第38話 「ソリアノ」を後に
クルー達は全員、乗船を終えた。航宙指揮室のモニターには、彼等を見送るシャラナの微笑みが、でかでかと映し出されている。その威厳と温かみに満ちた笑顔は、クルー達のやる気を掻き立てずにはおかないものだった。
「船内各所、異常なし!」
「『ソリアノ』管制当局への、出航許可の再確認完了!」
「進路クリアー!障害となる天体、無し!」
等の出航時にはお決まりのセリフが、いつもよりはるかに威勢よく飛び出して来る。
出航時の操船は、まだまだユーシンには任せてもらえず、先輩のマルコの作業を横で見ているだけの彼は、退屈しのぎにモニターのシャラナにばかり目を向けていた。
映し出されるシャラナの微笑み、ついさっき掛けられた感謝の言葉、そして、額に残る唇の感触、それらを想う程に、彼女の故郷に起ころうとしている災いに対して、何もしてあげられない自分の無力を嘆きたくなる。彼女の為に何もしてやらず、自分達の商売に専念しようとしている彼等には、あんな言葉や口付けは、もったいないを通り越して心苦しい限りだった。
「宇宙商船『ウォタリングキグナス』、出航します。」
通信探索席に着いているアニーが、「ソリアノ」の管制当局に告げると、続けて、操船担当のマルコが叫ぶ。
「コロニーよりの電磁誘導射出を動力源として、『キグナス』発進!」
音も無く白鳥は滑り出す。すぐ近くで見るシャラナの長い髪が、サラサラと揺れる。電磁誘導でエアロックに入れられ、隔壁が閉じられた。シャラナの顔も、これで見納めとなる。
隔壁が閉じるとすぐに、周囲の空気がものすごい勢いで排出される。脱気が完了すると、「キグナス」は再び電磁誘導で、コロニーの中心軸の空洞へと飛び出さされる。そこからは、更に強力な電磁誘導が与えられる。
ユーシンは、そして「キグナス」乗組員の全員は、床に押し付ける様な強い重力を感じた。「キグナス」の航宙指揮室は、それ自体が回転する事で、常に重力の作用する方向を下にする事が出来る。「キグナス」にとっての“前”が、ユーシン達にとっての“上”になる形で、キグナスはぐんぐん加速して行くのだ。1Gくらいでは済まない。
宙空浮遊都市に近い位置でのワープは、「ソリアノ」当局により禁止されている。事故防止の為に当然の措置だ。だから、ワープが許可された宙域に一刻も早くたどり着くべく、「キグナス」乗組員たちは1Gを遥かに超越する強重力に耐えなければいけないのだ。といっても、先日ユーシンが訓練で経験したほどの加速をするわけでも無いが。
少し下腹に力を入れておけば、まあ耐えられるほどの重力が、数時間に渡って続く。
「みなさん、お元気で。ほんとに、ありがとうございました。なにとぞ、お元気で。」
通信機から、シャラナの最後の言葉が聞こえた。港湾コロニーが、モニターの中でどんどん小さくなって行く。電磁誘導による加速が終わると、次はビームの圧力による加速が始まる。「キグナス」自体に積んである噴射剤は、極力温存しなければならない。宇宙で噴射剤を失う事は、宇宙を漂流する事に繋がる。ワープをする為にも、噴射剤をスラスターで噴出させての加速が必要なのだ。
だから、港湾コロニー等の人工天体物の近くでは、たいてい人工天体の側から供給される推進力が使われる事になる。人工天体の内部か、そこから出ているレールの上では電磁誘導が、人工天体の外でレールも無いところではビームによる圧力が、宇宙船の推進力になるのだ。宇宙は、宇宙船だけでは渡れない、という事だ。
宙空浮遊都市の近くでは、多くの宇宙船や宇宙艇やシャトルも飛び交っていて、気を抜けない時間が続いたが、ある程度離れてからは、操船と言ってもやる事は無くなる。操船担当のマルコ自身も暇になっているから、それを見るだけのユーシンはもっと暇だ。
「おいユーシン」
