詩 調合士ヴィンセントの調合薬
「せんせい、このあいだのおくすりありがとう!」
「ここでもらえる薬はとってもよく効くんですよ」
まるで魔法のようだねと
患者は微笑み
礼を言う
けれど
理想とは
程遠く
改善すべき
点は多い
調合薬の種類を減らせる
即効性をもっと高めろ
苦みをなくして飲みやすく
のどとおらぬ者にも与えたい
終わりは見えぬ
いつまでも
どれだけ
なおして
いけばいいのか
魔法のようだと
いわれるたび
足りぬものばかり
目について
満足いかない
薬よと
呪わしく思い
重さに潰れる