出来事
東京。
都会。
車。
人。
オレはこの中を友人の幸平と二人で並んで歩いていた。
いつもの町。いつもの日常。
しかし、危険の無い風景にみえたはずの世界のすぐそこに危険が迫っていた。
「いやー、今日も学校疲れたよなぁ~?」
幸平が笑う。
つられてオレも苦笑い。
「そうだね。宿題とかたくさんあるし!もう最悪だぁ!!」
「ハハハ、そういえばお前理科と数学苦手だったもんな」
のんきに笑う親友、幸平は中学校からの付き合いだ。
「なぁ、幸平!一緒に宿題やろうぜ!!教えろよ!!」
拳を握るオレに幸平はいつもの陽気な笑みで苦笑いを浮かべた。
「そんなことしてたら、いつまでたっても頭よくならねぇーぞ?」
いつもどうりの日常。
しかし、危険が近づいてくる。
一歩二歩三歩と。気づいているものは遠ざかる。
「おい、お前等二人・・・ちょっと来いや。」
いきなりオレの耳元で男の声がした。
「っ!?」
振り返ると同時に腕を思いっきりひっぱられ、ある店に連れて行かれる。
「っ離せ!!離せぇ!!!」
腕をほどこうとすれば、目の前にいる男が振り向いた。
まだ若い20代前半だろうか。
気が付くと、幸平も数人の男に手によってつれてこられていた。
髪を引っ張られている。
「っ幸平!!だいじょう―」
ふか、を言う前に店の中にカラオケ店のようにある個室の一つに入れられた。