プロローグ「バッドエンド」
俺、沖 冬弍は卒業式が終わると、校舎裏に紫藤 姫奈という女の子を呼び出した。
姫奈は文武両道でおまけにスタイル抜群。さらに腰ぐらいまである綺麗な黒髪が特徴的な女の子。
三年連続でミス紗々美に選ばれるほど異例の可愛さをもつ、紗々美学園一の美少女に俺は告白をした。
結果はNOだった。
理由を聞いたら、「冬弍は私の気持ちを何もわかってないよ」と言われてしまった。
姫奈とは小学校からの幼馴染みで、俺が姫奈のことを一番理解してると思っていたが、一番わかっていなかったのかもしれない。
俺が卒業式の日に告白をするなんてこだわっていなければ、もっと早く気持ちを伝えていれば、きっと答えは変わっていたかもしれない。
(俺の高校三年間が無駄に終わったー。できることなら入学式からやり直してー!)
「そんなにやり直したいの?」
「あまり前だろ!この日のために積み重ねてきたものが、一瞬で水の泡になったんだぞ!」
って、俺は何と話をしているんだ?
あたりを見回すが、声の主は見当たらない。振られたショックで頭がおかしくなったのかもしれないな。
「何を探しているの?上よ、うえ!」
上?…女の子が、う、浮いてる⁉︎
「やっぱり、俺の頭はおかしくなったんだ」
「待て、待て。たぶん、おかしくはなってないと思うよ?」
「思うよ?って何で語尾にはてなマークがついてるんだよ?」
よく考えたら、浮いてるだけじゃなくて、少し透けてる気もするし、心を読まれてるし、もしかして幽霊なのかな。
「もしかしなくても、私は幽霊!」
「ですよねー(笑)」
「ちょっ!何で驚かないのよ!!」
何でって言われてもね。
理由はないと思うけど、強いて言うなら。
「俺の脳が正常回転してないせいかもな」
「ふーん。あんた、本当に高校生活をやり直したいの?」
俺はこの質問に考えることなく、即答した。
「ああ!できるならやり直したいに決まってる」
「条件があるけど、それでもいいなら」
「その条件は?」
「美少女がこんな美味しい話をしているのに、裏があるとか疑わないわけ?」
言われてみれば確かにそうだな。
こいつをよく見たら、同じ学校の制服を着てるし、茶髪のショートヘアがとても似合っていて、かなりの美少女だ!
「そんなに…じろじろ、み、見ないでよ。恥ずかしいじゃん」
「おっと、すまん。結局、条件は何なんだ?」
「過去に戻って、助けて欲しい人がいるの!」
「そんなことでいいなら、任せろ!」
「返事が軽すぎない?本当にいいの?」
人助けをして、高校生活をやり直せるのなら、安いもんだろ。
「任せてくれ!」
「じゃあ、詳しい話は向こうに着いたら、するから」
「む、向こうって…」
幽霊の美少女が俺の頭に触れると、ふわっとした感覚がして、意識が遠のいていった。
人生初の恋愛というジャンルに挑戦します。
自分自身の恋愛経験が少ないのですが、頑張って書きますので、よろしければ応援よろしくお願いします。
あと、タイトルは仮タイトルなので変わるかもしれません。