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美しい死神  作者: nun
2/6

②ライアという少女



トリティアを出て歩き続けて十数時間。



「やっっっと町についたー!!」


ここからあと30分ほど歩けば宿に着く。もう少し歩いたらすぐに宿で休もう。

まだ町に入ったばかりのため人は少なく、民家などもほぼない。




「にしてもいつもより静かだなー。もうちょっと鳥とか鳴いてたりするのに」

いつもはそう、もう少し鳥がピーピー鳴いていたり草が揺れる音なんかも聞こえるのに今日は全く聞こえない。

「ちょっと、不吉かも…」

とはいっても何もできないため、とりあえず宿に急ぐ。




30分も歩くと人や民家が増えてくる。

「おーライアちゃん!いらっしゃい!今日も本を届けにかい?」

「あ!おじさん!そうなの。今日はミカエラおばさんのところにお届けにきたの」

「オーそうかそうか。ミカエラのとこまではまだあるから気を付けてな」

「はーい!ありがとう!」



本運びの仕事をしているといろんな町に何度も良くからか知り合いが増える。

おかげさまで最初のころより、面倒くさい輩に絡まれることも少なくなった。



そうしている内に目的地の宿に着く。

「ソフィアさんー!こんばんは!ライアです!」

「あら、ライアじゃない。今日も本運び?」

「そうなんですー。だから今晩泊めてほしくて」

「ああ!もちろん。いいよいいよ。いつもの部屋使っていきな。宿賃はいつものアレでおねがいね」

「まかして!」



いつものアレとはそう…

今晩の宿泊客の夕食作り!!

もともと料理が好きで良く創っていたのだが以前機会があってソフィアさんに振る舞ったところ、大変気に入って貰えたため、それ以来こうして宿代の代わりにその日止まっている人の分まで夕食を作るのだ。お蔭で宿代はタダ!!なんとありがたいことか。


そうして今晩も夕飯の準備を始める。今日の宿泊客は8人らしい。少ない方だ。


それに、私とソフィアさんの家族の分まで作る。5品ほど作り、ご飯とみそ汁をよそいお盆に並べて完成だ。

我ながらいい出来。


「あら!今日のご飯もおいしそうね!ありがとうライア!」

「どういたしまして!」


こうして無事喜んでもらえ、宿代もタダになったところで部屋に戻り、本の続きを読む。


「あーやっぱいいなあ。面白い。…あ、明日はミカエラおばさんの家に行ってからこの住所の家を探さなくちゃいけないのよね、見つかるかな…この住所たぶん、あの森の奥らへんなんだよなあ。いばら除けに暑いけど長袖着ていこう」




そう思っているうちに眠ってしまったのだろう。

気づけば朝になっていた。

「げ、早く出なきゃ」

急いで準備をし、泊めてくれたソフィアさんにお礼を言い、宿を出てミカエラおばさんの家を目指す。

「あと2時間くらいかなぁ…」

いくら涼しい気候とはいえずっと歩いていると暑い。

何とか2時間歩きミカエラおばさんの家に着く。


「こんにちは!ミカエラおばさんー本届けにきましたよー!」

暫くするとミカエラおばさんが出てくる。

「あらライアちゃん!いつもありがとうね!」

「いえいえ!今回はこの5冊のご注文でお間違いないですか?」

本のタイトルを確認してもらい、御代をいただく。

「ありがとうね!この本読みたかったのよ~。ささ入ってゆっくりしていって」

「あー…」


せっかく誘っていただいたが今回はあの住所を確認しなくてはいけないのだ。

そのためゆっくりできる時間が無い。

「ごめんなさい。ミカエラおばさん、お誘いは嬉しいんだけど、今日はこの後また別のお仕事があって…ごめんなさい、また今度ぜひ!」

「あらそうなのね…。じゃあ、また今度ケーキでも作ってるわね!」

「うれしいい!!ありがとうございます!」

なんていい人なんだ…ミカエラおばさんと思いながら例の住所へと向かう。



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