57あの星の輝き
年始一発目の投稿
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食事をとり終え、お昼になった。
午前は死ぬほどの修行……午後からは自由時間となっている。
この辺はまぁ、有り難い。
なんでも、カレンさんの指示らしい。朝から晩まで動かし続けたら死んじゃう〜とかなんとか食事時に喧嘩をしていた。多分それのせいだと思う。
昼になりそのことを嫌な顔をしながら師匠に言われた時は一発殴ってやろうかと思ったがせっかくもらった自由時間。
それはもう有意義に使わせてもらおう〜!!
と言うわけで今私は森の中を爆走しています。
腰には真剣、背中には少しボロい弓と矢が装備されている。そう、晩飯を少しでも裕福にしようと猪を狩に来ている。
お爺様と一緒に狩ったあの猪の味が忘れられず懲りずにまたこうやって野道を疾走しているのです。
無論、後ろには師匠がいます。この旨を伝えると意気揚々と弓と矢を背中に背負い、私の手を引いて来た張本人でもあります。
どちらが大きいやつを仕留められるか!
なんて、勝負を仕掛けて来たので私はそれに乗りました。何故ならこの人に一泡吹かせたかった……いや違うな。滅多打ちにしたかった!!
ただそれだけです。
そんなこんなでいまは森を疾走してます。
猪の匂いは独特で土と草、そしてほんの少しだけ血の匂いがします。多分土と草は山の中を歩いているからであるが、血の匂いというのは同族を殺しているからである。
結構野蛮な動物で、こちらも見つかれば有無を言わせずに突っ込んでくる猪突猛進型の破壊兵器と言ったところです。
鼻を研ぎ澄ませます。目では絶対に見つけられません。
一発の銃声がしました。
多分師匠でしょう。あいつ、弓使わず銃をブッパはなしやがった!!
なんて人だ。食べるところが減っちゃうじゃないか。
全く、勿体無い……。
そうこうしているうちに私にもチャンスが訪れた。
そう、百メートルほどの所に大きな茶色い塊が動いているではないか。
そしてまだこちらには気がついていない。
刀をゆっくりと引き抜き、体勢をゆっくりと落とす。
その格好はどこかクラウチングスタートにも似ているがそれとは異なる。真剣を左手で逆手に持つ。
『瞬光』短くそう呟き、縮めていた足をバネにし、一気に加速する。
目で追えぬほどの爆速で獲物の喉を掻き切らんと跳躍した。
「坂巻流剣術……抜刀……神威」
「ブヒィ〜」
およそ五メートル……私のことに気がついた猪はとっさに回避しようとするが間に合わない。
仕方なく一番硬い鼻先を剣に向けた。
「ムダだ!!」
体を少しひねり、真剣を猪の腹に沿わせる。流れる水の如く、内臓を切り裂きそして、心臓を真っ二つに切り裂いた。
切られたことに気がついた時、猪は悲痛な雄叫びをあげ、ドサリ、と地面に勢いよく倒れ絶命した。
刀を見ると、中央に小さなヒビがいくつか入っていた。多分骨が当たって刃こぼれしたのだろう。まだまだだなと真剣を鞘に入れ、巨体な猪の体を引きずるのであった。
◇
家に着いたのは仮を終えてから一時間ほどだった頃だった。
戻ってみるとそこには私のより一回りほど大きな猪の亡骸……が。
「おいおい、うりぼうを捕まえてくるやつがいるかよ」
「チィッ……クソが」
悪態をつき、猪を素早く解体した。
カレンが眉にしわを寄せ、なぜか怒っていたが無視をした。
そして、その下で小さくなってプルプル震えている師匠がいたがあえて無視をした。
関わるとめんどくさそうだしね。
そんな感じで今日の夕ご飯は猪鍋、猪肉のスキヤキ、猪肉のカツ、猪肉の焼肉となった。
かなりボリューム満点だが、私と美穂は猪肉が気に入りムシャムシャとかぶりついていた。
なんせ、猪肉は腐るほどある。
むしろ、早く食べないと腐ってしまうほどに。
私の身長よりも大きな黒猪が二頭もいるのだから。それは食べきれるはずはない。
なので、食料を粗末にしないということを第一にありえないほど肉を食っていた。
「……うまい!」
「がっつくのはいいがちゃんと噛めよ」
「わ、わかってるわかってる」
目もくれず肉をむさぼる様子に大人二人はどこか置いていかれていた。
カレンはすでに食べ終え、自身の食器を流しに入れ、音を立てながら洗っていた。
「……旅ではあまり食べられなかったのねーー」
小さく言葉を並べそう吐き出すのだった。




