友情と恋
「え、えっと……」
数人の男子生徒に寄られ、俺はとまどう。
ーー彼氏って、いるわけないじゃないか!
俺が口を開きかけた時、幸平が突然わって入ってきた。
「朝日は俺のだよ!ほら、行くぞ」
「わっ!」
腕を捕まれ、そのままの勢いで教室をあとにする。
ーー俺のって、なに!?
「…幸平!さっきのなんだよ」
歩きつつ聞けば、寂しそうな笑顔の彼が振り向いた。
「あぁでも言わないと、長くなりそうだっただろ?」
「……そうかもしれない。けど、何か誤解されたよ。絶対!」
俺が叫ぶように言うと、突然幸平が歩みを止めた。
「…俺は別にいいけど。朝日のこと本当は好きだから。」
「え」
俺を覗き込むな真っすぐな目で、彼は言った。
ーーこれ、告白?
わからない。ただのおふざけか?
正直、昨日のことがあってこの手のことで笑う気にはなれない。
俺は彼の胸をグーで小突くと歩き出した。
「しっかりしろよ。俺は男だぞ?昨日のことで、ギャグだとしても笑えねぇーよ!」
幸平はしばらく沈黙した後、そうだな、と笑った。
ーーーーそして、放課後がきた。
俺は幸平と学校をあとにする。
ーー逃げたい
「こう、へぃ……本当に行くのか?」
夕焼けの道を歩く。俺は日にてらされた幸平の顔を見上げた。
一方の彼は俺をにどこか引き攣った笑みをかえす。
「あぁ。俺が行かなきゃ朝日が大変なんだろ?」
「…でも。…………本当はこのまま逃げたい。」
あの青年はすでに俺達の家族の情報を握っている様子だった。逃げられるはずがないとわかっていながら、俺はついつい弱音を吐く。
そんなおれに、幸平も小さく俺もと返す。
昨日の店が見えてきた。