月花亭
「おじゃまします!!」ヒロとサキが月島の月子さんのお店に初めてお邪魔した。
「いつも2人がお世話になってます〜」月子さんが頭を下げる。
「イエ〜、どっちかと言えば急に勉強以外やる事なくて、途方に暮れてたんで助かります!」ヒロが頭をかく。
「推し活も楽しいけど、学校の子と遊べるのは今だけなんで楽しまして貰ってます〜」サキもお辞儀をした。
カウンターの中から楊世も出てきた。
「こんな機会ないと2人にも食べてもらえないからね。
どうぞ。」
筍の木の芽和えの小鉢を出す。
「エッ、これ楊世が作ったの?」2人が驚く。
「大変だったよ。楊世が筍を湯がくとこからやりたいと言うから…」すでに疲れ果てた夏希も厨房から出てきた。
「京都の友達の竹林から取り寄せてるんだけど、丁度まとめて茹でるから2人に任せたのよ。」月子さんが微笑む。
「朝5時だよ!昼に出したいからって!」夏希は筍の刺身を2人の前に出す。
「えっ、筍って刺身で食べれるの?」2人が驚く。
「私も最初信じられなかったけど、普通に美味しいよ。
また食べたくなったし自分の分も持ってこよう♪」
夏希がまた厨房に戻る。
「お店のだから食べすぎるなよ〜」楊世が声を掛ける。
「若い子にはアッサリし過ぎかもしれないから、天ぷらも作ったらから、どうぞ」後は月子さんのおばんざいもいただいた。
「なんかすごい高級なお味だったあ〜」サキが満足する。
「俺、卵の天ぷら初めて食べた!これどうやって作るんだろ?」ヒロは不思議がりながら何個も食べていた。
気に入ったようだ。
「僕も早く天ぷら出来るようになりたいなぁ〜」楊世がワクワクしてる。
「木の芽和えも美味しかったよ!すごい綺麗だし!」サキがほめる。
「ありがとう。でも、舌の上でざらつくからまだまだだよ。」皆楽しく歓談してる。
夏希だけは、むずかしい顔をしてる。
「どうしたの?夏希らしくないな。」ヒロがたずねる。
「ちょっと今日の事故物件、下調べしたんだけど…
なんか異常なんだよ。」夏希が腕と足を組んで鼻息を鳴らす。
「事故物件なんだから、初めから異常だろ?」ヒロが笑う。
「いや、数がスゴイんだよ…多分、マンション内の半分以上の部屋で怪現象が起きてる。」
夏希が首をひねる。
「それ、凄すぎない…私達、大丈夫かな?」サキがビビる。
「やめといた方が良いよ、絶対!」楊世が心配そうだ。
「死体も見たし、次はとうとうオバケにも会えるのか…」ヒロはワクワクしてる。
「いやあ〜霊にしてはハデなんだよね〜」夏希的にはオカルトの美学から少し外れるのだ。
妖怪や霊の類は、闇に生きる!からこそ心掻き立てられる。
余りに不審が続くのは欠陥住宅なのだ!
「なんか半分はイヤだなぁ〜各建物3件までが良いんだけどなあ〜」だから顔がむずかしくなってしまう。