通信機から呼びかける声が届く。「暇だったら、こっちに来て宇宙艇の操縦シミュレーターで訓練でもするか?」
ファランクスの声だった。
「行って来ても良いぞ。ここは俺一人でも十分だ。」
マルコもそう言った。「聞くところによると、『1-1-1戦闘艇団』が凄い置き土産をして行ってくれたそうじゃないか。」
「そうなんだ。」
通信機の向こうから、ファランクスが答えた。「2日前に、俺達より先に『ソリアノ』を発って『セムリニア星団』に向かった、『1-1-1』のアドリアーノ少尉が、訓練プログラムのデーターを送って来てくれたんだ。俺達が『1-1-1』を目指してるって話を、『ウィーノ』での歓迎会で偶然会った時にしたのを覚えていてくれて、ここ『ソリアノ』でも偶然ユーシンに会った事を契機に、データーチップを俺達のもとに届けてくれたんだ。」
「少尉は、『ソリアノ星系』到着直前のファランクスやアデレードの戦闘データーも見てくれて、見込みがあると思ったらしい。データーを見せたのは、誰だか知らないけど・・」
と、ユーシンは言いながら、船長席の方を振り返った。
「さぁ、何の事だかなぁ。」
そう言ってとぼけてみせるバルベリーゴの顔が、ユーシンの目に入る。
「ま、個人データー横流しの犯人は、今回は追及しないでおこう。」
ユーシンの呟きに、
「ははは、そうだな。勝手に個人情報が軍に渡っちまうのは、どうかとは思うけど、おかげでこんな良いものを入手できたのだからな。」
「で、早速のプログラムに従った訓練を、シミュレーターでやってるのか?」
ユーシンはファランクスに尋ねた。
「ああ、もちろんだ。強烈な旋回重力に耐え得る体作り等に関しても、様々なトレーニング方法が詳細に記録されているからな。なんでもアドリアーノ少尉自身が経験して来た訓練法だそうだ。説得力あるじゃないか。やって見ないでいられるわけないだろ。」
普段は落ち着いた声色のファランクスだが、今日ばかりは少し上ずった声で話している。訓練法を教わった事も嬉しいだろうが、あのアドリアーノ少尉に素質があると認めてもらえた事が、何よりも嬉しいのだろう。俄然やる気が湧いて来ていても、当然だろうとユーシンは思った。
「まあでも、俺は『1-1-1』を目指すわけじゃないし。それよりも操船の方を早く一人前にこなせるようにならないとな。」
ユーシンは応えた。
「でももう、やる事は無いんだろ?操船の方は。なぁ、マルコ?」
ファランクスは通信機越しに、マルコに尋ねた。
「ああ、無い。」
簡素に答えたマルコ。
「いや。いつ何があるかわからないのが航宙ってものだろ?そんな不測の場面での操船をしっかり見ておくためには、そう簡単にここを離れるわけには行かないよ。せっかく誘ってもらって悪いけどさ、ファランクス。俺はやっぱり、こっちにいるわ。」
「そうか。それなら無理にとは言わないけどな。でも、お前が宇宙艇の腕を上げる事も、『キグナス』にとってはプラスになる事だからな、手が空いて、やりたくなったらいつでも言えよ。お前にも、いつでもこの訓練プログラムを伝授してやるからな。」
「ああ。分かった。有難う、ファランクス。」
それで通信は終わった。
「アドリアーノ少尉って人は、何か、面倒見が良いっていうか、人間が出来てるって言うか。さすがは『1-1-1』って感じだな。」
操船席のディスプレーを順に眺めながら、マルコは言った。
「そうだな。『1-1-1』を目指してるわけじゃない俺でも、少尉だけは尊敬せずにいられないよ。」
ユーシンは応えた。「今頃アデレードも、必死で訓練してるんだろうな。憧れの少尉に教えてもらったプログラムで。こうなって来ると、本当に是が非でも、彼等には『1-1-1』になるっていう夢を、叶えて欲しいと思うよ。」
ワープが許可された宙域が近づき、数時間に及んだ加速も終わりが見えると、操船担当のマルコは叫ぶ。
「『キグナス』、ワープインシーケンスを開始する。ウィングオー・・」
