第47話 刺客とユーシンの対決
やがてシャトルは、目的のコロニーのドッキングベイに到着した。開いたハッチを通り、通路を抜けて、港湾施設内に彼等は漂って行った。と、そこで、猛烈な人波の流れに巻き込まれる。
「お早く避難してください。銃を持った男が数名、この辺りに侵入して来ている模様です。」
そんなアナウンスが、あちらこちらから聞こえて来ている。人々は血相を変え、誘導に従って一斉に移動している。「きゃあ」「助けて」「怖い」などの悲鳴まで聞こえる。そんな人々の濁流の只中に、彼等は突っ込んでしまったのだ。
先頭を切って飛び出したユーシンは、反射的にすぐ後ろに付いて来ていたクレアの肩に手を回し、グイッと力を込めて抱き寄せた。
「キャ!」
と、短い悲鳴が聞こえた。振り返ると、シャラナが人波に流されて、見る見る遠ざかって行く。クレアを抱えたままでは、追いかけられそうにない。彼のすぐ後ろで、キプチャクが戸惑ったような顔をユーシンに向けている。彼の位置からなら、シャラナを追う事も、ユーシンの方に近づく事も出来そうだ。
「シャラナさんを追いかけろ!」
ユーシンはとっさに叫ぶ。そして、その後ろから続いて来ていたニコルとノノにも、
「キプチャクを追いかけて!」
と、小さく叫んで伝えた。同時に端末に目をやる。
(銃所持者の反応が、近づいて来ている。やはり、襲撃は継続する気だな。だが、まだここに到着していない。この人波の中から、俺達を見つけるのは容易じゃないはずだ。それを上手く利用すれば・・)
ユーシンは、クレアを強く抱え込んだまま近くの壁を蹴って、人の流れと直交する方角へ飛翔した。
「きゃあっ」
「ああっ」
人にぶつかりそうになるたびに、クレアは小さな悲鳴を挙げたが、ユーシンは人と人の狭い隙間を、巧みに掻い潜って進んだ。壁の凹凸や、ロボットアームの支柱などを、絶妙な角度と強さとタイミングで蹴り飛ばしながら、無数の人の流れに邪魔される事無く、どんどんと進んで行く。そして、クレアの耳元に口を寄せ、
「お嬢さま、ちょっとここにいて下さい。俺がお呼びしたら、後ろの壁を蹴って、直ぐに俺の方に向かってください。」
と小声で伝え、1人で先へと進んで行った。
クレアから数メートル離れた位置で、ユーシンはリーディンググリップを使って体の流れを止め、その場に留まった。端末を覗いてタイミングを計るような仕草だ。そして、突如叫んだ。
「シャラナさん、こっちだ!早く!」
自分の名では無く、「シャラナさん」とユーシンが叫んだことに、クレアは目を丸くしたが、反射的に壁を蹴ってユーシンの方へと飛び出した。ユーシンはクレアの手を掴み、細い通路へとリーディンググリップに導かれて入って行く。そこは従業員用の通路と思われた。
しばらく進んだところに、また荷物用のエレベーターがあった。壁に忽然と四角い穴が開いているだけで、何の表示も無いのだが、先ほどの経験ですぐにそれが、荷物用のエレベーターだと分かった。
エレベーターの状態を確かめようと、ユーシンはクレアの手を離してエレベーターに触れようとしたが、クレアの手が直ぐにはユーシンの手を離してはくれなかった。
「あ、ごめんなさい。」
慌てたようにクレアも手を離した。手の中がじっとりと汗ばんでいるのに、ユーシンは気付いた。そして、ふと思う。
(これは、俺がかいた汗なのか?それとも、俺のとお嬢様の・・・、それどころじゃない!)
