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ブーストアッパー (旧版)  作者: クマ将軍
第二章 超能力学園
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第4話 試験という名の実戦 後編

 正面から疾走する二人。能力を発動したメタリカは通常よりも驚異的なスピードで向かってくる。


(何が『硬化』だ!身体能力も上がってるじゃねえか!!)


 拳を放ってくるメタリカ。俺は身を屈めて回避すると同時にメタリカの腹に肘打ちを放つが、メタリカを吹き飛ばしただけで大したダメージを与えられていないようだった。

 肘は身体の中で最も硬い部位だがメタリカには効かなかった。『硬化』の名前通り、やはり身体もかなり硬かい。そして硬いだけではない。


(吹き飛ばす時にかなりの重さを感じた……体重も増加しているのか)


 体勢を立て直し突進してきた。俺は脚を強化し跳躍。メタリカの頭付近の高さまで届くと今度は右膝を一点強化。飛び膝蹴りの要領で一撃を頭に加えた。


「ガァアッ!?」


 一点強化に耐えられなかったメタリカはその場で身体ごと回転し倒れるが、直ぐ様に起き上がる。そこに俺の回し蹴りがまたも頭に追撃する。


「グッ!まだじゃ小僧ォ!!」


 ならばそこにもう一撃を入れるまで。俺は先ほどと同じように回し蹴りを入れる。だが今度の回し蹴りは一点強化だ。

 俺の強化された一撃を受けて、バウンドしながら吹き飛ぶメタリカ。やがて漸く勢いが弱まり受身を取る。

 立ち上がるメタリカだが、ふと何かに気付くと右頬に触れる。そこにはヒビが入っていた。

 余波だけで民家諸共エネミーを消し飛ばした一点強化の一撃を2回も受けたというのに漸く与えたダメージはヒビという事実に若干驚く俺。


(なんつー硬さだよ……)


 だが一点強化2回分で漸くダメージを与えられた情報は強化された成長能力により自分の強化スペックを引き上げた。

 それにより次回は一点強化しなくとも普通の強化だけで同じようにダメージを与えられるようになる。


(成長速度強化様様だぜ……)


 だがそれでも油断は出来ない。相手の攻撃はこちらの強化した防御でさえも突破してくるとこれまでの予測で確信している。

 そんなことを思案していると突如、メタリカは両手の指を地面に突き刺した。その行動に訝しむが次の瞬間俺の目の前に壁・が出現した。


「なっ!?」


 この壁が出現する前、俺はメタリカが地面に指を突き刺しながら持ち上がる所をみた。


(地面でちゃぶ台返しとか滅茶苦茶だな!!)


 迫ってくる地面の壁。俺は咄嗟に自分の右手を手刀にし、左脇に構える。

 地面の壁が己の間合いに入った瞬間、手刀を居合い切りの要領で振りぬいた。

 壁が真っ二つに割れ、俺を避けて通過する。だが俺はそんなことを確認することも無く、この壁を生み出した存在の接近に気が付く。


「アァッ!!」


 繰り出される一撃。俺は咄嗟にその一撃を両腕で防いでしまった。


(しまっ!?)


 腕の骨が折れる感覚。そんな他人事のように感じながらも吹き飛ばされ、壁にめり込んだ。


「グッ……クソッ!」


 壁から抜け出そうとするが、メタリカが追撃して来る。

 俺は身を屈み、一撃を回避することに成功。だがその代わり後ろにある壁が破壊されその衝撃によりまたもや吹き飛ばされた。


「何回も何回も吹き飛ばしやがって!」


 体勢を立て直しメタリカのほうに向き、反撃しようとしたがメタリカが壁の破片をこちらに蹴った。

 今の強化された身体では壁の破片程度受けてもダメージは無いが視界が塞がれるため、破片を避ける。

 すると強化された感覚がメタリカが己の背後にいることを知らせる。


「フッ!!」


 放ってくる拳をもう回復した腕で受け流す。

 今度は回し蹴り。バク転で避ける。

 次は後ろ回し蹴り。屈んで回避、立っている残りの足に蹴りを入れる。


「ヌッ!?」


 転ぶメタリカ。その隙を逃さずに俺は右手首を踏みつけて固定して、思いっきり右腕の関節を蹴った。


 ―――先ずは一本。


 腕を無くしたメタリカは咆哮をあげながら距離を取る。


 ―――まだだ、まだ敵は死んでいない。


 笑みを深める。まだ敵を嬲り殺し出来ることに対してなのかは分からない。

 己の中に宿る『何か』が出て来る。『何か』が囁いて来る。


 ―――敵は徹底的に叩き潰せと。


 一瞬敵の動きが止まる。理由は分からないが好機だ。

 敵に向かって疾走、そのことに敵は漸く我に帰ったようで迎撃してくる。

 残る左腕で攻撃。俺はタイミングを予測して回避、敵の懐に入り強化した握力で空振りになった左腕を掴む。

 逆上がりの要領で回転、今度は左腕を捻じ切る。


 ―――二本目。


 着地すると同時に放たれてくる蹴り。バク転で回避し接近、飛び蹴りで敵を後方に下がらせ、首に飛び乗る。

 身体全体を限界まで強化。敵の顎部分を掴み、持ち上げる。


「アアアアアアッ!!!!」

「ヌオオオオオッ!!!!」


 力の根競べ。徐々に俺の身体が後ろに傾く。ボキボキと鳴る首の骨。

 俺は一瞬力を緩め再度力を入れる。瞬間、俺の身体が浮遊感を感じ、地面に倒れこむ。

 俺の手元を見るとそこには敵の首が、そして前を見ると首なしの身体が倒れる光景を見た。


 ―――俺は、見事敵の首を捻じ切ることに成功した。

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