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少女は刀を握り姫となる!剣姫〜いざ行かん  作者: 榊 凪
1章 幼少期 殻を破る時
55/96

53真打登場?

最近落ち着いてきたからまたあげます〜よろー

 53



 美帆を投げ捨てる。

 重荷を背負ったまま戦うのは不利になる。


 その様子を鬼は感心するように眺め、首を縦に振った。

「そいつはいい判断だ。そうだよな……そんなゴミいらねーよな。お前が死んだら先ずはそいつからいただこうとしよう」


 バシバシと拳同士を合わせ火花を散らせた。


 物凄い威圧だ。

 ただそこにいるというだけでそれほどの気迫……これは……。



「抜けよ。ガキ……楽しい遊びといこうじゃねーか」

 ケラケラと無邪気に鬼は笑う。


 脇に刺してある刀を抜く。

 重心を後方に下げ、右前足を前に、左足を後ろにし上体を低くする。

 刀は腹に沿って水平に保ち、刃は外を向いている。


 技を見破られたら瞬殺だ。初めから飛ばす!!


『坂巻流剣術七式……四面楚歌』


「お? 面白そうなやつじゃねーか。受けてやるよ。それで殺せるといいな〜」


 その油断が命取りだ!!


 夜見は姿を消した。


(死ね)

 明確な殺意を持った刀が四方向から鬼の足首、首、心臓、目をめがけ飛来する。


「こいつは参ったな……」


 ニヤリと笑い鬼は仁王立ちし、その場にとどまった。


 超高速で飛んでくる刀……それらを鬼は目視で捉える。

「おいおい……この程度かよ」

 がっかりしたような口ぶりで、その刀を、その殺意をじっくりと待つことにした。


 時間に換算しておよそ0.025秒……それが夜見が消え、鬼の体に刀が弾かれるまでの秒数だ。


 結果から言おう。鬼は息絶えることなくその場に立っていた。

 そして、夜見は血反吐を吐き、鬼の心臓の手前にある外皮に刀を押し付けていた。


「残念だったな……ガキ。そんな攻撃俺にはなんの意味も持たない。そして、お前はこれで終わりだ」


 鬼は夜見のおでこに手を当て、少し強めにデコピンをした。


 バチッン!


 考えられないほどの打撃を受け、夜見の体は仰け反り、そのままの勢いで数十メートル先まで飛ばされた。


 木々は押し倒され、数本木をへし折った先で夜見は血だらけになって小さく息をしていた。


 ゲホッ……。

 意識の朦朧とする中、夜見は刀を握りしめていた。

 最後の抵抗と言わんばかりに、目の前に見えるなにかを斬りつけようと必死になって剣を振るっていだが、それはまやかしだった。


 虚空に見える黒い何かを夜見は必死に痛む腕を動かして斬りつけようとした。


 脳震盪を起こした夜見の頭にはなにも見えてはいなかった。

 ただやっているのは、頭を取られた虫が無駄にカサカサやっている事となんら変わりない。事だ。


「こいつは傑作だ。俺のデコピンを受けてまだ動ける人間なんか初めてみた……。生き残れるやつは生き残れるんだな……」


 鬼にしては珍しい憐れみもいう心を持った鬼は夜見を持ち上げ、飲み込まんとしていた。



「ん? 誰だ。俺の食事の邪魔をするやつはそんなところに隠れてねーで出てこい。出てこねーってんなら俺から行くぞ」


「仕方ないな」

 草木を分けて出てきたのはひとりの男だった。

 それは、懐かしい声をしていた。


「てめー誰だ」

「それより、その子を放してやってくれないかな? それは俺の大事な弟子なんでな」


「ほう、こんなクソガキを育てたのはてめーっていいてーのか?」

「いやいや、育てたのは俺じゃねーが。とりあえずその薄汚れた手を離さねーか?」


 物腰の柔らかい感じて男は言った。

「ならよ、おめーがおれとあそんでくれんのか?」

「ん? いいだろう。そのかわり死んだとしても化けて出てくるなよ?」

「はっそんな事わねーよ。何故かって? 聞くまでもねーよ。お前が俺に喰われるからな!!」


 ゲラゲラと声を出して笑う鬼。


 それを無表情で返す師匠。


 二人の間には絶対的な何かがあった。


 ドパッン

 乾いた銃声がした。


「ぐわークソクソクソクソクソが! てめーなにしやがった」


「聞こえなかったのか俺は初めに言ったぞ?

