70終わりの始まり……
今回で修行編終わりです。
次回からは学生編です。
乞うご期待……!!
この後にあげる予定〜ー
70
冬が明け、ふきのとうが芽吹き始めた春のひと時、鶯が鳴き始め実りが着々と増え始めた畑にはクレアの姿が見える。
額にうっすらと汗を垂らす。首には白いタオルを巻くが汗で少し黄ばんでしまっている。
朝方というのにクレアは土を耕し、頬に土を付けて楽しそうにしていた。
山に出かけている旦那さんと夜見が帰ってくる前までにひと段落させたい。
「クレア!!」
聞き取りにくい声で私を呼ぶ声が聞こえた。
後ろを振りかえると泥だらけになった夜見ちゃんとボロボロの服を着た夫の姿があった。
学校に入るための最終試練を彼から夜見に受け継がせるために一週間前から山にこもりっぱなしで一体何をやっているのやらと心配になったものだけど、一応二人とも生きているようで一安心したが、ズタボロの二人を見て一安心というのもおかしな話ではある。
「お腹すいた?」
「あぁ、温かいものを頼むよ」
「えぇ、わかったわ。家で待っててちょうだい」
「……」
死んだような目をした夜見はゼェゼェと荒い息をしては刀を持ってを震わせていた。
手をよく見ると豆だらけで少し赤くなっていた。
相当辛い訓練をしたのだろう……。
若干目が座っているのは気にしないでおこう……。
キッチンに戻り、何を作るか考える。
食べやすい、物だと取り敢えずはスープ。
パンは食べにくいのでおかゆを……がっつりいきたいと思うからえーと、豚肉をぶつ切りで焼こうかしら?
二人はヘトヘトになり自室で横になっている頃かしら?
本当に何をしてのかしら?
あとで聞きましょう〜!
四十分もすれば料理は完成する。
いい匂いを嗅ぎつけ夜見と彼はキッチンにやってきた。
「何作ってるんだ?」
「えーと、食べやすいものをいくつか……それと肉ね」
「そか、あー腹減った……あとどれくらいかかる?」
「もうすぐよ……夜見ちゃんヨダレを床に垂らさないでね! あと、あなた鍋を突かないの」
ご飯が食べたくてウズウズしている二人はさて置きささっとお皿に盛り付ける。
眠たそうに瞼をこすりながらも椅子に座りヨダレを垂らしている二人は可笑しかった。
「はいはい、お待ちどうさん。ご飯よ」
「「いただきます!!」」
仲良く二人で飯を口に駆け込んでいるところを見ると本当の家族に見えてちゃう……。
勢いよく食事を終わらせた二人は席を立つとゆらゆら揺れながら自室に戻り死んだように眠ってしまった…………。
完




