地獄の果てに
「っ幸平!逃げろ!!」
オレは呆然とする幸平に向かって叫んだ。
しかし、彼は混乱しているのか動こうとしない。
「っ幸平!!」
いらだった声をだすが、彼は呆然としている。
何故だろうか?今さら自分の恥かしい状況に怯えてでもいるのか?
・・確かに幸平はプライド高そうだけど・・
そうこうしている間にオレはとうとう3人の男に捕まった。
少し乱暴に関節技を組まれているため、身動きできない。
「・・・お前、ふざけやがって!」
「しごいてやろうか!?」
「いてぇー・・」
三人がそれぞれ十人十色に言葉を発する。
オレはもう、何も言わなかった。
こうなった以上、幸平を逃がすのも無理だし、オレが無事に地上にあがれるのかすら分からないから。
若い男がオレの前に歩み寄ってきた。
さっきオレがなぐった頬が赤い。
「・・・・・・」
無言のオレに若い男は笑った。
「・・・始めてだ。殴られたの。・・・初めてだ、暴れられたの・・・」
そして、新鮮な物を見るような目つきでオレをみる。
・・・何をされるか分からない。
オレの体は知らず知らずのうちに震えていた。
無理もないだろう。だって怖いもん。
そんなオレの気を知ってかしらずか、男はオレの頬を一なでした。
「・・・君は芸術だ。」
そして、オレを拘束している男たちに命令口調でいった。
「僕の部屋に飾っておけ」
「は?」
首をかしげる暇もなく、オレは男たちによって連衡されていた。
オレの背中に若い男の声がかかる。
「大丈夫、君の友達は外に放り投げておくから。」
・・・裸で?
質問は胸中になげかける。
答えがないことは分かっていたから。
オレはそのまま、男たちによって置くにある高級そうな茶色いドアの置くへと連れて行かれた。
そこは暖かな部屋で。高級そうなベッドにソファー、テーブル、とまさに貴族の世界だ。
戸惑う俺を、男たちはさらに置くへと連れて行く。
そこにはモウ一つ部屋があった。
それを開いた瞬間、ムッといやなにおいがした。
目をこらしてみると、そこには数人の鎖で縛られた男たちが座り込んでいた。
皆、対して衣服は見に付けていない。
俺はその部屋の隅の鎖でつながれた。
そして、男たちはその部屋から出て行った。
・・・しーん・・・
薄暗い部屋の中で、人と人との呼吸音だけが響く。
「あ、あの・・」
俺は不安になって声をあげてみた。
すると、数人がこちらをみる。
大丈夫、無視はされないだろう。
「・・ここは・・・。ってか、俺たちは何をされるんですか?」
俺の質問には一人の男が答えた。茶色い髪で、ホスト系の男子だ。
「・・ここは、あのイカレ野朗のお気に入りの部屋だとさ。何されるかは夜になれば分かるよ。」
「へ?」
首をかしげる。確かに夜にならなくても、俺には予想がつく。
「・・でも、なんのためにこんなこと・・・・・・」
俺のしつこい質問には、すぐ隣にいた紳士そうな青年が答えた。
「証作りっていってたよ。僕はもう限界・・・」
よくみると、青年お体には傷がところどころみられた。
もしかして、虐待されるのだろうか。
怯える。
「慣れておいたほうがいんだよ~?」
俺と同じ歳くらいの青年が言った。
そして俺に近づく。
可愛い顔をしていた。
「・・何に?」
分かりつつ聞く俺のすぐそばまで来た青年はイタズラ気に笑った。
「教えてあげようか?」
「へ?」
のけぞる俺。笑う青年。
こいつはいかれてるのか?
「やめとけ」
俺がそう思ったとき、ホスト系の男子が鋭く言った。
「・・・ソイツ、過激すぎだから。それに。お前をさっき地獄みたんだろ?まぁ、それにしちゃぁ、少し精神が安定しすぎだけど」
「はぁ・・」
良く分からないまま、俺はうなずいた。
そうこう話しているうちに、ドアが開いた。
俺意外のみんながうつむく。
「?」
中からは、さっきの若い男が出てきた。
男は、俺を見ると、やんわりと笑った。
「やあ、昨日ぶりだね」
そうか、もう時刻は夜なのか。
内心考える俺を男は手招いた。
「こっちにおいで。ケアの時間だよ。」