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ブーストアッパー (旧版)  作者: クマ将軍
第二章 超能力学園
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第9話 無能共に断罪を 前編

「フッフッフ……兄者に見せようこれが某のテクじゃ!!」

「残念だったな……残像だ」

「ファ!?どどど、どうやって回避したの!?こんなシステムあったっけ!?」

「おい素出てるぞ」

「あっいや……おのれ!もしやバグか!バグなのでござるな!?」


 今俺とビティは俺の部屋でゲームをやっている。

 ジャンルは対戦アクションゲーム。ビティのキャラが全方位展開の攻撃を仕掛けてくるが、俺は自身の感覚を強化。フレーム単位でビティの攻撃を見切り、その攻撃の合間を掻い潜り回避する。


「ではこちらの番だ!」

「ちょ、まっ!?待って兄ちゃん!?」


 俺のキャラを一瞬で相手のキャラに接近させる。そして俺は記憶力強化で記憶した全コンボ技を叩き込む。空中で踊るビティのキャラ。俺の攻撃は相手のHPゲージが尽きるまで続いた。


「えぐっ……ぐすっ……兄ちゃんの馬鹿……」

「す、すまん……ちとやりすぎた」


 結果、ビティが涙目になり俺が慰めることになるがまぁ俺の自業自得だろう。




 ◇




「いや〜楽しかったなぁ」

「兄ちゃんの鬼畜……」


 暗くなったところで俺達はゲームをやめる。俺は喉が渇いたため冷蔵庫で水を取りに行った。そして取りに行く途中俺はふと思い出す。


「そういえば明後日はビティの誕生日だったな」


 そう明後日はビティの誕生日だ。養子に引き取られる前は毎年ケーキを買い、プレゼント送っていた。引き取られた後は文通だけ認められていたのだが誕生日の日は祝いの手紙を送っている。


「えっ?……ああ!そうだね!いやー自分の誕生日を忘れるなんて不覚だなー」

「ビティ?」


 おかしい。違和感が押し寄せてくる。確かにビティは笑っている。だが俺の感覚が告げていた。故に俺は咄嗟に聞いた。


「……まゆり。何かあったのか?」

「ん?いやなんでもないよ?」


 まただ。また違和感を感じた。何時だ?何時まゆりはこんなにも嘘が上手くなった?目も、顔も笑っている。声も本当に俺の言葉に疑問を感じているみたいだ。だが俺はそれを嘘だと直感する。

 俺はまゆりに近づく。まゆりの本心を見るために。俺が意識しなくとも能力が勝手に俺の感覚を強化する。まるでこの状況を逃すなと。逃すと手遅れになると。


「ど、どうしたの?兄ちゃん?なんか怖いよ」

「まゆりの方こそどうしたんだ?何時からそんなに嘘が上手くなった」

「えっ!?ちょっと待ってよ!私が何時嘘をついたの!?」


 それでもまゆりは嘘をついていないと主張する。それでもいい。これが俺の杞憂だったらそれでいい。だが俺の感覚はそれは違うと確信している。

 悩みや苦悩、葛藤とはレベルが違う。これは諦観を抱かせるほどの問題だと直感する。

 ならその問題はなんだ?学校か?友人関係?いや、どちらも違うと直感が告げる。なら一つだけ、まゆりが住んでいる家だ。


「……お前を引き取った家の事か?」


 瞬間、僅かにまゆりは目を見開く。それはとても僅かな変化で普段の俺なら気付かないほどだった。

 そして俺は気付く。まゆりがここまで嘘が上手くなったのはあの家の所為だと。




 ◇




「えっ?外の世界に行きたい?」

「そうだ。ちょっくらビティの実家に行きたい」


 俺は今学園長室にいる。目の前にはテレビゲームをやっているこの超能力学園の学園長がいる。

 あの問答からまゆりと別れ、俺は急いで学園長室に来た。外の世界に行くには担任、並びに学園長が許可しないと行き来出来ないのだ。


「ビティちゃんの実家……烏丸家ね」

「烏丸家?有名なのか?」

「裏舞台ではね。あの家は先祖代々影で政府の護衛をしている由緒正しき家柄……だったわ」

「だったってなんだ」

「ここ100年なにもしてないのよ」


 烏丸からすまる家。

 幕府が生まれると同時に生まれた『重力』の能力を持つ能力者だけ構成されている忍者の家系である。

 その主な仕事は用人の護衛……だったが時代が流れると共に怠慢と見られる行動が目立っていく。

 やがて現在では、先祖の威を借りて政府に無茶な要求をするようになったのだ。


「無駄に威張り散らして、自分達が護衛したからこそお前達は生きていられたのだ、とかその見返りを求める、とかなんとか」

「でもそんな態度を取るなら政府は無視すればいいじゃん」

「それもそうもいかないのよ。なんか政府はその家に弱みを握られてるし」

「弱みィ?そんな重要なものなのか?」

「別にそんな対した弱みじゃないわ。ただの不祥事に関することよ。でも弱みというのは持っている認識によって価値が変わるからね」


 だがこれで俺の疑問が解けた。そんな問題が多いところにまゆりが暮らしているなら悩みの一つや二つ起こるものだ。

 まゆりが引き取られた先の家から住所も電話も教えてもらえなかった。文通宛の住所なんて調べたら違う場所だった。


「そういえば明後日はビティの誕生日なのね。貴方が先に気づいてもらえてよかったわ」

「どういうことだ?」

「烏丸家にはね……ある因習があるの」

「因習だと?」

「より重力の能力者を残すために全国から少年少女を引き取り、結婚できる年まで育ててるの。そしてその子供が結婚できる年まで成長したら結婚させ重力の能力を持った子供を産ませ、時期当主にすることそれが古くから伝わる烏丸家の因習よ」


 能力者が生まれる要因は主に事故やとあるきっかけにより後天的に覚醒すること、先天的に持って生まれること、そして能力者同士が結婚し親のどちらかの能力を遺伝することである。

 片方の親が普通の人間だった場合、子供が持って生まれる能力は能力者である親の能力か普通の人間として生まれるかである。

 もちろん親が同じ能力であれば子供も同じ能力を持つ。この特性を利用して烏丸家は重力の能力者を生み出して行ったのだろう。


「……明後日、まゆりは16歳になる……ということは」

「そう日本の法律では女性の結婚出来る年齢は16歳、明後日ビティちゃんは結婚させられるわよ」


 それがまゆりが抱えていた問題。この状況に俺は烏丸家に対して怒りを覚える。


「ねえ、アッパー君。貴方に依頼を出すわ」

「依頼!?何を悠長に―――」




「貴方にこの烏丸家を潰して欲しいの」

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