表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブーストアッパー (旧版)  作者: クマ将軍
第二章 超能力学園
16/16

第11話 無能共に断罪を 後編

 時刻は朝。場所は屋敷内の大広間に俺は今、約束通りにジジイ共の前にいる。

 広い屋敷なのかこんな山奥にいても照らしている陽光に陰りは無く、空気も澄んでいる日でとてもこれから起こるだろう惨劇とは思えない天気だった。


「貴様……ッ!まだ生きておったのか!?」


 現烏丸家当主、烏丸玄十郎は俺が生きていることに驚愕する。

 昨日、俺は堂々とこの家を潰すと宣言し、敵地であるにも拘らずこの家で一晩を過ごした。その様な行動をすれば当然、命を狙うだろう。現に俺は敵襲に遭ったが、まゆりの目から離れ返り討ちにした。


「言っただろう?俺は約束を守る男だぜ?お前達に会う前に死んでたまるか」

「馬鹿なッ!?貴様に差し向けた刺客は何十人も居るのじゃぞ!?貴様が生きているはずは無い!」


 よっぽど自信があったのか、俺が生きているという現実に理解に苦しんでいるようだ。


「嘘だと思うなら中庭を見ればいいじゃないか。あんた等の自慢の刺客はグッスリと眠っているぜ?」


 俺がそう言うとジジイの部下がこの大広間にある、中庭へと通じる襖を開ける。


『なっ!?』


 大広間にいる全員絶句する。俺の言ったとおりコイツ等の刺客全員、中庭にいた。だが刺客は既に息絶えており、大きな血溜まりの上に積み重なるように存在していた。


「どうだ?見易い様にちゃんとここから見える位置で重ねたが……お気に召さなかったようだな」

「な……な、何故この様な事をする!?ワシ等は由緒正しき一族じゃぞ!!ワシ等がいなかったら政府共が存在していなかったのじゃぞ!?」

「この家が先祖みたく公私混同せず仕事熱心であれば、人の未来を汚す以外の方法で代替わりしてくれればこの様な方法を取らずともよかった。今のような無能集団はこんな目に遭うのがお似合いだよ」

「む、無能だと……!?貴様、言うに事欠いてワシ等の事を無能だと!?」

「無能じゃなかったらなんだ?人を守るのがこの家の使命だというのに、仕事をしないわ、人の未来を汚そうとするわ、家族にも拘らず実験で人を殺す。これが無能じゃなかったらなんと言えばいいんだ?」


 俺の反論にあまりの怒りに顔を赤くする烏丸家の人々。その中には一切の罪悪感や反省の色は見受けられない。まったくもって当主も無能ならその下も無能だな。


「ええい黙れ黙れ!!ワシ等に対するこの仕打ち、生きて返さんぞ!!」

「元よりこの家は潰す予定だ。それが早いか遅いかの違いだ」


 そういうと俺を囲む烏丸家の人々。当主であるジジイはそこからまったく動いてなかった。


「なんだ?ジジイは来ないのか?」

「貴様如きに当主が動くまでもない!!」

「死んであの世にお詫びしろ!」


 何処から仕込んでいたのかは分からない刀を抜く烏丸家の人々。俺が構えてもいないにも拘らず一斉に襲い掛かってきた。

 俺は自身の能力を発動。身体能力と感覚を強化し、そのお陰で相手の動きを見切る。全方位から来る斬撃を手の平で刀の腹を押し、受け流す。


「な、何故当たらない!?」


 前から来る振り下ろしに指二本で白刃取りし、手刀で叩き折る。そのことに怯んだ相手の喉元に目掛けて折れた刀の切っ先で突き、掌打で相手を中庭まで周囲にいる敵を巻き込みながら吹き飛ばす。


(ここじゃ狭いねぇ……外に出るか)


 次に来る斬撃を受け流し、瞬時に中庭に移動する。


「なっ、消えた!?」


 中庭に移動した俺は吹き飛ばされた敵に追撃し、戦闘不能にする。するとなにやら敵は俺と距離を取りながら囲み、手を突き出す。


「駄目ッ!兄ちゃん逃げて!!」


 突如響いたまゆりの声。だが、


「もう遅いわ!!」

『『『重力操作グラビティコントロール!!』』』


 瞬間、俺の体が鉛のように重くなった。


(これは……もしかして『重力』の能力かッ!)


