第1話 学園長と新しい名前
超能力学園とは、能力者の保護並びに超能力の育成を目的とした施設です。
また、近年発生しているエネミーを対処するためのカリキュラムも導入しており、毎年更新される最新設備で生徒を全面的にバックアップします。設備だけではなく教員達も皆優秀で生徒達は教員達に気軽に相談できます。そして万が一にも生徒達に危害を加えられないように学園長自ら施した結界により、学園のセキュリティ周りは万全です。
本学園の創設者であるクロノス学園長は、世界を救ってきた実績、そして数多の能力者を保護し、導いてきた実績があります。
歴史の始まりは中世ヨーロッパ初期にクロノス学園長が娼婦の間に生まれてきたのが始まりであり、生まれて早々娼婦達を絶望の淵から救い出し、村の飢餓を解決しました。そこから間もなく軍が侵攻を開始し………
「おい何だこのパンフレットは」
今俺は水島姉妹達に超能力学園まで道のりを案内をしてもらってる過程で、手渡されてきたパンフレットを読んでいた。
全部で500ページ以上を超える厚さで肝心の中身は学園の紹介1ページ、残りは学園長の武勇伝だった。
「面白くなかったの?」
「いや、想像以上に面白かったが」
「ならいいじゃん」
そう、かなりの厚さであるにも関わらず結構面白いのだ。次々と故郷に起きる事件、その事件を学園長が想像もつかない方法で解決して行き、事件の黒幕を容赦なく断罪する様にスカッとさせる内容で読者を飽きさせなかった。
だがそれはそれこれはこれ。パンフレットでやっていい内容ではない。
「確かに昔はこの内容について議論をしていたのだけどね」
パンフレットに載せて、出版しない理由。
それはこのパンフレットは学園に来ないと手に入れることが出来ないらしく、口コミにより広がった武勇伝の評価を確認するためには実際に学園に来なくちゃいけない。学園側の関係者は学園に来た人々をどさくさに紛れて施設を案内し、興味を持たせようとする作戦だったのだ。
「何てえげつない作戦なんだ。人の興味に付け込む何て、人間のすることじゃないぞ」
「何を言ってるの貴方?」
「何を言ってんだお前?」
前回人間とは思えない戦い方をしたことを棚に上げて発言したことに見事、ハモった姉妹であった。
「それで?もうすぐ着きそうか?もう読破したぞ」
「いや、能力を使ったらそら読破するだろ。なんだよパラパラって。度肝抜かれたぞ」
「それにまだ10分も掛かってないけどね」
「いやてっきりなんか能力使って行くんだと思ったんだよ。こう……瞬間移動みたいな」
「瞬間移動じゃないけどそれに近い方法で行くわ」
「さてと着いたぜ」
着いた先はある家の前だった。そして表札には水島家と書かれていた。
「ここは?」
「ようこそ私達の家へ。さぁ上がって」
家に上がる俺を確認した水島姉妹は家の奥へと案内する。
俺は姉妹の行動に訝しながらも着いて行くと奥にあるドアの前に立ち止まり、こちらに振り返った。
「ビックリするなよ?」
「ようこそ、超能力学園へ!」
そう言うと同時に水島姉は一気にドアを開けた。
「なんだこれ……すげえ……!」
ドアを開けた先は異世界だった。澄んだ空気、草木が飛ぶ心地よい風、辺り見渡す限り緑の大地。そして扉から続く土の道先には巨大な建造物があった。
「残念だけど異世界じゃないんだなこれが」
「口に出てたわよ」
どうやら口に出してたらしい。
「正真正銘、地球の何処かよ」
「何処かってどこだよ」
「さぁ?でも学園長が言うには昔、地球上にある大陸の一部を能力で切り取って外部から認識出来ない様に隔離したっていう話よ」
「マジかよ……」
他愛ない会話をしながら、道なりに進むと校門に着いた。
中に入ると魔法の学校みたいな想像と違い、意外と普通の現代みたいな校舎だった。
「意外と普通だと思ってるだろ?」
「えっ?」
「俺も最初はそう思ったからな」
水島妹によると普通のほうが耐暑、耐寒が優れており、清潔的だそうだ。別にそこだけ現実思考じゃなくても。
「しゃあない。俺達は魔法使いじゃなく超能力者だしな」
しばらく歩くと一つの扉の前に着いた。表札には『学園長室』と書かれていた。
水島姉がノックすると中から、
「入っても良いですよー」
という声が出て、俺達は中に入ると……
「ようこそ♪超能力学園へ!エネミーとの戦いは良かったよー♪」
そこにはぶりっ子ポーズしている妙齢の美女がいた。
「無理すんなババッァフ!?」
何故か頭上にタライが落ちて来た。
「ってぇ〜……なんでタライがっ!?」
「いや、それはお前が悪い」
「そうだぞ!レディに対して酷いぞ!」
「すまん、あまりにウザくて……ってあれ?」
頭を押さえながら学園長のほうに向くと、そこには見た目中学生ぐらいの少女を立っていた。
「どういう……ことだ……?」
「紹介しましょう広樹君、この方がこの学園の創設者である学園長の……」
「ク・ロ・ノ・ス・よ♪よろしくね?転入生の
アッパー君♪」