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美しい死神  作者: nun
5/6

⑤死神との朝

倒れている死神に触ろうとしたライアは冷たい目の死神に手を払いのけられる。

そしてそのまま倒れてしまった死神。


看病しながらどんどん眠たくなってしまいー…

「さてと、次こそ体を拭かなきゃ、…失礼しまーす…」

そっと襟元に手を入れる。


なんとかある程度体を拭き、頭にタオルを乗せ、そばにあった椅子にこしかける。

初めよりは表情も幾分からくになっているように感じる。


「(…にしても、本当にきれいな顔だなあ。こんな人が死神さんだなんて)」


そんなくだらないことを考えているうちに、次第に瞼が閉じていくのを止められなかった-…


***


ピピピ…チュンチュン…・


「ん…??ん???????!!」


目の前にはこの世のものとは思えないほど端正な顔。


「…こんな娘に看病されたのか」

こんな娘…!?と思ったがぐっとこらえた。

にしても本当に綺麗な人?だ。

本を運ぶ仕事柄、いろいろな街に行っていたがこんなに端正な人に出逢ったことはない。


「…なんかとんでもない人に出逢ったなあ…」



「失礼な娘だな」

「あ…」

ついうっかり思ったことが口に出てしまっていた。

悪気はちっともないことを伝える。


「…ということで、ご希望の本を持ってきたところ、ユリウスに出逢逢い、お城に入るとあなたが倒れていたというわけです」

あらかた、今までの経緯を死神さんに伝える。

すると少し考え込んだように口を開いた。

「お前が森に入ったのはいつごろだ」

ライアは、昼にソフィアの元を出て、そこから5時間歩いたことを思いだす。

「…たーぶん、日もくれてだいぶ時間が経ったころかとは」

「そうか…」

「どうかしましたか?」

「いや、なんでもない」


そう言って死神さんはもう話すことはないとの様子で私に背を向けた。


「具合も良くなったみたいですし、私もかえりますね。また、本を読みたいときに読んでください。もうここへの道は分かりましたし。お邪魔しました。お大事に」


必要なことだけ伝えると死神さんの部屋を出る。

下に降りるとユリウスが待っていた。

「あれ?ユリウス?」

「森の外まで送ろう。主の介抱の礼だ」

フンっとそっけない態度しながらもなんて優しいのだユリウスは。

あの死神は去り際何も言わなかったのに。

「ありがとうね、ユリウス」


ユリウスは背に乗せて運んでくれた。

心地よい揺れに揺られながら思ったことを聞いてみる。


「ねえユリウス。あの死神さんっていつもああなの?」

「…そうだな、昔はあそこまでなかったのだがな」

「そっかあ…だから、最初死神さんに触ろうとしたとき止めようとしてくれたんだね」

「赤の他人など、普段なら絶対に触れさせておらぬだろう」

「体調、良くなるといいね」


「そうだな。今日城を訪れたのがお前で良かった」

「……どゆこと?」


「いや、なんでもない。いまのは忘れろ」

「うん…」


話しているうちに森の出口までやってきた。

ユリウスがいると、あのいばらも意志があるかのように道を開き、あっという間にここまで来ることが出来た。

「ありがとう、ユリウス。ここまで送ってくれて」

「ああ」

「また会えるといいね」

「そうだな」


そう言い、私は街に、ユリウスは森へと帰って行った。


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