炉簿戸家のチャミ(11)ロボットはバイナリコードで寝言を言うか
ある、秋の日。
「チャミが寝言みたいのを言っているよ」ショウちゃんが、お婆さんの部屋に来て言いました。工具や部品だらけでまるで作業場みたいな部屋です。
「故障したかな」とお婆さんがその場に行くと、チャミの額にある小さいランプが消えて、口の部分にあるスピーカーから妙な音がします。
「ああ、スリープ状態になったから、サーバーと通信しながら内部記憶のガベージコレクションをしているんだよ。壊れてはいないから配いらないよ」お婆さんは、にこにこしながら答えました。「この音はデータの一部が音に変換されているんだよ」
その日の夕、ショウちゃんがまたお婆さんの手を引きながらチャミが横になっているところに連れてきました。「またすごく変な寝言を言っているよ」
聞けば、コロコロリーという音がスリープ状態のチャミの中から聞こえてきます。
「こりゃ、中が温かいものだからコオロギがどこからか入り込んだな、中で死なれると厄介だから、外装を外すしかないねぇ」お婆さんは、面倒くさそうに言いましたが、心の奥底では、ロボットを分解できるのが楽しみにしていました。