ユーシンは、手早くエレベーターの状態を確認し、問題なく使えると判断した。
「また、これに乗りますのね。」
クレアは直ぐに理解したようだ。一度乗ったので、もはや抵抗も無いようで、自分から進んで入ろうと、穴の枠に手を掛けた。ユーシンはそんなクレアの様子を、少し離れて見守っていた。
「先ほどのより、広いようですわ。これならば、2人で一緒に乗れるのではありませんこと?」
「え?・・の、乗れるとは思いますけど、ギュウギュウ詰めですよ。」
「一人では不安ですもの。それに、はぐれてしまったら大変でしょう?一緒に参りましょうよ。」
そう言って、クレアは手を伸ばして来た。クレアが自分を引き寄せようと手を伸ばしてきている。その姿を見るだけで、ユーシンの胸中にはたまらない程の幸福感が広がった。
「あ、はぁ」
茫然とした顔で、気の無い返事をしながら、ユーシンは手を伸ばした。ギュッとその手が握られ、グイッと、意外な程強い力で引っ張られ、ユーシンの体はクレアに続いてその穴に飛び込んで行った。
入るや否や、一方の壁がグンと迫って来る気配を感じ、彼等の体はその壁に押し付けられた。ゴムで被覆されているから、痛みは感じないが、かなりの圧力を壁から感じた。壁に押されて、彼等はコロニーの外周壁面へ向かって加速しているのだ。
「きゃっ!」
と、悲鳴をあげ、クレアはユーシンの腕の中に飛び込んで来た。ユーシンの両手が、クレアの背中で出会う。クレアの体は今、すっぽりとユーシンの腕の中に包み込まれていた。髪が、鼻をくすぐる。
(なんて小さくて、華奢で、やわらかで、温かい感触なんだ。)
クレアの肩から背中にかけての感触に、ユーシンの心は激しく波打った。脆く壊れ易そうな、それでいて芯の部分では丈夫そうな、不思議な感触だ。守ってあげなくてはと思わせる弱々しさと、尊崇の念をすら呼び起こす力強さが同時に、その肩や背中から伝わって来るのだ。ユーシンは金縛りにあったように、身動き一つ出来ずにクレアを抱きしめ続けていた。
いつまでもこのままの体勢でいたいと思ったが、そういう訳にもいかないだろう。しかし、どういうタイミングで彼女を解放したらいいのか、彼には見当もつかなかった。クレアの方から何か言い出すかと思って待ってみたが、何も言い出さないし、何の動きも見せない。もしかしたら、壁に押された衝撃で、失神したのじゃないかと心配になって来た。
「お嬢さま、大丈夫ですか。」
クレアを抱きかかえたまま、ユーシンは問いかけた。
「はい。」
ごく短い返事が返って来た。意識はあるようだ。が、心配が、後から後から込み上げて来る。
「どこか痛みますか?」
「いいえ。」
「苦しくは無いですか?」
「大丈夫ですわ。」
言葉でそう言われても、彼女の顔を直に見て確かめないと、安心など出来そうにもない。
「あの、俺、そろそろ離れた方が良いかな・・」
「どうして?」
「え?どうしてって・・」
クレアの真意を測りかね、混乱状態のユーシン。
「着くまで、何もやる事は無いのでしょ?このままで良いのではありませんか?荷物用のエレベーターですから、変に動くと危険でしょ。」
確かに、流れゆく壁との間に何の障壁も無いから、少し手を伸ばしてそれに触れたら、流れに巻き込まれて怪我をしかねない。人間用のエレベーターならば、全ての面が壁に覆われ、安全なように出来ているのだが、これは荷物用だ。手を伸ばすなんて事は想定していないのだ。
クレアからこのままで良いと言われては、もはやユーシンには、動く理由は無くなってしまった。だが、ずっとクレアを腕の中に掻き抱いている体勢を続けるのも、ユーシンには何やら特別な精神力を要求されるものだった。罪悪感や背徳感のような気持が湧いて来る一方で、どこかが痒いのにそこに手が届かない時のような、焦燥感のような不満足感のような気分もあった。
気付くと、心臓がものすごい勢いで脈動しており、それがクレアに伝わっているのかどうかが気になって来る。頭は熱く火照り、こめかみがジンジンしてくるほどだ。もうこのままでは、どうにかなってしまうのではないかと思えて来たユーシンは、限界を感じてたまらず、再びクレアに問いかけた。