 その薄汚れた汚い手を離せってな」

 ドパッン

 鬼の腕に単一電池程の穴が空いた。

 あまりの痛みに鬼は夜見を手放してしまった。


「クソが! ぶっ殺してやる」


「やれるもんならやってみろ。木偶の坊」


 ドパッン


「くそ! どこから撃っている!! お前武器を持っていないのにもかかわらずどうして俺を攻撃出来る!」


「気がつかないのか? それとも意図して見ていないのか?」


「なんだ!」


 師匠は両手を上げなにも持っていないことをアピールした。

 ドパッン


 されどなる銃声。そして、また鬼の腕足に穴が開く。


 ニタニタしていた顔をどんどん歪め鬼は憤怒の表情に変わって行く。


「一体なにをした!」

 タバコに火をつけゆっくりと白い息を吐く。

「なぁ、ラプラスの魔女ってしってるか?」


「そんなものは知らん」

「ま、そういうと思った。それはそれとしてまぁ聞け。ラプラスの魔女っていうのはこの世の全ての分子粒子を全て計算して未来を見る的な感じのやつだ」

「それがどうした」


 ニヤリと師匠は笑った。

「つまりだ、これは未来でもなく過去ではないものだ。要約するにお前はもう過去に死んでるって事だよ」

「は? なにを言っている。俺は今こうして生きてるじゃねーか」

「だから初めに言っただろ? 『気がつかないのか』と」

「な、なにを言っている」


 ドパッン


 乾いた音がまた鳴った。

 チクリと痛む胸を見てみれば心臓に大穴。


 口から血を流す鬼……まるでなにが起きたのかわからない……。


「死ぬ前に……いや、これは的確ではないね。死んだ君にこれの種明かしをしてあげよう。これはね過去に私がお前に向かって放った弾丸た。

 そして、それは着弾し確実にお前の命を奪った。そして、これは私がお前に見せている幻……いや臨死体験と言ったところだろうか?」


「何わかんねーことぐちゃぐちゃ言ってんだよ! 種明かしとかほざいてるだけでこんなもん痛くも痒くもねんだよ。クソ人間が!」


 師匠は大きくタバコを吸い込み、灰を下に落とした。

 真っ白な息を吐き、こう言った。

「だから、言っただろ? お前はもう過去に死んでるって……だからもう、黙れよ」

 ドパッン


「ば、……か、な」


 銃弾は頭に当たっていた。

 左目上、眉間とは少し遠いがこいつが絶命するには十分すぎるダメージだ。

 だがしかし銃弾によるダメージで出来た銃痕では致命傷となるには随分と小さい。むしろこれで鬼が死ぬとは思えないほどのダメージだ。


「ふぅ〜やっぱりこの銃弾はつえーな」

 彼の手にもつ銃弾……7.62ミリ弾。

 特殊装甲330ミリを余裕で貫通。飛距離約六キロ。

 火薬には黒火薬を使用、大きめの火薬はゆっくりと圧力をあげその膨張力を使い玉を飛ばす。

 弾に関しては、呪いの込められた呪弾。

 属性はなにもないとは言い切れないが、あえて言うならば呪い……であろう。

 金属は亜鉛と鉄と炭素をある配合率で混ぜ合わせることによってできる合金。


 着弾とともに分裂し対象の内部をえぐる。それに加えて、破格の貫通力が対象の命を確実に奪う。


 一ダース千五百円……格安だ。


「さーてと、なんか一人増えてるし。カレンどんな顔してこいつら迎えるのか。 ま、連れて行けば分かるさ」


 呑気に口笛を吹きながら二人の子供を車の荷台に載せるのであった。




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