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A令嬢の華麗なる奮闘  作者: Beni
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3



それから、とにかく私は目立たない様に過ごすように心がけた。


以前は皇太子の婚約者として、あらゆるお茶会に参加して人脈作りをしていたけど、お茶会に参加することも、舞踏会に参加することもやめた。



公爵家で派閥の結びつきを強めるために定期的に開いていたお茶会もやらなくなったし。




あとは、公爵令嬢時代に自分のポケットマネーで慈善活動や公爵領の運営などを行なってきたけど、それも弟名義でこっそりと行った。




私がやってた慈善活動は孤児院の訪問や整備、自領の領民への医療提供や設備投資だから、領民の暮らしに影響があるため流石にやらないわけにはいかない。



以前は皇太子へ定期のお茶会で報告して、自分がいかに皇后に相応しいかアピールしていたけど。




もうそんなことする必要もないし、そもそも私に興味のない王子だから、私が言わない限りバレる心配はないと思う。




そうやって、3ヶ月くらいは順調に公爵家に引きこもって過ごしていたけど。




3回王宮でのお茶会を体調不良で欠席した時に、流石に王子からお見舞いという体裁で私の魂胆を探る手紙が届いた。





アンから渡された封筒に、金色の王冠を被った獅子のマークが付いていた時から、本当に嫌な予感がしていたけど。



手紙を開けは案の定、辛辣な内容でため息が出た。




「お嬢様。王子はなんと仰ってましたか?」




心配そうにアンが見つめてくる。





「私の度重なる体調不良を心配してくださってたわよ。表面上はね。あまりにも心配だから次回のお茶会も欠席する様なら、王子自ら公爵家にお見舞いに来てくださるそうよ。気にしなくて良いとか書いてあったけど、完全に嫌がらせよね。

あとは…まあ、『君の体調不良の件で私に何かを求めているのなら直接言ってくれ』ですって。」




「それは、どういうことですか?」




アンは優秀なメイドだけど貴族ではないから、こういう貴族的な文章の内容まではわからないのだろう。



表面上は、体調不良を心配して自分に出来ることがあるなら言って欲しいと書いてある様に見えるけど。




「これはね、“体調不良は仮病だと思っている。私の気を引こうと無駄なことをするのではなくさっさとお茶会に出てきて要件を言え”って言ってるのよ。」




本当に貴族らしい書き方で私を馬鹿にしているところが王子らしいと思う。



「何ですかそれは!

婚約者に対してあんまりなお言葉です!

いくら王子と言えど酷すぎます!!」




アンが顔を真っ赤にして怒ってくれるけど、私は彼の本性が冷酷であることを十分すぎるくらい知っている。




ーー彼は昔から私に対してこうなのよ。


他の貴族令嬢にはもう少し優しくしていた気がするけど、だいたい彼の中では使える人間かそうでないかしかない。




私があれだけ嫌われていたのに皇后になれたのは、やっぱり私が能力だけは優秀で使える側の人間だったからだ。




それに薄々気づいていたから、私は定期のお茶会で愛を告げるよりも自分の手柄を必死でアピールしていたんだし。




とりあえず、彼からこんな手紙が届いた以上次回のお茶会は欠席できない。




それにもうすぐ社交シーズンが始まるから、公爵令嬢宛に届いた舞踏会やお茶会には欠席できても、皇太子が出席する様なものには、パートナーとした参加せざるを得ないし。




時間が戻ってから始めて皇太子に会うことに、どこか緊張した。





ーーー大丈夫よ。

   だって、私はもう彼を愛していないもの。






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