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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

知らない

作者: いそべ

初投稿なので温かい目で見てください、

知らない、僕はなにも知らなかった。

いつか知らないが嫌いになっていた。


中学の時彼女をみんなでいじめた。

すごくひどいことをした。


流されていた。

ごまかしていた。


そんな自分が嫌いだった。

ひとりぼっちになりたくなかった。


ある日彼女が来なくなった。


夏休みが始まる前日だった。


僕は彼女の家へ手紙を届けるように頼まれた。


家は近い方だが行きたくない。


彼女も来て欲しいなんてさらさら思っていないだろう。

ポストに入れてすぐ帰ろうと思った。


彼女の家へ向かう途中に公園がある。

彼女はそこにいた。椅子に座っていた。


彼女は僕を見た。

僕は近づいていく。


手紙を渡して帰ろうと思った。

彼女はおどおどしていた。

やあ久しぶりと手を上に挙げた。

彼女は殴られると思ったのか目を瞑って顔を下に向けた。


僕はそれを見てどう思っただろう。

今までならなんとも思わなかった。

しかし罪悪感の三文字が頭をよぎった。

僕達はもう取り返しのつかないことをしてしまったと思った。


見ないうちに彼女は痩せていた。

小学生の時の彼女の笑顔は素敵だった、だがそんな面影はもうない。

無表情の極みだ。ただ恐怖それだけが彼女の表情を作っているようだった。


彼女を救いたいなんて言ったら偽善者だろうな…

あの時の彼女に…


彼女は別れる寸前ひとりぼっちになりたくないと力ない声でそういった。

答えることができなかった。


夏休みが始まって数日経った時だった。


彼女は自殺した。

僕は葬式に行けなかった。

ひとりぼっちになりたくない。

その言葉が脳をすごい速さで駆け回る。


ひとりぼっちになりたくない。


後日僕は彼女の家に行った。


線香をあげるために。

彼女の弟が家に挙げさせてくれた。

彼女に線香をあげた後、僕は弟君に一つの手紙を渡してくれた。


そこには、恨みの言葉なんてなかった。

綺麗な字でたった一行


僕君へ


ありがとう


彼女より


と書いてあるだけだった。


意味がわからなかった。


ありがとうって?

なにをしたの僕は彼女のためになにをした?


僕はやっぱり彼女のことを知らない。


知らない事は怖い。

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