした。



 空気が薄い……多分標高が高いのだろう。

 登る時には気がつけながったが、かなり空気が薄い。息を吸い込もうとすると肺が締め付けられる。


 酸欠で脳に酸素が回ってない……頭痛が激しく立っているのもやっとだ。


 ヒョロ長たちはもうはダメそうだ。

 折り返して帰った方が良いだろう。


 心拍が落ち着かない。脈が高すぎる。

 この高低差でなぜあの男はこうも平気でいられるのか……不思議で仕方ない。



 急ぎ足で校舎に向かう、その道中もかなり険しい道のりだ。たった150メートルくらいなのに何キロ先にも見えてしまう。



 心が折れそうだ……。



 覚束ない足取りで、校舎へとあるく。


 確かにここには鬼はいなさそうだ。ふと、足元を見ると石が赤黒くなっていた。


 頬をひきつらせまさかとその赤黒い液体を指でなぞってみるとねっとりとしていた。それでいて少し生暖かくい……。


 それを見た男はニタリと笑って見せた。


「ここは、少し滑りやすいかもしれません。しっかりと歩くように」


 そう、意味深な言葉を吐き息の一つも乱さずにスタスタと相川らず澄まし顔で前を歩くのだ。





 ◇


 やっとの思い出ついた校舎は臭かった。

 それも、カビや食べ物が腐ったとかそう言う生温い匂いではない。外の比ではないくらいの濃い血の匂い。

 ヒョロ長たちは口元を押さえて玄関をくぐってきた。デブは少し顔をシカめため息をついた。


「おい、男よ……これはなのん冗談だ。なぜにこんなに鬼の死体が転がっている。しかもどれも生暖かいーー」


「見ての通りですよ。ここの生徒たちが鬼を惨殺しているのですよ。あなた方も鬼を殺してきたでしょう……それと同じことをここで行なっていると言うことだけですよ」


 サモナンの変哲もないような屈託のない笑顔で男はそう告げる。

 両腕に隠し切れていない殺意の刃がチラリと顔を覗かせる。刃に血が滴り鬼の毛が何故かこびり付いていた。


 あれは、えぐり殺している。残酷で酷い殺し方だ。痛みを与えて、苦痛の上で殺している。


 よほどの恨みがないとできない所業だ。まさに業が深い……といったところだろうか。



 笑顔の奥に隠されているその殺意は……一体どれほどのものなのだろうか。


 考えただけで、震えが止まらない。

 私は男を睨むように身構え、腰を落とした。


「こらこら、人には刃を剥けてはなりません。ここは鬼を殺すための施設であって、人殺しの技を伝授するところではない。だから、臨戦態勢を解きなさい」


 いつのまにか頭の上に置かれていた手は優しく私の頭を撫でるのだった。



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