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少女は刀を握り姫となる!剣姫〜いざ行かん  作者: 榊 凪
1章 幼少期 殻を破る時
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遅れたー

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「う、うぅ〜頭痛い」


 ヒリヒリとする頭を抱え、重い腰をあげる。

 うわ、なんだこれは!!


 私の周りに広がる赤い霧。

 お寺でも出ていた赤い霧。

 あれ? でもなんともない。

 臭くもないし、気持ち悪くもない。

 寧ろ心地いい程だ。


 遠く離れた所に師匠がいる。


 痛む頭を押さえて師匠の元へテクテクと歩いて行く。


 私に気がついたのか、スコープから視線を外し、声をかける。


「起きたか」

「はい。それと、今のこの状況を説明して欲しいのですけど」


「……そうだな。取り敢えず剣をとってお前の後ろにいる鬼を切れ。話はそれからだ」


「へ?」


 剣を抜き、そのまま回転をする要領で斬りつける。


 咄嗟の判断だが、見事に後ろにいた鬼は心臓諸共斬り伏せられ絶命した。


「いや〜流石だなその剣。かの御仁が作っただけはある。剣名『鬼斬・神威カムイ』噂の名刀は鬼をバターみたいに切れるんだな」


 思わぬ事にびっくりしつつも、お爺様の形見がこれほどの力と知り何故か頬を赤らめる夜見、その様子を見た男は身震いを禁じ得なかった。

 多分、身の危険を体から察知したのだろう。


「夜見、剣は体に馴染むか?」

「い、いえ、でもお爺様の匂いがして心が安らぎます」


「そ、そうか」

(そんな血なまぐさい剣から匂いがするのか? 嘘だろ?)



 血が付いた剣から匂いがするってどんな嗅覚だよ。犬か!


 心の中でそんなツッコミをしつつ、サブマシンガンを手に取り素早く引き金を引く。


 パンパンパン!!


 軽快なリズムで弾が打ち出され、次々と鬼の心臓や頭を撃ち抜いていく。


「サボってる暇はないぞ! 一人でも命を救う。油を売る暇なんてあり話しないからな」



「はーい、怨みを込めて惨殺しまーす」


 抜き払った剣に付いた鬼の血を剣を振るい血を落とす。


 黒い血が人の血の海に鬼の血が混ざり、赤黒いまだら模様が出来上がる。


 唾を吐き捨て血を踏みにじる。

 靴に付いた鮮血はネットリとし糸を伸ばす。


 穢らわしい……そう心で思うのも訳わない。

 死んだ人間は何も出来ない、まさに死人に口なし。

 働くことも出来ないただのゴミ。

 私はそう思う。


 だからこそ、生きているものは救わなくてはならない。


「私はそう思う」


 私は取り敢えずのために人を救う。

 そして、剣を振るう。


 私に貼られていた札は私の中の闇を封じるもの。過去、私は悪魔の様に暴れまわっていた。

 母を殺され、父は行方知らず。

 鬼を憎まないはずはないだろう。そして、生きていない人は鬼になる時もあるらしい、だから殺す。

 心臓を刺し、脳髄を抉る。


 歯茎を見せて笑う。

 その顔は誰にも見られることはないだろう……そう、鬼達にもだ。

 何故ならは目の前にいるのはこれから死ぬのだから。

 私が力を押さえつけられないのは、鬼がにくいからだ。


 ふふ、さぁ、パーティの始まりだよ!

 ユニットバスにいっぱいの血を流してね〜!


 その言葉を残し、夜見の姿は影に消えた。




「援護は任せろ。思う存分って……すでに暴れまわってるよ」




 剣を振るい、狂ったように剣を振るい鬼を惨殺する。

 ある鬼は手足を全て切り落とされ、命乞いをさせる。

 ある鬼は、体がギリギリで繋がる所だけど残し、乱れ斬り。指の一つでも動かせばポロポロと肉片が落ちる。

 ある鬼は、自身が死んだということも分からず、首がない状態で剣を振るう。

 ある鬼は、全身の皮を剥がされ痛みに苦しむ鬼の目を潰しのたうち回せ、火を灯す。

 ある鬼は、内臓を生きたまま引き摺り出され、その内臓を自身の口に詰められ血反吐を吐く。

 ある鬼は、心臓だけを取り出され息絶え絶えの鬼を放置。


 あらゆる惨殺行為を施し、鬼達に絶望を与える。

 どれもこれも位の低い赤鬼達ばかりだ。

 翁を殺した鬼とは全く違い弱すぎる相手、これならあの化け物を殺した夜見が遅れを取るはずもない。


 スコープ越しに夜見を捉え、逐一確認を怠らない。

 爺さんから託されたあの娘は絶対に殺させはしない。


「それにしても、殺し方がえぐい。あれでは鬼も死に切れないだろう。まぁ

 人々を殺した報いと思えばお釣りが帰ってくるだろうけどな」


 既に二十体は殺しているであろう夜見には限界が近づいていた。

 殺した・・・という現実に苛まれ、心が折れかけている。それと、単純に疲れているだけだろう。


「やれやれ、力加減と体力調整がまだまだか。課題ば体力調整と心の問題かな」


 次回の問題点を冷静に上げていく男の目はどこか冷めていた。


 口元についた、自身の血を手で拭うことも忘れたままに……。








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