「機構軍よりの緊急通信よ!オヤジ。」
マルコの叫びは、通信探索要員であるアニーの、突然の報告で遮られた。
「何ぃっ!機構軍からの緊急通信だとぉ!何事だぁ!」
バルベリーゴが、驚きのこもった声を張り上げる。
「機構軍よりの要請内容を報告。作戦参加を乞うって、言って来ているわ。機構軍と同盟契約にある商船は、機構軍の指揮下に入り、当該宙域で予想される防衛作戦に参加して欲しい、だって。」
「何ぃ!今か?ここでか?こんなところで、戦争が始まるって言うのか?何があったって言うんだ。」
ユーシンも事情が呑み込めず、隣のマルコに視線を送る。ワープインを邪魔された格好のマルコも、コンソールの上で両手を逡巡させながら、ユーシンに対して首をかしげて見せた。
「機構軍からの詳細情報が届いたわ。『ソリアノ星系』のオールトの海の南西上方向の一角が、百隻を上回る宙賊の襲撃を受けて、占拠されてしまったそうよ。」
「本当であるのか!? それは。 機構軍が宙賊に撃退されたというのであるか?」
アニーの隣の席に着いている通信探索長のラオが、目を見開いて言った。「宙賊がオールトの海を、一部とはいえ占拠するなど、機構軍が駐留している星系で、そんな話、わしは聞いた事が無いぞ。」
彼等ベテランを始め、航宙指揮室の誰もが驚きを隠せない。室内にざわついた空気が立ち込める。
「事の経過に関する詳しい情報は来ているか?アニー。」
バルベリーゴが尋ねた。
「今、続々とデーターが送られてきているわ。」
アニーは応えた。「今から十時間ほど前に、オールトの海の中に展開している、機構軍の無人探査機の幾つかが、タキオン粒子の照射が実施されつつあることを観測したのだって。無人探査機の内、ラディカルグルーオン生成装置を持つものは、直ちに作動させ、それ以外は照射範囲から脱出して、被害は免れたそうよ。天然の天体は、表面を反物質化されて破壊されたけど。」
「タキオントンネルを、兵器として使おうとしたって事か?」
武装管制席に着いていたジャカールが、疑問の声を上げる。
「いや、機構軍側に何の損害も出てないんじゃ、攻撃にはならない。タキオン粒子の兵器としての利用は、基本的には無理だって言われているよ。照射される側が、その兆候を観測してから、実際に破壊を伴う程のタキオン粒子を受けるまでに、何時間もかかってしまい、簡単に避けられてしまうから。兵器としての実用事例も、聞いたことが無いよ、俺は。」
ユーシンも意見を述べた。
「ユーシンの言う通り、」
アニーがユーシンの発言を肯定した上で、報告を続けた。「タキオン粒子の照射で破壊しようとしたのではなくて、その粒子の照射で形成した暫時型タキオントンネルを使って、攻撃部隊を送り込んで来たそうよ。」
「そんな馬鹿な!」
ユーシンが叫んだ。「オールトの海には、機構軍の防衛部隊が展開しているんだぞ。そこに暫時型のタキオントンネルを作ったら、簡単に察知されて、送り込んだ部隊なんて待ち構えている機構軍に、即全滅させられるに決まっているじゃないか。」
「ええ。実際に、機構軍は、照射された宙域に無人攻撃機と有人の戦闘艇を多数急派して、襲撃に備えたようね。でも、タキオントンネルを使って最初に送られて来たのは、数千発の誘導ミサイルだったそうよ。」
「何だとぉ!何千発もの誘導ミサイルを、宙賊が持っていたというのか!? 」
「どこの愚か者であるか!宙賊にそんなものを売り払った輩は。」
バルベリーゴとラオが、相次いで大声を上げた。
「それで、機構軍の損害は?」
バルベリーゴの後ろから、医療要員用の席に着いていたノノが、心配気に尋ねた。
「人的損害は無かったようね。」
アニーが答え、ノノはほっと息を付いた。
