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自作小説倶楽部 第27冊/2023年下半期(第157-162集)  作者: 自作小説倶楽部
第161集(2023年11月)/テーマ 「工芸品」
18/26

01 奄美剣星 著 『エルフ文明の謎 11』

【概要】

 カスター荘の事件を解決した考古学者レディー・シナモンと、相棒バディーを組むブレイヤー博士は、王国の特命を受けて新大陸へ。そこには滅亡した〈エルフ文明〉遺跡が点在していた。ミッションはエルフ文明が滅亡した理由を調査すること。そこで連続殺人事件が……。

 事件解決。大団円?(ヒスカラ王国の晩鐘 46/エルフ文明の謎 11)



挿絵(By みてみん)

挿図/(C)奄美「副王府宮殿」

    11 マグカップ(工芸品)


 ガスパーレ大尉が飛行艇に逃げ込んで、部下の親衛隊兵士達に飛び立つように命じたが、彼らは命に服さず大尉を捕捉した。――大尉の行動を〈姫様〉レディー・シナモン少佐は予想しており、グラシア・ホルム警視が乗って来た警視庁飛行艇から新大陸首都シルハ副王府に連絡を入れ、大尉を職務から解任させ、一時的に〈姫様〉が親衛隊の指揮を代行することを打診していた。


 ガスパーレ大尉が、団長補佐をそそのかして前団長を殺害させた上で、その団長補佐も口封じのため殺害した犯行動機がいかなるものか? ――そこからは、ホルム警視達、警察との合同捜査となるわけだが、すでに〈姫様〉はあらかた予測しており、実質的に、訊問を警視に一任している。


 親衛隊や警視庁飛行艇が停泊している岸辺の桟橋で、その人が大きく伸びをしていると、ホルム警視が出て来た。警視は、飛行艇厨房で部下に珈琲をいれさせ、父親の領地の民芸品だという木彫りのマグカップに珈琲に注いで、王国特命遺跡調査官〈姫様〉と、補佐官である私、ドロシー・ブレイヤー博士に振る舞った。


 ホルム警視が、

「要は、旧大陸で覇権を握る《帝国》が絡んでいた。旧大陸で一割程度の領土《王国》だけれども、密かに新大陸・副王領シルハを手に入れた《王国》が、順調に経済発展すれば、《帝国》の優位が失われてしまう。《帝国》は《王国》が新大陸で新大陸先住民の《エルフ文明》が滅んだ理由を調査していることを知った。その調査を妨害することは、副王領シルハの経済発展を阻止し、《帝国》の優位を維持できると考えた。――ゆえに《帝国》は、ハニトラをかけて親衛隊のガスパーレ大尉を篭絡。つまり大尉は《帝国》の工作員だったってこと」


 遺跡調査団長のケサダ・バコ博士に論文を盗用された挙句ガスパーレ大尉に利用され殺害された団長補佐フェリペ・ゼラノ博士には、少しだけ同情する。

 事件の謎解きを終えた〈姫様〉は、事件の手柄については興味がなく、長い髪を編んだダウンテールにしたホルム警視に、惜しみもなく譲ってしまった。

「まあ、この程度の事件、いずれ私も解決できただろうけど、貴女が捜査時間を短縮したことは認めてあげる。――ありがとう」

 警視にしては素直だ。


「ところでね、レディー・シナモン、お礼と言っては何だけど、一つ忠告してあげるわ。――ドン・ファン副王閣下が、だいぶ貴女に熱を上げているみたい。あの色男さんは、けっこう、しつこく追い回すわよ」


 〈姫様〉は大きく双眸を見開いた。

 そして警視の忠告通り、飛行艇が副王領首都シルハに到着すると、副王閣下自らが黄金の髪を後ろで束ねた貴婦人をお出迎えになり、管制棟ビル・ロビーの壁に追い詰めて〈壁ドン〉をした。予想はしていたものの、私は、少佐の襟章を付けた軍服の彼女が、ストンと廊下の床に尻もちをついたのを目撃するに至ったわけだ。


 エルフ文明の〈死都〉遺跡は、後任の調査団長ロドリゴ・ラサロ博士によって二年間調査が続行され、概要報告書が提出された。甲殻虫レコード電脳の解読や、出土遺物整理にはさらに十年を要することになる。


 なお、殺害されたケサダ・バコ博士の御内儀ナディアさんは、測量士のカシニ・エルミートと再婚し、首都シルハに居を構えるのだそうだ。


               ノート20231128

【登場人物】

01 レディー・シナモン少佐:王国特命遺跡調査官

02 ドロシー・ブレイヤー博士:同補佐官

03 ガスパーレ・ドミンゴ大尉:副王親衛隊士官

04 ケサダ・バコ博士:〈死都〉遺跡調査団長

05 フェリペ・ゼラノ博士:団長補佐

06 ナディア・バコ:団長夫人,カメラマン

07 カシニ・エルミート:測量士

08 アンドレス・バレス:測量助手

09 ロドリゴ・ラサロ博士:後任の〈死都〉遺跡調査団長

10 グラシア・ホルム警視:新大陸シルハ警視庁から派遣された捜査班長

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