「やっぱり俺、離れた方が・・。このままっていうのも、何か、ちょっと・・」
言いかけた時、スーッという長く深い息遣いが聞こえた。スーッ、スーッと何度か聞いて、それが寝息だと気づいたユーシン。
(寝ている!? 刺客に襲撃されている真っ最中なのに、眠っているのか?お嬢様は。)
呆れた思いに駆られたユーシンだが、クレアが寝ていると分かったとたんに、胸のドキドキも頭の火照りも一気に引いて行った。
(寝ているんなら、思う存分味わっていれば良いだろう。お嬢様の肩と背中の感触とか、髪の香りとか。)
そう思って神経を研ぎ澄ませてみると、寝息が首のあたりに当たるのまでを、感じ取ることが出来た。太腿の辺りには、クレアの膝小僧を感じる。胎児のように体を丸めた姿勢に、彼女はなっているようだ。身動きが出来ないので、それを目で確認する事は出来ないユーシンだったが。
かつてシャトルのコックピットで、眠っているクレアの頭の先からつま先までを、視線を何往復もさせてじっくり観察した事があったが、今回は、眠っているクレアの、体が接している部位の感触を、心行くまでじっくり堪能しようとユーシンは決めた。ほんの十数分間ではあったが、至福と呼べる時間が過ぎて行った。
(こんな思いが出来るなら、毎日でも刺客に襲撃されたいな。)
などということすら、思ったりしたのだった。
だが、クレアの感触を楽しんでばかりもいられなかった。刺客の襲撃に対処する為に、1つだけやっておくことがあった。ユーシンは端末を操作し、手早くそれを済ませた。それが終わってからは、もうただひたすらにクレアを愉しんだ。
途中で、天井と床が入れ替わるという出来事はあったが、彼等が身動きをする必要は生じなかった。床に接しているのが、ユーシンにとっての右から左に代わっただけだった。クレアも少し身じろぎはしたが、目覚める事は無かった。こんな時にここまで熟睡できるものなのかと、ユーシンを少し驚かせた。
そんな時間も、終わりの時は来るものだ。コロニーの外周壁内面であるところの、“地上”に到着したのだ。さっきのように、無重力中に放り出されるという事は無い。重力を模した遠心力のかかった環境下で、静かにエレベーターは静止した。床がスライドしてどこかへ行ってしまう事も無い。横の壁の一部に穴が開いていて、その向こうにロボットアームが見える。本来なら、荷物はロボットアームに引き出され、所定の位置に並べられて行くはずなのだが、彼等が荷物では無く人間である事が検出されている為に、ロボットアームは動きを見せなかった。自力で降りない限り、出られないようだ。
さすがにエレベーターが止まった事を感じ取り、クレアは目覚めて身を起こした。
「着きましたのね。」
そう言いながら、自分の腕の中から抜け出して行くクレアを、ユーシンは名残惜しそうに見つめながら言った。
「ええ。到着です。さあ、降りて走りますよ。刺客が迫って来ていますから。」
「まだ追って来ますの?しつこいですわね。」
クレアは少しうんざりと言った声色で、ユーシンの言葉に応じた。
ユーシンは、腕に装着した端末の表示データーを読み取って応えた。
「奴等は別の所にある、人間用のエレベーターで降りて来たようですね。俺達がこの荷物用エレベーターに乗った事は推測しているだろうから、真っ直ぐにこちらに向かって来る可能性があります。」
そう言うとユーシンは、エレベーターから這出した。ホテルのロビーのような所で、周囲に人が大勢いる。ロボットアームが並べたと思われる荷物から、自分が拾い上げるべきものを探している旅客やホテルのボーイらしき人達、カウンターでチェックインだかチェックアウトだかの手続きをしている人達、それらが、荷物用のエレベーターから人が出て来た事に驚いたような顔を、ユーシン達の方に向けている。
そんな人々の視線に構わずユーシンは、後ろを振り返って手を伸ばす。差し出されたクレアの手を引いてクレアが這出すのを助け、そのまま手を引いて走り始めた。逃走ルートは既に決めてあるのだ。