「ミサイルは、無人戦闘機を沢山撃破したものの、有人の戦闘艇に被害を与えることは無かったみたい。ただ、誘導弾迎撃の為には、機構軍の戦闘艇は同宙域から離れ、散り散りになって逃げ回らざるを得なくなり、その後に続いた宙賊の戦闘艇の進攻を食い止められなかったそうだわ。」
「それって、宙賊の攻撃なのか?」
操船席のマルコが呟いた。
「そうだな。誘導ミサイルなんて装備は、宙賊が持つようなものじゃない。持っていたとしても、数発だろう。数千発の誘導ミサイルなんて、大規模な部隊の本格的な侵攻って感じがするよ。」
ユーシンも応じた。
「それに、タキオントンネルでミサイルを送り込むなどといった戦術も、宙賊がやれる芸ではない。ラディカルグルーオンでミサイルを守る、専用のケーシングなんかも必要になるのだぞ。」
とは、ラオの意見だ。
「先に数千発の誘導ミサイルを送り込み、待ち構えている機構軍部隊を排除しておいて、そこに戦闘艇を送り込むか。それは宙賊なんかにはあり得ない、どこかの国の、十分に訓練された軍隊がやるような戦術だよな。」
と、ユーシン。
「じゃあ、これは、『タクムス星団国家』に対する、どこかの国の本格的な侵略行為って事なのか?」
そう言ったジャカールの顔色は、みるみる青ざめて行く。
「でも、送られて来た戦闘艇の観測データーからすると、この辺りにのさばっている宙賊達のもので間違いないそうよ。どこかの国の軍が保有している戦闘艇と合致するものは、今回進行して来た部隊の中からは、一つも見つかっていないって。」
と、アニーが報告した。
「その宙賊の戦闘艇が、百隻を上回るって言うんだろ?」
と、ジャカールが呟く。
「タキオントンネルで送り込まれて来たのは、二百隻程の戦闘艇だったみたいね。機構軍部隊に半分近くが撃破され、残りがオールトの海の中にある天体の占拠に成功し、居座っているみたい。そこに、支援物資が続々と送られてきて、占拠した天体に武装を施し、基地化して行ってるらしいわ。」
「オールトの海の中には、長さ十数キロとかいう大きさの天体もあるから、そういうのをミサイルやレーザーでがっちり武装してしまえば、機構軍といえども簡単には奪い返せなくなるな。」
と、ユーシンが言うと、
「もともとは機構軍が基地化してた天体もあるんだろ?それも宙賊に奪われたのかな?」
と、ジャカールが疑問を差し挟む。
「例の数千発の誘導ミサイルが効いてるようね。それに機構軍の戦闘艇が追い回されている状態じゃ、機構軍の基地は攻撃をしにくい。味方に当てるわけにはいかないからね。そこに宙賊の戦闘艇が襲撃して来たから、ほとんど無抵抗の内に、基地を奪われてしまったのね。基地要員は事前に避難して、人的被害は出ていないみたいだけど。」
と、アニーは伝えた。
「ますます、宙賊の芸じゃねぇなぁ。」
バルベリーゴは考える顔つきで語った。「襲って来ている戦闘艇は宙賊の物だとしても、この規模の部隊にしろ、数千発の誘導ミサイルにしろ、オールトの海の一角を占拠する手際にしろ、どっかの国の正規軍が関与して無きゃぁ、あり得ねぇものだぜぇ。」
「つまり、『コーリク国』が宙賊を使って『ユラギ国』に進攻しているように、この『タクムス星団』も、宙賊を前面に出したどこかの国に、侵略を企てられているっていう事か。」
そう言いながら、ジャカールはもう震え出しそうだ。
「もしかしたら、この宙賊の後ろにも『コーリク国』がいるのかな?」
そんな疑問を呈したのは、ノノだった。
「それは無いんじゃないかな。」
マルコが応じた。「ヘラクレス第3回廊にあるこの『タクムス星団』と、第4回廊にある『キークト星団』では、相当に距離が離れている。スペースコームを使う経路での移動なら、第1と第3と第4回廊を、それぞれおよそ千光年ずつ。都合3千光年の距離になる。スペースコームを使わずに直線で移動しても、約千光年だ。それに、『コーリク国』の狙いは『キークト星団』の制圧だからね。こんな遠くの『タクムス星団』に手を出して来るなんて、考えられない。」
