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キリンの短編詰め合わせふくろ  作者: 哀川キリン
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宝玉遣いの一人旅 ~Traveling alone of the precious stone errand.~

高機能執筆フォーム使うとなんか、出来る作家って気がするよねっ!ねっ!

 始めに述べておこう。

 宝玉遣い、ムル・S・シュテルネンハオフェン。

 縦横無尽(じゅうおうむじん)百鬼羅刹(ひゃっきらせつ)百戦練磨(ひゃくせんれんま)の宝玉遣いは宝玉遣いであって――――――勇者ではない――――

                

            ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 (よわい)8才。その少女は二つに髪を結っていた。髪は金色。宝物庫を想像してほしい、そのイメージ通りの色だ。その小さな少女は、ごく普通の少女だ。・・・ただ、ある事を除いて。

「くそっ!なんなんだってんだ、手前はっ!この俺がっ!全く歯が立たないなんて!」

 そう叫んだ男は、二十歳あたりの見た目に高身長、服は少々痛い、いや傷とかの痛いではない方の痛い服で、黒で統一している。 

 だが、その男は人間ではない。頭には二本の角。髪は殺伐(さつばつ)としたアイボリー。顔には変わったタトゥーらしきものが左目から頬にかかって刻まれている。灰色の世界からの使いとも言えば誰もが納得するその風貌(ふうぼう)。魔族だ。それも――――

「俺はなぁ・・・一応魔王だぞっ!そこら辺の魔物とは格が違うんだぞ!それも・・・エンカウントして5秒ってっ!どういうことだよっ!」

 今まで、自分が瞬殺する立場だった者が、瞬殺される立場に。これは、プライドというプライドをズタズタにするのには過剰(かじょう)過ぎる出来事だった。

 始まりは、少女にとって三日、魔王にとって三百年にも(さかのぼ)る事になる。

 少女が旅に出た日・・・そして、男が魔王になった日。


            ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 その少女、宝玉遣いのムル・S・シュテルネンハオフェンは齢8才にして天涯孤独(てんがいこどく)。親の声すら覚えていない。生活は周りの大人達からの少しずつ御裾分(おすそわ)けで食いつないでいる。

 ここまでなら、まだ可哀想(かわいそう)な少女という認識で済んだかもしれない。・・・だが、その少女は―――――――――異常に偉業だった。

「嬢ちゃん、手を貸してかしてくれないかい?ここ最近、魔物が畑を荒らしてねぇ~、困ってるんだよ。もちろん、このまま野放しにしていたら人にまで被害が及ぶかもしれん。助けてくれんか?」

 その少女は、一言で・・・文字数二文字で承諾(しょうだく)した。顔も名前も知らない相手からの依頼を。

 都合のいいことだ。その依頼を頼んだ人は、少女に対して報酬も、依頼以外は声すらかけたことがない。逆に、少女に対し軽蔑(けいべつ)している。こんな少女、いつでも捨てられる、俺の方が上。と。少女を支配していると、(ふつく)に勘違い(はなは)だしく、莫迦(ばか)も休み休みに言ってもらいたいレベルの思い違いだ。

 少女は異常過ぎた。異形な偉業を成し遂げた。

 人は、自分とは違うものを迫害する習性がある。

 少女とまともに会話するのは、身の周りの世話をしてくれる近所のお母さんと最近滞在している“旅人”位なものだ。

 前に述べたが、少女は勇者ではなく宝玉遣いだ。勇ましくあるが勇者ではない。

 勇者でもない、更には幼い少女が――――――――≪魔物の行進(パレード)≫を一人で、犠牲者も出さずに追い払ったのだから。

 ≪魔物の行進(パレード)≫とは、数百~数千にも及ぶ種族も強さも違う魔物が群れをなし、進撃するといったものだ。通常は、アダマンタイン紋章の冒険者が数十人いてやっと撃退できる厄災だ。それを一人で追い払った例は今までに一度もない。

 分かっていただけただろうか。どんなに異常な、異形な偉業かを。

 どうやって撃退したか。簡単だ。宝玉を使ったのだ。ただ使うのであれば、適性のある者であれば誰でもできる。異常なのは――――――――その量と質だ。

 普通の者は精々一個位だ。二個使えるだけで周りのパーティーから引っ張りだこだ。能力を持続しつづける宝玉は絵本に出てくる英雄の仲間位の者しか使える事を聞いたこともない。