クレアと手を繋いで走っている状況に、少しドキドキしつつユーシンは、それどころじゃない、と心中で自身を叱責しながら、ホテルの廊下を駆け抜けた。
人の多いホテルからは離れる事にした。人混みに身を置く事で、刺客が襲撃を断念してくれる可能性もあるだろうが、人々を巻き込んでまで銃撃して来る可能性もあると思った。無関係の人を巻き込みたくは無かったし、彼にはプランがあった。ホテルから飛び出すと、人通りの多い大きな通りから外れ、人影の見えない狭い路地に走り込んで行った。
路地に沿って走っていると、背後から足音が聞こえて来た。ある建物の、入り口のすぐ手前で立ち止まったユーシンは、
「ここに入りましょう。」
と、建物を指差して告げた。一階部分はガラス張りになっていて、中のロビーが良く見えた。広々としているが、飾り気のない殺風景なロビーだ。ここも、人の気配は無い。
一歩踏み込めば、建物の中に入り込める位置で、ユーシンは後ろを振り返った。曲がり角から、人が一人飛び出して来た。その者は、ユーシン達を目に止めると、手にしていた銃を突きつけようとする動きを一瞬見せたが、銃撃するには距離がありすぎると思い直したか、全力疾走で距離を詰める方を選んだようだ。
ユーシンはクレアの背中を押して、建物に飛び込んだ。
「どうしましょう、ユーシンさん。刺客に追い付かれてしまいました。」
刺客の姿を目にしたとたん、急に不安になったように、クレアはユーシンを見上げて問いかけて来た。ユーシンは精いっぱい穏やかな笑顔を作って見せて、それに答えた。
「大丈夫ですよ、お嬢様。計画通りですから。」
ユーシンの言葉と表情で、クレアの不安は少し薄れたようだ。
「さあお嬢様、あそこのカウンターの陰に隠れていてください。俺が良いと言うまで、出て来ては行けませんよ。」
ユーシンが指差した先には、本来は受付の人が陣取ると思われる大きな石造りの台が置かれていた。恐らく、監視カメラが捕えた映像を映すモニターも設えられていて、身を隠しながら、このロビー全体の様子を観察し、ユーシンの状況も把握する事が出来るだろう。
ユーシンはクレアの背中を押して、彼女をそちらへと促して行った。彼は気付いていなかったが、彼がブルーハルトゾーンと名付けた位置を、意識もせずに触れていた。クレアは導かれるがままに、そのカウンター台の後ろに回り込むと、心配げな視線をユーシンに送りながら、台の後ろでしゃがみ込んで、その身を隠した。
クレアが隠れたのを確かめた後、ユーシンはまた少し移動し、そして建物の外の方に目をやった。それとほぼ同時に、刺客が姿を現した。1人だ。
刺客は、ユーシンの姿を見止めるや否や、銃口を彼の方に向け、躊躇なく引き金を引いた。姿を見せてから引き金を引くまで、コンマ一秒もかからない早業だった。プロの暗殺者と言って良い身のこなしだ。そしてその狙いも、寸分の狂いも無く、彼の放ったレーザー光はユーシンの体のど真ん中を目指して、彼我を隔てる空間を切り裂いた。
カッと、すさまじい光が、そのレーザーの殺傷エネルギーの強大さを示すように閃き、ロビーに置かれた物達は、今まで無かった新たな影を、一瞬だが引きずる事になった。
しかし、レーザーが衝突したものは、ユーシンの体では無かった。彼と刺客の間には、建物の外壁にもなっている特殊ガラスが、横たわっていたのだ。
「何やってるんだよ、お前。間にガラスの壁があるのにも気付かずに、いきなり撃つなんて、どれだけ焦ってるんだよ?」
その特殊ガラスが、レーザー光線は阻むが音波は阻まず、ガラスを挟んで会話が可能だと知っているユーシンは、刺客に語り掛けた。
刺客は、一瞬憎悪に歪んだ表情になってユーシンを睨み据え、「チッ」と舌打ちすると、視線をユーシンに固定したまま、また小走りで移動し始めた。ユーシンへの射撃が可能な場所を陣取るつもりなのだろう。その刺客の視線に、ユーシンは余裕しゃくしゃくといった不敵な笑みを見せつけて言った。
