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第六話。はじめてのだんじょん! その4。 パート2。

「打ちます!」

「大丈夫だ!」

 言いながら、ゴーレムの左太腿に体重を賭けて、体へと飛び移る。

 結界が残ってるおかげで、パキパキという軽い破砕音だけで

 左太腿を超えることができた。

 

 着地したのと同時、足が少し体にめり込む。

 さっきの大斬撃の影響だろうか?

 

 さて。

 ーー問題はここだ。

 仮に最初に俺を吹っ飛ばしたのが、こいつの右拳だったとすれば、

 阻止に来るのは当然の動き。

 その拳をかわして、顔へのルートを確保しないとならない。

 

 もしくは、この体に張り付いてる状態を速攻で脱して、

 どこかしらに飛び移るか。

 けど。いずれにしても、だ。

 

 ーー今以上のアクションゲームみたいな動きが、

 俺にできるのか?

 

 

 バシーッ!

 

 

 頭上で派手な音がした。どうやら、命中したらしい。

 ビョウン。右から変な音。

 一つ頷く。

 

 俺は今。できたらとんでもなくかっこいいシチュエーションを思いついた。

 ここはなにしろエンジョイダンジョン、更にその最低レベルの状態だ。

 失敗してもいてぇで済むなら……!

 

「やって」

 右手を剣のつかに掛けて。

「みるかっ」

 ガッ。力を込めて握る。

「だんなさまっ!」

 

「っ!」

 左手で鞘を抑えて、

「でぃゃぁっ!!」

 全力で上半身を右に回転。

 回転するのと同時に、右手を腕が抜ける覚悟で振り抜いた。

 

 

 ーー居合い。完全にイメージだけの、なんちゃってだけどなっ!

 

 

「ぐわっ!」

 ちょうど一番勢いがついたところで、なにかと衝突。

 お互いの力の反発で、俺は弾き飛ばされた。

 

 ーーうむ。よくここまでできた俺。

 

「ぐっ」

 背中を打ち付けた。けど……あれ?

「ここは……地面じゃ、ないな」

 

「だんなさまー!」

「なんだー!」

 寝たまま返す。距離が少しあるのが、今のでわかった。

 でも今の声。距離は距離でも高低差だぞ?

 

「ほんとにここ。どこなんだ?」

「早く起きてください! 振り落とされちゃいますっ!」

「振り落とされる? どういうことだー!」

 

 

「そこ! ゴーレミートの左肩なんですよー!」

「なんだって?! マジかよやっべ超かっけーじゃねーか俺っ!」

 むくりと起き上がって状況確認。

 

「うおっ! マジだ、すぐ近くに顔あるよ

やったぜ成功してんじゃねーか!」

 笑いがこみ上げて来た。歓喜の笑いが!

 

「おっしゃあー!」

 叫びと同時に立ち上がる。

 ーーあ、あぶなかった。

 テンション上がりすぎてあやうく落ちるとこだったぜ。

 

「よし、バランス正常っ。このまま勢いで突破してやるっ!」

 る、と同時にゴーレムの肩を踏みしめて力を溜める。

 剣を握り。両手に持って。頭上に振り上げて。

 

 とどめの一撃を放つべく跳躍するっ!

 

 

「横から行くぜぇっ!」

 ゴーレムの顔面よりも、かなり高い位置まで

 行っちまっちゃったけど気にしない。

 落下の間に、狙いをきっちりと

 定めればいいだけの話だからなっ!

 

 振り下ろすイメージは、さっきの大斬撃。

 狙う位置は、カードが張っ付いてる部分よりも少し奥。

 誤ってカードを切らないためだ。

 

 再び訪れる、落下してるはずなのに

 浮き上がってるような不思議な感覚。

 

 バギャリーッ!

 

 どこかのパーツが破壊されたらしい、好都合っ!

 

 

 少しずつ迫って来るターゲット。

 

 三。二。一ッ!

 

「でえりゃっっ!!」

 裂帛シャウトと共に、空気すら切り裂いたと思えるほどの、

 自分で放ったのが信じられない力強さの斬撃ッ!

 

 ザクッッ!

 

 縦一閃。

 まるで、真っ赤に染まったウェハースを切り分けるような一撃。

 ふわふわと舞い落ちて行く、カードの張り付いた四角い塊。

 

 

「あ……しまったっっ!」

 そうだ!

 この角度は、なんのつっかかりもなく

 ストーンと落っこちるじゃねーか!

 

「うぐっっ!」

 ドスッ。地面に降りた俺の着地音。

 強制的に口を閉じさせられたせいで、

 ガッチーンと歯が噛み合わさせられた。

 くそ、目がチカチカするっ。

 

 頭の天辺から足の先まで伝わる鈍い痛みに、

 意識せず膝を折っていた。剣も手放していたらしくって、

 カララーンと甲高い音がフロアに響いた。

 

 

 

 ーーしまらねぇっ!

 後、歯が無事でよかったあぁー!

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