 それをだ、一個や二個といった軽いものではない。千や万を凌駕(りょうが)するかもしれない。

 魔法の籠った宝玉、ものを具現化させる宝玉、料理をしてくれる宝玉等を簡単そうに、道化のジャグリングの様に難なくやってのけた。

 宝玉を軽く見ないでほしい。宝玉を使える人がいるかどうかで生死が決まる事だってある。力が強力過ぎて、逆に誰でも使える宝玉もあるぐらいだ。勿論、本当の力を10%位しか出せないだろうが。

 それに、宝玉を使う者より、作り上げる者の方が圧倒的に少ない。

 少女はそれも成して見せた。強力な宝玉から日用的な宝玉等もを作り上げた。一日も掛からずに。

 なぜ、少女がそんな事ができるかは分からない。ただ、生まれた時から宝玉を持っていた。それは収納系の宝玉だ。何を収納するか・・・宝玉だ。幾多の宝玉をその宝玉に収納している。更にだ、その宝玉は――――壊れない。収納している宝玉も壊れないといった壊れ性能。壊すには本人の意思で捨てるしかない。

 色とりどりの宝玉達が空を舞うのは、誰から見ても圧巻だ。

 また、性懲(しょうこ)りもなくその力を利用しようと、

「これは魔王の仕業に違いない!魔王を倒さなければ平和は訪れない!嬢ちゃん、魔王を始末してきてくれ。こんな害悪な存在、放って置ける訳ないだろ?」

 魔王より害悪な俗物共の依頼も二文字で引き受けた。

 少女はすぐさま準備をさせられ、月明かりしかない夜に旅に出た。一人旅に出た。

 ただ、誤算だったのは――――――――少女はとてもとても優しく、命を大事にしており、平和主義だった事だ。


           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「おい、手前。俺をここまで呼んだのには、さぞかし重要な理由があるのだろう?」

 まだ薄暗い早朝、水平線の見える海岸に二人はいた。

「で、何の用だ。」

 魔王はそう少女に聞いた。自分が惨敗した少女に。

「あのね、あのね」

 少し舌足らずな喋り方をする少女は、

「たびにでりゅにょ。」

 こっちの意味でも舌足らずでした。

「いってら。」

 興味なさそうに受け流す魔王。

「たびびとしゃんかりゃね、きいたの」

 お、のが発音できた。ガンバレ。

「せかいはひおいんだって」

「ひおい?・・・ああ、広いか。」

 ナイスです。魔王。

「で、どうした?」

「たびにでりゅには、いろいろひちゅようやって。」

「用意すればいいじゃないか。」

「あとね、ひとつにゃの。」

 可愛い。

「ああ、なんだよ?」

「あのね、ほごしゃだって。」

「へぇ~・・・帰っていいか?」

 嫌な予感を察したのか、魔王が帰ろうとした。しかし回り込まれた。

「保護者なら親にでも頼め。」

「おや、いないにょ。」

 おおっと、地雷を踏んだぁぁ。断りづらい地雷を踏んだぁぁ。

「え、ええと、あっ、その旅人ってやつに頼めばいいじゃないか。」

「たびだった。」

「えっ、あっ、はい。」

 魔王は逃げ出した。しかし回り込まれた。

「ほ、ほら、俺魔王だから、色々忙しいから。」

 必死の抵抗。

「ひてぃぉりだったにょに?」

 ぐさ。痛恨の一撃。急所にあたった。

「ああぁぁぁっっ!!もう分かったよっ!」

 やけです。

「一緒に行ってやるよ。」

 少女は目を輝かせ、

「ほんとに」

「アッシュだ」

「ん~?」

「アッシュ・アリージャンスだ。俺の名前だ。」

「あっしゅ~♪」

「手前の名前はなんだよ。」

「むるぅ~♪」

「ムルね、はいはい。いい名前だな。で、どうやって旅に出るんだ?」

「えっとね、こう~。」

 ムルが一つの宝玉出した。飛行(フライ)の宝玉ではない。収納系だ。かなり強力な・・・

「はい?」

 それが灰の魔王、アッシュ・アリージャンスの最後の言葉になった。一時的に。

この宝玉遣いの一人旅は、まだ投稿してない作品の外伝です。

宝玉遣いの名前の由来は、

ムル=すべて (沖縄の方言)

S=スフェール=宝玉 (フランス語)

シュテルネンハオフェン=星屑 (ドイツ語)

です!・・・かっこよさとノリで決めましたが?

灰の魔王は、

アッシュ=灰 (英語)

アリージャンス=忠義 (英語) だったかな?

完全にノリですが?

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