「こんなんで焦るようじゃ、暗殺者失格だな、お前。平常心を失って銃撃なんかしたって、成功するわけないぜ。馬鹿だなぁ。」
「黙れ!」
刺客はたまりかねたように怒鳴りつけた。「ガキの分際で偉そうにほざくな。もう逃げ場も無いだろう、お前には!馬鹿はそっちだったな。今すぐ殺してやるから、そこで待っていろ!」
(俺と会話しやがった。)
ユーシンはそう思い、顔だけでなく内心でも不敵に笑った。(ターゲットと会話をするなんて、それこそ暗殺者として失格だ。完全に冷静を欠いている。)
ユーシンは、更にたたみ掛けるように言った。
「追い詰めたつもりなのかお前。頭悪いなぁ。追い詰められてるのは、お前の方だぜ。」
「フン!そんなくだらんはったりが、通じるとでも思うのか!お前にはもう逃げ場はない。あの女もそのあたりに隠れているだけだろう。もう終わりだ。逃げられん。2人共、ここで死ぬんだ。覚悟しろ。」
そう言う間に、刺客は建物の入り口の一歩手前まで来ていた。入り口の部分では、当然特殊ガラスは途切れており、射撃は可能となる。
「よーく狙えよ。一発で仕留めないと、外したらお前、一巻の終わりだからな。」
「はぁ!? 外したところで、終わりようがないだろうが。お前は丸腰で、こっちは銃を手にしているんだ。何回でも殺してやれるんだぜ。」
そう言った刺客だが、射撃可能位置に付いてもすぐには銃撃せずに、建物内に踏み込んで来て彼との距離を詰め、そして、高々と銃を頭上にかざし、それをゆっくりをユーシンを狙う位置へと降ろして来た。
ユーシンはついさっきの、刺客が姿を見せた瞬間の銃撃を思い出した。ユーシンを見つけてから、コンマ一秒もかからずに、正確にユーシンの胸板のど真ん中を撃ち抜く角度でレーザーを迸らせた。特殊ガラスに阻まれたとはいえ、あれだけ素早く正確な射撃が出来るのだ。
なのに今この刺客は、さっきよりも距離が短くなっているのに、さっきよりはるかに時間をかけて彼に狙いを定めている。一旦銃を頭上に持ち上げるなどという、意味のない無駄な動きまで見せている。彼の腕をもってすれば、こんなにも距離を詰める事などせずとも、一瞬で、ユーシンを撃ち抜く事が出来たはずなのに。
彼にとって不必要な時間をかけた射撃をしていること自体、既にこの刺客がユーシンの術中にはまっている事を意味するのだが、刺客はそれに気づく様子は無かった。勝ち誇ったような笑みを目元に浮かべ、殺戮への期待と愉悦からか、口元も卑猥な形に歪んでいる。
「さあ、死ね。怖いか。怖いだろう。殺してやる。」
などと、無駄口も叩いた。
丸腰で、両手をだらんと横に垂らして力なく佇むユーシンに、目いっぱい腕を伸ばした刺客が銃口を突きつけつつある。
ロビーの中を、レーザー光線が走った。それに照らし出されたもの共が、また一瞬の新たな影を引きずる。
「ぎゃぁっ!」
悲鳴が上がる。ジュッと、レーザーの熱で人の皮膚が焦げる音、引き裂かれた皮膚から迸る鮮血の舞う音、少し遅れて、撃たれた者の膝が床を打つ音も、ロビーの中に轟いた。人肉の焼かれた臭いと血の臭いも、後を追ってロビーを漂う。
流血の事態を知らしめる、戦慄を催す刺激だった。
今回の投稿はここまでです。次回の投稿は、明日'17/7/15 です。
クレアと2人切りでの逃避行となったユーシン。鬼気迫る場面のはずなのに、すごく楽しそうな雰囲気になってしまった。クレアを抱っこしてご満悦って、緊張感なさすぎ?そんな彼にお灸をすえるために、レーザーで皮膚をジュッって焼かれたのでしょうか?こんなシーンでお決まりの形で、「次話に続く」となりました。お楽しみにして頂きたいです。というわけで、
次回 第48話 戦雲の再来 です。
刺客の襲撃にようやく決着がつきそうなのに、またきな臭い感じですが、彼らは今「臨時戦闘艦」の乗組員として防衛戦争の真っ最中なのです。気の休まる暇もないのも当然。刺客も戦争も、どんな決着を迎えるのか注目して欲しいところです。それに、ユーシンとクレアは・・?




