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少女は刀を握り姫となる!剣姫〜いざ行かん  作者: 榊 凪
1章 幼少期 殻を破る時
16/96

男が見たものは〜エピローグ

今回は次回の為の伏線を書いた回です。

ですのでかなり短くなっておりますが、その辺は次回に期待をとの言葉で締めくくらせていただきます。

 16


 時は遡りお爺様が死に数秒間だった頃のお話。


 ◇


 俺は見てしまった。

 この爺さん。いや師匠が人々から離した理由がわかった気がする。


 この子は危険だ。

 生存本能が訴えかけて来る。



 ◇


 全身から吹き出る赤い霧。

 そこから覗く夜見の顔は想像を絶していた。


 瞳は赤く、目は黒ずんでいる。

 目尻からは太い血管が浮き上がり、激しく脈打つ。


 黒くすんでいた髪は、獣も恐れる赤黒色。

 脳天にはキラリと光る金色の一振り角。


 身につけていた白い着物は血で汚れたような色をしていた。


「ウガァァァ!!」


 最早人とは言えないその少女は、師匠の腰につけてある小刀を引き抜く。


 ギラギラとしたのその頭身からは圧倒的な殺意を放つ。


 小太刀様の鞘から抜かれた剣はその鞘とは似ても似つかぬほど伸びて行く。


 抜き切ったその時、剣は五尺程まで伸びていた。


「ゴクリッ」


 思わず唾を飲み込んでしまった。

 あの禍々しさからは人は逃れられない。もし、あの剣に魅入られてしまったが最後、その命尽きるまで魂をもって行かれるだろう。


 柄頭は黄金、柄は緑の下地と赤い布の螺旋。

 鍔は鋼色、頭身は血の色をし数多の人々の顔や腕、脚、五臓六腑までもがダラリと見えていた。


 また、その一つ一つがまるで生きてるかのように脈打ち、時折心臓や顔などに見える場所からは血に似たような赤黒い何かの体液がドバドバと勢いよく吹き出す。


 ほろりと俺の頬を伝う涙はなぜなのだろう。

 俺の心が体が死を覚悟してしまったとでも言うのだろうか……あぁ、短い人生だった。

 ふっ、タバコでも蒸すか……。


「うぐっ……にげ、ろ」


「し、師匠!!」


「脚を、、、動かせ!」


「いやしかし、師匠をおいては」


 翁は目をこれでもかと言うほど開き、呪詛を唱える。


『飛べ』



 男は体全身に巨大なハンマーで打ち付けられたような感覚を覚える。

 それと同時に、体から後ろへと飛ばされる慣性が働き、自身の意思とは裏腹に後ろへと飛ばされる。


 うわぁ!!!!


 勢いがあまりにも強く、肺に空気が行かず、うまく声が出せない。


 眼下に迫る木々達をその体で受け止めてへし折り、更に飛ばされる。


 気がついた頃には、夜見の姿が米粒ほどになった頃だろうか。



「ゲホッ、あの爺さんなんて事をしやがる。覚えてろ」


 悪態をつき、身体中に付く土や草木を手で払おうとしたその時、ものすごい爆風と、斬撃が男を襲う。


「な、なんだ」


 砂埃が宙を舞い、木々はなぎ倒されお寺は跡形もなくなった。


 当然、あの心中にいた爺さんの体もズタボロであろう。

 何故ならそれを人為的に起こしたのは他でもない、夜見その人であったからだ。



 目を凝らすと、夜見から半径百メートル程は霧に覆われ、その範疇にあの時殺したはずの鬼がいた。


 左腕を無くし、息絶え絶えの鬼は全身から黒い血を流し肩を上下に揺らしている。


 右手には先ほど投擲されたと思われる剣が握られており、その剣も三分の二を残して折れていた。


 俺が飛ばされている間に一体何があった。

 頭の整理がつかず、思考停止まで持って行かれる。


 俺があの時感じた死はこれだったのかもしれない。


 痛む肺を手で押さえ、痛みを緩和する。

 ゼエゼエと荒い息を深呼吸をして落ち着かせる。

 頭の中で一つ一つを動作にしいつもの感覚を取り戻そうと努めるが、余りにもショックがデカすぎる。


 あれは、人が踏み込んでは行けない領域だ。

 俺が、育ててやらなければならないかもな。

 流れ者・・・と呼ばれた男が育てるんだ。多少はまともに育ってほしいかな。



「全く、こんな事を考えちまうなんて、俺らしくない。当たり前かこんなものを見せられれば考え方も変わるってものか」


 いずれあの子はもっと強くなる。そして俺が夢見たあの物も手に入るはず。


 ニヤリ。


 ひっそりと笑い、自身の野望へと近づいた事を心なしか喜んだ。


 その後の苦労も知らずに…………。




まぁ、伏線といっても勘のいい皆様ならどうなるかは分かるとは思いますが……。

この話だけはしっかりとしておかないとあとあと苦しいので……。

すみません。

それと、もう一つ追加で話を上げます。

それは、人物紹介とさせていただきます。

別に読まなくても話は理解できますのでその辺の判断はおまかせいたします。

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