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少女は刀を握り姫となる!剣姫〜いざ行かん  作者: 榊 凪
1章 幼少期 殻を破る時
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今回は短めです。

 


「それで夜見ちゃん。お姉さん方との入浴は楽しかったかい?」

「…………うんーー」

 銭湯から帰った夜見は街中でアイスを買ってもらった。


 体も心もスッキリしアイスを買って貰った事に気分を良くした夜見だったが、ちくりと頭の中をお爺様がよぎる。

 誰にも悟られないようにため息を小さく付く。

 家まではまだ少し歩かなければならない。薄暗くなって来た町には街灯の明かりが灯る。薄黄色の街灯はどこか優しそうに見える。

 あれから銭湯には何時間いたのだろうか? 朝食を食べ始めたのが、大体八時半過ぎで捕まったのが九時過ぎくらいだったけ?

 ってなるとかなり銭湯には居たんだな……。

 どこか遠い目をし、うっすらと見える星に目を写した。


「星ってこんなにも綺麗だったんだ……」

「ん? どうしたの……星、星か……俺は見慣れたからな。そんなに綺麗だとは思えないかな……夜見ちゃんは綺麗だと思ったんだね」

「……うん」


 街灯に照らさせた町はすごく優しく感じる。小屋にいるときはあんなに夜が恐ろしくて……ガタガタと震えながら寝ていた頃の事を夜見は思い出す。

 そんな思い出を口笛を吹き蹴飛ばすことにした。


 ◇



 この街で暮らして一週間が経つ頃……夜見の筋力が元に戻り、夜見は鍛錬をするようになった。

 近くの森に行き木を一本切り倒し、自身が握りやすいよう加工する。


 汗水垂らし削り加工した木刀にはとても愛着がわく。お爺様がそう言っていたのを思い出した。

 懐かしい思い出と心の中で涙を流し、作業に没頭した。

 削り始めること十五時間ほどだった頃……ようやく完成した木刀。

 長さ五尺、握りは一尺。重さは五キロ無いくらいだろうか?

 かなりの重さになったが、鍛錬にはもってこいの品でもある。



 刀を作ったその日から私の修行は新しく開始された。



 ◇


 そんなある日のこと。


 無心で刀を振る。

 あの頃を思い出して……。


 剣を振るう度、汗が空を舞う。

 軒先で刀を振るう行為ははた迷惑な物であるはずなのだが、町人の皆さんは微笑ましく笑ってくださる。優しい人ばかりで夜見は心が休まる。



 ひとしきりの素振りを終わらせタオルで顔を拭く。



「夜見ちゃん。これあげる」


 差し出させたのは水の入ったペットボトル。

 それと、水崎さんの笑顔だった。


 あの銭湯以来、親しくなった私たちは時折食べに行ったり過去の事やこれからの事を色々と話したりもする。心友とまでは行かないが親友にはなるだろう。

 水崎さんはいま私の横に座り私の頭を優しく撫でてくれる。

 とても仲の良い二人となった。


「夜見ちゃんは行きたいところとかないの?」

「……ん〜分からない」

「そう……ん〜あ! お洋服でも買いに行かないかしら。いつまでも女の子がそんなかっこをしていたらだめなんだから」

 巫女が着るような服装を夜見は気に入っていたのだが、どうやらお姉さんのお気に召さない様であちらこちらと見られる。

「少し休憩をしてから行きましょ! ふふん楽しくなって来たわ〜。そうだ、どうせなら美穂も呼んで行こうかしら? あの子こういう時頼りになるのよね。少し変な子だけど……」

「は、はい……!」


 美穂みほというのは水崎お姉さんのお友達だ。普段は大人しいのだけど小さい子の事になると鼻息を荒くする人なのだ。

 夜見は少しだけ身を引いた。


 夏帆お姉ちゃんが電話を掛けると、ものの数分で美穂お姉ちゃんが来た。

 黒色のレ◯サスを乗り回し、グラサンをちょいと上げ、窓ガラスを下げる。

「ふっ、お姉さん方……乗りな、パティーが待ってるぜ!」

「相変わらずね美穂、中二病も大概よ」

 美穂のそんな姿に夏帆はクスクスと笑った。

「止してくれ、セニョリータ! 君のそんな顔私は見たくない〜」

 まるで宝◯歌劇団の様な立ち居振る舞いで車から颯爽と降り、夏帆お姉ちゃんは舞った。


「……それなんのアニメ?」

 そんな美穂に夏帆は白い目で強めの口調でつぶやく。

 美穂お姉ちゃんは、顔を引きつらせ渋々答えた。

「女黒騎士とオーガのやつ……第三話カケルとの友情という題名で、十三分二十三秒の所です……」


「……そこまで聞いてない……って言うかそれ十八禁の奴じゃない。どこで手に入れたのよ」

 話についていけない夜見は無邪気に質問をした。

「なんの話をしているの?」

「夜見ちゃんは気にしなくてもいいのよ」

 夏帆お姉ちゃんは優しく私の頭に手を置き、髪を解くように撫でてくれた。


「ほら、美穂。車出してくれるんでしょ。油売ってないで早くしてよ」

「むぅ、人を散々バカにしておいて……ゴホン、ってこんな事しても意味がない!! 夜見ちゃんの服を買いに行かねば」


 美穂お姉ちゃんは再びサングラスをクイっと持ち上げクルリとターンを一回転をキメ、ジ◯ジョ立ちでフィニッシュ。

「さぁ、お嬢ちゃん方。戦場へと赴こうぞ!!」

「はぁ、いつになったらこの子は治るのかしら?」

「ねぇ、さっきから美穂お姉ちゃんは何をしているの〜?」

 夜見の質問は車に乗るまで止むことは無かった……。










書きだめがそろそろ底につきそう。

ん〜今の所三パターンあるんだよなー。

どれにしようか?

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