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翌日目が覚めても、私は公爵家の自室でフカフカのベッドの上に寝ていた。
やっぱり夢じゃない。
起きて朝食を食べるためにダイニングルームに向かえば、やはり記憶にあるよりも若い、父母と弟の姿があった。
私は18で時期皇后として城に上がってから年一回程度しか家族に会えなかった。
だから私にとってはすごく久しぶりに家族に会えたような感覚だった。
家族の元気そうな姿に涙ぐむと、皆んな驚いたような表情を浮かべた。
「どうしたんだアリア。具合が悪いのか?」
「お部屋で休んでてもいいのよ?」
「姉さん大丈夫?」
心配そうに向けられる視線に、胸が暖かくなる。
「大丈夫よ。ちょっと夢見が悪かっただけなの」
涙を拭って微笑めば、また家族に驚かれる。
「なんだか今日は、随分と珍しい表情ばかりするのねぇ。」
お母様が不思議そうに顔を傾げながら訪ねてきたけど、まさか私が5年前に戻ったなんて話はできないし、「そうかしら?」と笑って誤魔化した。
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私と皇太子との婚約は10歳の時に神官のお告げで決まったことだ。
この世界では女神信仰が根強く、神殿の影響力も強い。
何十年かに一度、女神からのお告げを神官が聞くことがあり皇室でさえそのお告げの内容は無視できないものとなっている。
《春色の乙女 幸福の象徴。王家との縁深まれば 古の約束が果たされ “災い“ 打ち砕かれる》
私が10歳の時このお告げがあったため、当時13歳で婚約者の決まっていなかった第一王子の元に、国中の春色を持った未婚女性が集められた。
春色の乙女といってもそれが何色なのか、瞳なのか髪色なのかあるいは両方なのか分からなかったため、集められた女性の中で、第一皇子と年が近く、身分の1番相応しかった私が婚約者として選ばれたのだ。
ちなみに私は夜を切り取ったような漆黒の髪に薄い紫の瞳で、春色というには随分と暗く地味な色合いしか持っていない。
それでも、選ばれたからには精一杯やろうと、いずれは国母なのだからと以前はがむしゃらに努力していたけど。
結局春色の乙女も皇太子と愛で結ばれるのも私じゃなかった。
今は15歳だからもう婚約を断ることはできないし、あと3年後に成人したらそのまま皇后教育のために王宮に住まないといけなくなる。
ーーーそれだけは、何としても避けないと。