「でも、もしかしたら、『コーリク国』を更に裏で操っている国か勢力があって、それが、今回の『タクムス国』侵攻に関与している可能性は、あるかもしれないけど。」
ユーシンは考える顔で言った。
「何だとぉ?『コーリク国』の更に裏に、何かいるだとぉ?それが、こんな宙域にまで首を突っ込んで来てるって言うのか、ユーシン。」
信じられないという口調でバルベリーゴは問いかけたが、彼の眼光の鋭さは、その可能性もある事を予見しているようでもあった。
「まあ、そんな事は俺達には分かりっこない。機構軍に任せるしかない事だけどね。それより今は、目の前の作戦参加要請の事を考えないとね。」
ユーシンがそう締め括ると、航宙指揮室の面々の顔は、また通信探索席にいるアニーの方に向けられた。
「機構軍からのデーターは、これで出尽くしたみたいね。必要な情報を送り切ったところで、改めて作戦参加の可否を問いかけて来ているわ。」
そう報告したアニーは、バルベリーゴを振り返って問いかけた。「どうするの?オヤジ。」
「どうするも何もあるか。こっちは半軍商社『ウニヴェルズム・フォンテイン』の船だぜ。機構軍との同盟契約があるんだ。これだけ盛大な侵略なんて局面に出くわして、要請に応えねぇなんて話はねぇ。」
アニーに向かってそう告げた後、今度は、コンソールを操作して船内放送のスイッチを入れた後、大きく声を張り上げて言った。
「おいガキ共ぉ、喧嘩の準備だぁ!機構軍の要請を受けて、宙賊の侵攻に対する防衛戦争に、俺達の船、『ウォタリングキグナス』も参戦するぜぇ!宙賊といっても、どっかの国が後ろで糸を引いてるかもしれねぇからなぁ、甘くねぇ闘いになるぜぇ。気合い入れろよぉ!」
バルベリーゴの雄叫びのような宣言に、航宙指揮室の一同は、「ウォォッ」と鬨の声を上げて応じた。
「船内各部署、聞いたな?頼んだぞ。」
服船長のチェリオが、船内放送で問いかけると、
「宇宙艇団、了解。」
「メンテ要員、直ぐに対応するわ。」
と、それぞれの長であるコロンボとキムルが、通信機の向こうから応じて来た。
「よぉし。じゃあ、ラオ、機構軍や周辺の商船共に、俺達の立場の布告を頼む。」
「了解した!」
バルベリーゴにラオが答えた。そしてラオは、コンソールを操ったあと、通信装置に向かって声高に言った。
「こちら『ウニヴェルズム・フォンテイン』社所属の宇宙商船『ウォタリングキグナス』である。宇宙保安機構軍部隊並びに、周辺の商船に告ぐ。」
一旦言葉を区切ったラオは、更に声を大きく張り上げて、通信機に向かって告げた。
「我等が宇宙商船『ウォタリングキグナス』は要請に従い、只今をもって、宇宙保安機構軍所属の臨時戦闘艦を宣言する!」
今回の投稿はここまでです。今週の投稿もここまでです。次回の投稿は、 '17/6/16 です。
さて、大規模な宙賊の進行という事態に直面し、機構軍の作戦に参加することになりました。前回の「タクムス星団」到着直前の"救援"とは違って、今回は機構軍の指揮系統にがっつり組み込まれての戦いになります。「機構軍所属の臨時戦闘艦」を宣言するというのは、そういうことです。機構軍も、戦争が起こっている時とそうでない時で、必要な戦力量が違ってくるので、状況の変化に柔軟に対応するために、"半軍商社"なるものを利用して調整しているってことです。普段は商船で、機構軍に要請されれば軍艦になるという、「キグナス」のややこしい立ち位置をご理解給えればと思う次第です。というわけで、
次回 第39話 虚空の防衛布陣 です。
今回の戦闘は、本格的とか大規模とかいうだけでなく、軍という組織の一部になって命令に従って戦わなくてはならなくなります。「キグナス」クルーに、どんな運命が訪れるでしょうか?物語世界が、ヒートアップします。お楽しみに!




