オーナーと会長
「そう言えば制服変わるそうよ。
午後から説明会だから聞いてくるわね。」月子さんが思い出したように手を打つ。
「あっ、知ってます。3年はリボン廃止なるだけだけど
新2年1年は、男女兼用ポロシャツになるんですよね。
で下はパンツ、スカートでそれも好きの方選べるとか?」さすがサキは早い。
「大学院の方もやっと出入りの確認する通行ゲート作ったんでしょ?
今までは学生証の確認もないし、まず誰が来てるかも確認してなかったとか?」月子さんが聞く。
「そうなんです!結局講義は大学本校の方でやって、こっちは自習室扱いで出入りが自由だったみたいです。
だから、高校と同じ玄関フロアの防犯カメラだけでしか
人物確認出来なくて警察にかなり責められたそうです。
中肉中背メガネ君しかいなくて判別つかなかったのに〜」サキは本当にどこで仕入れるのか色々知ってる。
「三角コーン1個で高校生立ち入り禁止ってしてるのが、まずお粗末すぎたよな。法科大学院なんて言って金ボッたくってるクセによ〜」ヒロが苦笑する。
『月子さん、私達を問題ありすぎる事故物件に行かすの後ろめたくなったんだな…』と夏希は静観していた。
楊世もジッと月子を見ている。
「お邪魔しますよ。」年配の男性が2人連れ立って入ってきた。
「会長さんとオーナーさんよ。この子達です。
女子高生殺人の犯人見つけたの。」月子さんに紹介された。
「すごいねえ〜聞いたよ!大活躍だったね!」
会長さんもオーナーも80近い感じだが、お元気で子供みたいに握手を求められた。
「たまたまです。刑事さんにヒントも貰ったし。」夏希が照れ笑いする。
楊世の視線が痛い。
「わしらは月島で子供時代を過ごした仲間なんじゃよ。
こいつは浅草の旅館に婿養子に入って離れたが。」
商店会会長がオーナーをにらむ。
「おかげでホテル経営がうまくいって、月島にもビル建てたんだから良いだろ。許してくれよ。」オーナーが済まなそうに笑う。
「ケッ、そのビルがお化け屋敷なんじゃろ!」商店会会長が怒る。
「お化け屋敷なんですか?」夏希が聞き返す。
「そうじゃよ!マトモな部屋の方が少ないんじゃ!
1番ヒドいのがエレベーターじゃ!
呪いのエレベーターと住民には言われておるわい!」商店会会長が怒っている。
「なんで皆さん出ていかないんですか?」楊世が眉間にシワを寄せて聞く。
「管理会社が雇ってる人なんですよ。人が亡くなった部屋とかは一度誰か住まないと普通に貸し出せないから。安くで住んで貰うんです。」オーナーは浅草のホテル経営者らしく腰が低くて商売人と言う感じだ。
「あっ、それ知ってる!人が1回住んでくれたら、次の借りる人に人が亡くなった部屋だと言わなくて良いんですよね?」サキが口をはさむ。
「えっ、そういうものなの?」夏希は驚く。
ずっと一軒家なので全然知らない。
「ウチもタワマンじゃん!良く飛ぶのよ〜高いから死体がすごい事なるらしいけど。
そしたら若い男の人が半年くらい住んで〜出て行くの。
そうしたら、もう飛び降り自殺の事もその本人が住んでた部屋だとも言わなくて良いんだよ。」サキが淡々と話す。
「ヒエ〜〜〜ッ、嘘!」夏希もヒロも楊世も驚く。
恐ろしい不動産トリビアだ。