06新たなる敵の存在
すみません。遅れました。
これからは戻して行きますね〜
06
新たな技を習得すべく、剣の修行をしている最中、太陽がキラリと光り、何がが鳴く声が聞こえた。
耳をすませ、太陽を見上げると太陽の光の中に一つの黒点が見えた。しばらく目をショボショボさせながらみていると、一匹の大鷲が空を舞っていた。
大鷹は眼孔にお爺様の姿を捉えると、羽を畳みその場から急降下してきた。
落ちてきた、そう言ってしまっても誰も不思議がらないだろうその速度は、瞬光を会得しかけている私でさえも目で追うのが精一杯な程に……。
大鷹の声に気が付いたお爺様は木刀を腰にしまい、スッと左腕を前に突き出す。
お爺様が左腕を伸ばしたのを見た大鷹は大きく羽を広げた。チラホラと羽が二、三枚ほど風に耐えきれず空を舞う。
大鷹が羽を広げると私よりも大きくて、勇ましい姿に、私は後ろ脚を引いてしまいました。
バサバサと羽を仰ぎ、お爺様の左腕に捕まった大鷹はお爺様の顔に寄りそう形に、そしてお爺様の顔を何度も嘴などを使い、撫で回しています。
少し、羨ましい。
「やめんか」
私が羨ましそうに見ていると、お爺様は嫌そうな顔をし、大鷹を木に移し替えようとしていた。
そんなお爺様と大鷹を見ていると、足元に何かが綴りつけられているのが目に入った。
「お爺様、鷹の足元に何か」
「知っておる。こやつが撫でるのをやめてくれんからな。やれやれ、久しぶり会うから別に拒んだりしないけどな」
お爺様は鬱陶しそうに大鷹の羽を遮り足元についている緑色の巻物に手を伸ばす。
木に移すのはどうやら諦めたらしい。
「やめんか、そろそろ鬱陶しい」
お爺様の腕の上で大きな羽を広げた、振り落とされまいと大鷹は羽を楽しそうに動かす。
お爺様を好いているのか嫌っているのか少し疑問だけれど、仲は良さそう。
何だかんだいってお爺様も笑っていらっしゃるし……。
「夜見、何がおかしいのだ?」
「い、いえ、お爺様とその大鷹が微笑ましくて」
お爺様は目を細め、私の顔を覗くのであった。
「はぁ、」
小さく溜息をつきやっとの思いで落ち着かせた大鷹を宿り木に止まらせ足元についている巻物を無理やり足から離す。
大鷹はお爺様の取り方が気に入らないらしく、低く声を鳴らしていた。
「全く、小さい頃から落ち着きが足りんな。フェニックスよ」
ん? ちょっとまって、今なんて?
お爺様は気恥ずかしそうに私の顔をチラチラと見て私の顔色を伺う。
「なんじゃ? 夜見。文句でもあるのか?」
「いえ、お爺様もそう言う時期が有ったのかと思うと……」
ばつが悪そうにしているお爺様をよそ目に、大鷹じゃなくて、フェニックスはお爺様が用意した餌を貪っている。
餌の方はお爺様が瞬光で取ってきたものだ。即席だというのに、なかなかに豪華らしい。
フェニックスも喜んで食べていた。
「それでお爺様、なんと書いてあるのですか?」
お爺様は大鷹の足にくくりつけられていた巻物を開き、静かに読み始めた。
私はその巻物に何が書いてあるのか気になり、ジャンプしてみたり、横から見てみたりと創意工夫してみたのだが見れる気配すら感じさせない。というか、横から見ても文字化けしているようでテレビの砂嵐みたいに見えた。
「夜見、お前が見ても仕方ないものだぞ、それに、この巻物には隠密呪術が施されておる。読めるはずなかろう」
ほっぺの膨らんだ私の頭を優しくお爺様は撫で、巻物に目を通す。
「もう、お爺様子供扱いしないでください。私も来年で十歳になるんですよ!! もう、大人です!!」
目を細め、巻物を見ているお爺様は読み終えると巻物をくしゃくしゃにし、眉間に浅草しわを寄せる。
「お爺様?」
「…………修行の続きを」
短くそう言うと本殿へとお爺様は走って行った。
私と、大鷹を残して……。
「……………」
「……………」
何この時間?
ギュルルルル〜
ギュルルルル〜
一人と一匹のお腹がなる。
二人はお互いに顔を合わせる。
ププッ
大鷹の顔が可笑しくて笑ってしまった。それが気に食わなかったのが、大鷹は目を細め、鋭く尖ったくちばしで私の頭を突くのであった。
巻物にはこう書き記して有った。
東海地方にて、鬼門の開く予兆あり。
元凱よ貴殿にも、戦いの準備をしてもらいたい。
詳しいことはまた使いを寄越す。
それまで孫と戯れておれ。
ついに、日本まで鬼が迫っていると言うのか……。
それに、私まで戦火に巻き込まれなければならないとは……厄介なことになりそうだ。
剣の手入れをしておこうか……。