紙飛行機、ヒューン。
金田くんは、改良に改良を重ね、新たな紙飛行機を作り出した。
飛距離を伸ばすため、これまで様々な折り方を試してきた。
来週は紙飛行機大会。学年で一番よく飛ぶ紙飛行機を作ること。これが金田くんの夢だった。よく飛ぶ紙飛行機をつくれば、学校のボスになれる。怖いものはなくなる。そう信じてやまなかった。
一方、今の学校のボスは同じクラスの米田くんだ。入学してからずっと学校の中で力を示してきた。当然紙飛行機大会でも金田くんに負けるわけにはいかない。米田くんも紙飛行機開発に多額の投資を行ってきた。米田くんの右に出る者がいてはならない。米田くんは常に一番でなければならない。
ある日、金田くんは実験段階の紙飛行機を米田くんの方へ向かって飛ばそうと考えた。
しかし、大会が迫っている今、米田くんを刺激し過ぎるのは得策ではない。少し飛距離を見せつけよう。米田くんの手前の太平くんの辺りにポトンと落ちるようにすればいい。金田くんは考えた。
ところが、教室内で紙飛行機を飛ばすのは禁止されていた。危ないからだ。米田くんは、かねてより金田くんが教室内で紙飛行機を飛ばしていたから、強く注意した。しかし、金田くんは言うことをきかない。ちょっと太った金田くんはワガママだ。自分が一番になることしか考えない。
金田くんは、また約束を破った。米田くんに当たらなければ大丈夫。手前の太平くんのところなら落ちても平気。別にいいじゃないか。紙飛行機を飛ばして人に迷惑かけたって。
金田くんは、米田くんに見せつけるため、太平くんのところめがけて、新作紙飛行機をヒューンと飛ばした。どうだ、多額の投資をした米田くんもびっくりするような紙飛行機を、僕も作ったんだ。僕にも作れるんだ。これで僕が学校で一番だ。学校のボスだ。皆の衆、我に従え。我にひれ伏せ。我の物は我の物、皆の物も我の物。どうだ、米。これが金の力だ。太平を見ただろう。