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ブーストアッパー (旧版)  作者: クマ将軍
第一章 始まりのボーイミーツガール
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第2話 強化という能力

 俺が自分の能力を認識しだしてから数週間後。

 俺は自分の能力について検証していた。


「まだ頭が痛い……加減するの難しいなぁ」


 それまでに分かったこと。それは自分の能力が強化だということ。

 強化したいところを意識し、集中する。するとその箇所にあった機能が増幅する。


 例えば自分の五感を強化するように集中する。

 すると周りの風景がゆっくりになっていく。


「でねでねーそのうちの彼氏がさー」

「えー?マジー?」


 遠い所にいる人々の声も認識でき、空を飛んでいる鳥の動きはまるでズームされたようにはっきりと見える。

 食べ物を食べている時に味覚を強化すれば構成している材料が分かり、

 記憶力を強化すれば数ヶ月前に食べた夕飯の内容だって思い出せた。


(これは……強化の内容によって何でも出来るんじゃないのか?)


 そう思った俺は良くあるSFに出てくる人間の脳の使用率を上げれば超能力が発現するという内容を試そうと思った。


「…………」


 決心がつかない。実際に脳の使用率を上げれば超能力が発現するという根拠が本当かどうかも分からない。

 それに使用率を上げれば無事でいられるのか、五感の強化だって脳に関係することかも知れないし、そもそも強化という能力も超能力の一種じゃないか。

 様々な思考が思い浮かんだが最終的に試すのはやめた。結局のところ自分は怖いのだ。


「なぁ〜広樹ぃ〜彼女に振られちゃったよー」

「知らんがな。ってかお前彼女いたのか」

「あ゛あ゛〜俺はどうすればいいんだーっ!」

「取り敢えずジュース買ってきて」

「酷くねっ!?」


 昼休みの時間、俺と友人は学校の屋上でこんな話をしていた。

 まさか本当にジュースを買いに行くとは思わなかったが。

 友人が来るまでの間、俺はいつも通りの日課である自分の能力の検証を始めた。


 強化するのは聴覚、視覚そして莫大な情報を処理する処理能力。

 処理能力を強化するのは脳の使用率を上昇させることではないか?と強化して気づいたのが一週間前。

 あれほど悩んでたのが馬鹿らしくなった。


 次第に学校中の音が自分の耳に集まり、音は雑音となり騒音になっていく。

 それを強化した処理能力により聞きたい音、不要な音を取り捨てする。

 最初の頃は処理能力を強化していなかったため、酷い頭痛が起きた。

 だが今はその心配はない。


 学校中の会話を聞いて、その中で気になる会話を聞いた。


「なぁ姉ちゃん、監視するの飽きてきたんだけど」


(監視?誰を監視するんだ?それにこの声……)


「しょうがないでしょ?それが私達の任務だから。

 それに貴女は対象から離れないでって言ってるでしょ?」


(任務?対象?この声は校庭の辺りか)


 そう思って俺は校庭にいる声の持ち主を探す。


(見つけた……あれは転校生の二人?)


 すると突然、転校生の一人である水島沙織がこちらに向いた。


(!?)


 急いで身を隠す。気づいたのか?

 未だに聴覚を強化していたため集中して会話を聞く。


「姉ちゃん、どうしたんだ?」

「どうやら対象が私達の会話を聞いたらしいわ」

「なっマジか!?」

「どうやら私達と接触する時も近いわね」


 俺はそこで強化しているものを解除し、代わりに先ほどの会話を推理するために

 片っ端から推理に必要そうなものを強化していく。


(声の持ち主は夏休み明けに転入してきた水島姉妹のものだった)

(俺が自分の能力を認識したのは夏休み明けから数週間後)

(認識をする前に水島真紀が俺の事を見ていたのは先の会話から推測するに監視するため)

(監視するのが彼女達の任務だと言った。つまり監視の対象は俺ということ)

(監視される理由は?それは一つしかない俺が持ってる強化の能力だ)

(何故彼女達は知ってる?それは彼女達が能力のことを知っているもしくは使えるからだ)

(そう、使えるからこそ水島沙織は突然俺のいる所に振り向いた)

(水島沙織は感知タイプなのか?他にも俺みたいな能力を使える奴がいるのか?)


 そこまで推理して強化を解除した。頭痛が起きたからだ。

 俺はぼんやりとした感じで空を見上げた。


(……検証した結果、過度な感覚系強化は脳に負担が掛かることが分かった)


 日課である能力の検証の結果を考えるというズレた思考をしながら友人が帰ってくるまでぼんやりと過ごした。




 SIDE 水島姉妹


「こちら、メトリー。どうやら対象はこちらに気づいた模様」

『了解した。作戦通り、化け物一体をそちらに誘導させる』

「……今更ですが、この作戦は対象にかなりの負担を与えます。

 せめて彼にもこのことを話したほうが……」

『それはできない。お前も知ってる通りこれは学園長が決めたことだ』

「……了解しました」

『ではよろしく頼んだ』


「どうだった?姉ちゃん」

「作戦通りに進めるってさ」

「そうか……でもこの作戦ってないよなぁ。

 比較的に弱い部類だとしてもいきなり

 能力に目覚めたばっかの一般人に戦わせるとか」

「そうよね……よし!決めた!明日、彼に作戦のことを伝えるわ!」

「さっすが俺の姉ちゃん!そうこなくっちゃ!」




 俺の日常が変わり、俺の人生の転換期が来るまで残りわずか……

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