表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

405号室で二人

作者: 金川明

「雰囲気あるね」

 ”405”と書かれた金属プレート付きの扉を開くと、白を基調にした高級感のある一室が現れた。目に飛び込んでくるのは、天井からぶら下がるきらびやかなシャンデリアや、金色に白のカバーを被せたランプなどの、高級感あふれる品々だ。

「シャンデリアはプラスチック、ランプの金色はメッキかな?」

「もう、水をさすようなこと言わないでよ」

 カオリにバンと背中を叩かれ、僕は軽く笑い返す。

「悪い悪い」

「へぇ。シャワールームまで高そう」

 カオリの方を振り返ると、シャワールームはふくらはぎから肩の下あたりまでにスモークがかかったガラス張りだった。シャンプーなんかも高そうな容器に入れられて、雰囲気作りに一役買っているようだ。

「他とおんなじ値段でこれなんだから、得した気分だね」

 早くも脱ぎ始めたカオリの背中に話しかける。聞いているのかいないのか、カオリはジーンズをためらいもなく脱いで下着姿になったかと思うと、背中に手を回してブラも外し始めた。

「ねぇ、一緒に入ろ?」

 胸のあたりまで伸びた茶髪をさぁと散らして、カオリが振り返る。

「うん」

 答えながら、僕も慌てて脱ぎ出した。トランクスとズボンをいっぺんに下ろし、半袖とインナーのシャツもいっしょくたにして床に放る。

 脱ぎ終わると、カオリの雪のように真っ白なお尻がシャワールームに入っていくのが見えた。追いかけて、一人分のスペースしかないシャワールームの奥にカオリを押し込む。

「ちょっと」

 笑いかけてくるカオリの肩をつかんで抱き寄せ、僕はカオリにキスをした。

 ドロドロに溶けていくような、長い長いディープキスだった。

「んっ」

 僕の方から唇を離すと、カオリは名残惜しそうに追いかけてきたが、唇はすぐに離れた。残念そうな顔をするカオリのおでこの髪をかきあげてキスをする。

「もう」

 照れ臭そうに笑うカオリに、僕も笑いかける。


「洗いっこしよ」

 カオリはシャワーがお湯になったのを手で確認してから、背中にかけて流す。

「いいよ」

 僕が答えると、視線に気づいたカオリがシャワーのヘッドを僕の顔に向けてきた。

「エッチ」

 笑ってごまかし、僕らは互いの体にボディソープを塗りたくった。

「やだっ」

 ついでとばかりに胸を揉むと、カオリはくすぐったそうに身を引く。

 僕の太ももに置かれていたカオリの手が、僕の足の付け根に向けてすべっていく。股の間までたどり着いたところで、カオリは僕のそそりたつそれを軽くなぞった。

「フフッ」

 照れ臭そうにするカオリに、僕はまたキスをする。

 今度は一瞬だけで、すぐに顔を離した。

「ねぇ、もっと」

 赤くなりながらおねだりするカオリ。ボディソープで泡だらけの身を寄せ合い、僕らは再び深いキスをする。

 体は重なり合って、境界線がわからなくなりそうだった。僕と、カオリとの境界線が、少し曖昧になっているようだ。

 シャワーで体を流し終え、フカフカの白いタオルで軽く体を拭いて、僕らはベットに飛びこんだ。ベッド脇に置いた缶ビールや酎ハイを飲みながら、体を重ねる。

 獣のように貪り合いながら、二人で宙を待っているようだった。僕とカオリを隔てる境界線は完全に溶けてなくなり、区別が付かなくなっていく。

 それが最高潮にまで達した時、カオリの中で、僕のシャンパンが弾けた。

 覚醒状態になって、頭が冴える。

 少しだけあけた窓から冷えた風が吹いて、おりかさなった二人の体の境界線が戻ってくる。

 体を起こして、僕が窓側をむいてベッドに腰掛けると、となりにカオリが座った。

 僕の肩に頭をのせて甘えてくるカオリの首元に、僕は手を回す。

 カオリの、柑橘系の甘いフレッシュな香りがうなじから溢れ出す中、僕はまた、カオリのほっぺたにキスをして、僕の肩にのったカオリの頭の上に、自分の頭を重ねた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