ダンジョン攻略〜探索〜
ダンジョン探索
起の回の続き。
―――――ダンジョン・上層階―――――
ヤマトとアサナギは、ダンジョン内を見渡した。
辺り一面見渡す限りの自然、そして遺跡
例えるならカンボジア・ペルーの遺跡が併せ持った雰囲気がある。
鳥の鳴き声に虫の羽音、川の流れる水音
そしてダンジョンの中なのに日光に似た木漏れ日だ。
こんな摩訶不思議でありえない光景に、ヤマトは息を呑んだ・・・。
「なあ、これ中なんだよな?」
「そうだよ」
「なんか外と中が違いすぎるんだが・・・?」
「初めはみんなそうなるよ?
僕だって初めはそうだったよ。
中に入ったら砂漠だったり雪原だったりでもう頭が痛くなったことがあったよ?」
「なるほど・・・中の様子が分かれば対策は立てられるが、こんな複雑怪奇で摩訶不思議な光景を理解するのと苦労するのが目に浮かぶぜ・・・!」
ヤマトとアサナギはダンジョンを四方八方探索し始めた。
木々をかいくぐり、丈夫な蔦をロープ代わりに使い
そして道中のモンスターと対峙して二人で戦いつつ探索をしていた。
「にしても、よくこんなダンジョンを・・・異世界を冒険してきたんだろ?
並の人間じゃあ一直線に死ぬな、これは・・・」
「そうだね、元の世界の人たちは100%・・・いや即死ものだね?」
「なに?」
「・・・ねえ、ヤマト?
魔法とかその類、それを使う人ってどんなイメージができる?」
「は?魔法詠唱とか魔法の名前を叫ぶとか、そんな?」
「そう、ゲームの「ドラクエ」や「テイルズ」でするやつ」
「・・・・?
何か、問題があるのか?」
「問題ってわけじゃないけど、まあ実際見せた方が早いかな?」
アサナギは魔法を唱えた!
手のひらから光の球が現れた!
「おおっ!?」
「これが魔法、最も基本中の魔法だよ?」
「基本の!?それがっ!?」
「うん、でもこれには一つルールがあるんだ。
これ一番大事な話だからね?」
「ルール?」
「実はこれ、魔素を取り込む力が無いと使えないんだ」
「魔素・・・?」
「そう、魔素。
この魔素を取り込めないと魔法が使えないんだ」
「魔法が使えない・・・?」
アサナギの話によると、魔法というのは「魔素を体内に取り込み放つ術」のことである。
魔法使いと僧侶等はその魔素を取り込み「魔法」を使う、しかしそうで無い人は魔素を取り込めない・・・。
それを補うために「魔具」を使う人もいたらしいが、そうで無い人たちは「闘気」というものを使って補って戦う人もいたそうだ。
「魔素を取り込む人の体質によって、使えると使えない人がいるんだ」
「なるほどね・・・平等に魔法は使えないってことね?
どっかのバカな団体が騒ぐネタになるのかな?」
「無理だと思うよ?
でも・・・表向きはそういうことになってるんだ」
「・・・?表向きは?」
「そうなんだ、実は・・・」
アサナギは、魔法が使えない問題を語った。
「・・・・それ、本当なのか!?
本当だったら大問題じゃないか!!?」
「だから、魔素が取り込めない人に魔法使いになってはいけないってことになっているんだ!
僕もそれを聞いて目眩をしたよ・・・!」
「・・・この事、お前の仲間や冒険した世界の人たちは知ってるのか!?」
「知っている人は知っている人たちだけだよ。
僕と仲間たちと、召喚した人と王様にギルドマスターと最上位幹部、そして魔導研究員・・・その責任者と取り組みをしている人だけなんだ・・・」
「・・・・・・」
「言いたい気持ちはわかる、でもわかって欲しいんだ。
嘘も方便、不安と不満が恐怖に変わると・・・」
「わかってる、でもやるせない気になるな・・・」
「・・・・・」
「・・・切り替えて行くか?
この辺りを虱潰しに探し尽くしたからもうないだろ?」
「うん、感知をしてみたんだけど・・・。
この階層はあらかた調べ尽くしてるからもうないね」
「OK、それじゃあ次の階層に行くか!」
ヤマトとアサナギは次の階層へと向かって走っていった・・・。
―――――?????―――――
「・・・なるほどね?
つまりあの二人をってこと?」
「そうよ、あの二人よ」
遺跡の中・・・もといキャンプ地を作って二人の後を付けていた人たちがいた・・・。
「それで、何をしろってんだ?
この間の件、まだ揉めてるんだぞ?」
「そうですよ?大体なんであたしたちがそんな面倒ごとをしないとダメなの?
普通なら教師陣の管轄に分野なのに、なんで「生徒会」のあたしたちがそんなことをしないとダメなの?」
「ほっときなさい、アイツらは面子と保身しか脳がない奴らよ?
そんなことのために働くくらいなら大の大人である自分たちがするのが道理、五寸釘じゃあ浅いから八尺釘をぶち刺したからね?」
「うわあ・・・そこまでする?」
キャンプ地には三人の少女がいた。
「例えよ、物理でするわけないじゃない?」
「まあ、物理でいってもよかったんじゃない?」
「・・・正直マジでしようかと思っていたけどやめた」
「まあ、そうよね?」
「御船先輩?アイツら次の階層に行きますよ?」
「そう、なら行くわよ?」
「ああ、今から?
先輩ゆっくり行きましょうよ?
あたしたち無断で来てるのよ?」
「それじゃあ、あなたたちは帰るのね?」
「へ?帰るって、アンタがあたしらを引っ張り出してきたじゃないか!」
「あたしもなっちゃんと同意見でーす。
花ちゃんおうちに帰っていいですか?」
「いいわよ?
道中の魔物を倒せたらの話だけどね?」
「・・・ゔっ」「・・・うげ!」
「上原?澤井?
「薙刀使い」と「薬師」だけで出れるの?」
「・・・っち!」
「・・・は〜い、行きますよ」
上原智永、澤井花麻。
トモエは薙刀を使い、ハナは薬師としてのスタイルを持つ。
敵を切り伏せ薙ぎ払う戦いを得意とするトモエ
後方支援及び探索等の縁の下の力持ちのハナ
ふたりは生徒会員で、人気があるらしい・・・。
「さあ、行くわよ?」
「はいはい、会長さま?」
「うえ〜、いいよなあ・・・超能力を使えるんだから・・・」
「何か言った?」
「いえ、なんでありません」
「ぜ〜んぜん」
「そ、それなら私に内緒で屋台を楽しんでいた分、働いてもらおうかしら?」
「げっ!?」「えっ!?」
「・・・ハナ?私が来る前に結構食べてたでしょ?
特にパフェやケーキ・・・・・!!」
「は〜い、わかりましたよう・・・!!」
その後、ふたりは荷物をまとめてヤマトたちの後を追いかけた・・・。
「なあ、なんでアイツらあたしたちに気がつかなかったんだ?」
「あっ!言われてみれば!」
「気がつかなかったんじゃなく気づけなかったのよ?」
「「はぁ?」」
「その気になれば感知を欺く術を持ってるからね?
異世界帰りの勇者でも油断はすることはあるものね?」
「・・・?」
「そうかな・・・?」
次回
ダンジョン中層