 おそらく『重力』の能力により俺の周囲を加重しているのだろう。あまりの重さに膝をつく。


「どうだ!他の者との連携で増幅した重力の力を!さぁ小僧を殺れ!」

「兄ちゃん!!」


 まゆりが悲鳴を上げると同時に向かってくる敵。だが速度が先ほどと違い、かなり早い。


(能力で自身の重力を軽くしたか!―――だが)


 斬撃を避け、受け流し、反撃する。

 それも俺が動けば動くほど動きにキレが上がり、反撃する回数が増える。それもそのはず今の俺は環境適応能力を強化している。俺の体が異常な重力下に適応し段々と余裕を持つようになっていく。


「てめぇッ!!」

「おっと」


 だが一人俺の動きに必死に着いて来る敵がいた。顔を見ると昨日、俺を囲み部下から隊長と呼ばれていた男だった。


「久しぶりだな」

「クッ……あの、時!……お前を、殺せ……っば!良かった……!!」


 目の前の男は全力で自身の重力を軽くして此方に食らい着いて来る。だがその口調に余裕は無かった。

 俺は隊長を無視して身体能力強化をもう一段ギアを上げて、一瞬で俺に加重をしている敵全員の首を捻じ切る。


「小僧……ッ!!……新垣!殺れ!」

「ハッ!」


 突如、敵の一人がジジイの合図と共にまゆりに向かっていく。


「まゆり!?」


 俺がそう叫んでもまゆりは俯いていて一歩も動く気配は無い。だが強化された感覚によりまゆりが呟いた言葉を拾った。


「過負荷重力オーバーロードグラビティ」


 そう呟いた途端、まゆりに向かっていった敵は一瞬にして潰れた。


「……まゆり?」

「な、何が起こった?……まさか、まゆり貴様なのか!?」

「もう嫌……」

「まゆり……貴様が何をやったかわかるのか!?ワシ等家族を裏切るつもりか!?」

「おい、先にまゆりを殺そうとしたくせに何を―――」

「黙れ!貴様には聞いとらん!答えろ、まゆり!貴様ワシが養子にお前を連れてきた恩を仇で返すつもりか!?」

「うるさい!クソジジイに恩を覚えたことは無い!喜美子さんを苦しめて、兄ちゃんを脅そうとするこの家に恩なんか無い!」


 己の気持ちを吐露するまゆり。ってかさりげに俺の事を脅そうとしてたのかこのジジイ。しかも、あの様子だと多分まゆりが報復しなかったのは能力を持たない喜美子さんを人質に取っていたのか。


「余所見するなぁ!!」


 とそこまで考えに耽っていると後ろから隊長が襲い掛かってくるが俺はその攻撃を振り返らずに回避。強化していない身体で顔にカウンターを決める。

 突進してくる勢いのままカウンターを決められた隊長はその場で回転して倒れる。見ればカウンターを受けた顔は陥没していた。


(加重された重力の中で適応したから素の身体スペックが上がったのか……こりゃ後で制御の訓練をしないとな)


 事切れた隊長を流し目に残っている敵に視線を向ける。視線を向けられた敵は硬直し、徐々に後退し始める。


「貴様ら!何をやっている殺せ、殺せぇ!!」

「言っても無駄だ」


 そう言って俺はジジイの方に振り向く。そして向き終わると同時に中庭にいる敵全員の首が落ちた。振り返る前、俺は身体能力を強化して敵の首を一瞬に手刀で切ったのだ。


「な、何をした……?」

「あの世で考えろ」


 ジジイに近づき、蹴りで男性の急所を蹴り上げる。蹴り上げた所から確実に潰れる感触が足に伝わる。まゆりはそんな俺の行動を黙って見ていた。


「ギャアアアアアアアアアア!!!!!!」


 辺りに響く絶叫をしながらその場でのた打ち回るジジイ。しばらくすると痛みが弱まったのか股間を押さえながら此方を見上げる。


「何故、この様なことをする……」


 今のジジイの表情は青ざめており、目に恐怖を宿しながらこちらを見る。

 よく見るとジジイの足元には血溜まりがあるが俺は気にせず爺の首を掴み、引き寄せる。


「何故って?お前等が俺の敵だからだ。敵は徹底的に潰す。そこに慈悲も容赦も無い」


 ジジイの瞳が反射して俺の顔が映る。そこにはメタリカの言っていた通り、笑みを浮かべているがその目には憎悪の感情を宿していた。


「空への旅へ行って来い」


 身体能力を全力・・で強化してジジイを空中にぶん投げた。

 急に身体に襲い掛かる急激なGに耐え切れず、骨が折れ腕が変な方向に捻じ曲がる。やがて大気圏を突破し、酸素も無く呼吸が出来ないまま停止。地球の引力に引きずられ徐々に降下する。またも大気圏に突っ込むがあまりの熱量に肌が焼け崩れ……その場で消滅した。


 これで、烏丸家はこの世から消えた。もう誰も烏丸家の私欲に付き合うことは無くなったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