第36話 魅惑のシャラナ
レンガが剥き出しという内装の店だった。この店にいるはずと聞いていたのだが、薄暗い店内をざっと見まわしたところ、シャラナの姿は見当たらない。店の奥に小さなステージが設えられており、ジャズバンドの生演奏が心地いいリズムを刻んでいる。やたらと露出の多い女が2人、ステージ上で妖艶に腰をスウィングさせて踊っているが、バンド付きのダンサーなのか、客が勝手にステージに上がり込んで踊っているのかは、よく分からなかった。
シャラナは見つからなかったが、バルベリーゴは直ぐに目についた。脚の上に乗せた、小さな子供2人にじゃれつかれ、ユーシンには見た覚えがないような緩み切った笑顔で、その子達をあやしている。
「きゃははは」
「わーわー」
という、子供達の甲高い声に混じって、
「べろべろばー」
などという、普段の彼からは想像がつかないような声も、聞こえてくる始末だ。
「オヤジ、ご機嫌だな。」
ガリアスが声をかけた。約束をしていたものか、驚いた風も無く。
「おう、来たか。」
と応じたが、顔は子供達の方に向きっぱなしだし、緩みっぱなしだ。
「すっかり、人の良いおじいちゃん、て、感じだな。オヤジ。」
ユーシンも声をかけながら、テーブルを挟んだバルベリーゴの向いに、席を占めた。ガリアスもアドリアーノも、同じ側のシートに、強引に詰め込むように座って来た。1人くらいはバルベリーゴの側に座ると思っていたユーシンは、レンガが剥き出しの壁に、肩を押し付けるようにして座る事を余儀なくされた。2人とも体格が良いから、本来3人掛けのシートにも関わらず、ぎゅうぎゅう詰めだ。
(なんだって、全員こっち側に座るんだ。)
と、思ったのは一瞬の事だった。バルベリーゴの隣に座る人は、もう決まっているのだと直ぐに悟った。彼の脚の上にいる子供達の母親の為に、その席は、空けておかなければいけないのだ。ガリアス達の当然の気遣いを、ユーシンも共有した。
「その子達も、かつての部下の子供っていう事か。」
ユーシンは問いかけた。
「きゃはは」「わーわー」の間を縫うように、バルベリーゴは答える。
「ああ、そう・・あいたたた、髪の毛を引っ張らんでくれ、・・ああ、そうだ。非正規兵のまま戦死しちまったが、勇敢な兵士だった。あいつに・・・もがぁっ、は、はだ、鼻をもぎ取ろうとせんでくれ・・・あいつにも、この子達を抱かしてやりたかった。」
「ガキに顔も見せねぇで、産まれる前に、逝っちまったか。」
力みの無い笑顔でガリアスは言ったが、その低い声の響きには、胃の腑を震わせるような哀愁が感じられた。
「下の子はな、父親の顔を知らない・・あわわ、暴れんでくれ。こうして二人一緒に抱いた事は・・いたた、だから髪を・・・抱いた事は無かったなぁ。」
子供達のはしゃぎ声で、バルベリーゴの話を聞き取るのは難を極めたが、何かが詰まったような胸の内は感じ取られた。こんな可愛い子達を残して、かつての部下が戦死したのだ。非正規兵で遺族年金も出ないから、バルベリーゴの支援がなければ、この家族は生活も成り立たなかったのだろう。
子供達のあどけない笑顔からは、父親がいない悲しみなどは感じられない。だが、今は余りに幼く、その事を理解していないだけで、いずれは、寂しく思う日も来るのだろう。せめて生活くらいは、人並み以上のものが与えられて欲しい。そう思うユーシンだった。
「で、この子達の母親は、今どこに。」
その問いに、バルベリーゴは顎をグイッとしゃくって見せた、顎の先が指したのは、ジャズバンドが演奏に興じているステージだ。
「おお、あれか!」
ガリアスは驚いた様子で声を上げた。ステージに上がり込んで、これ見よがしに腰を振って踊っているのが母親のようだ。その露出の多い服といい、その腰遣いといい、二児の母とは思えないものだと、ユーシンも驚きを禁じ得なかったのだが、更に彼を、もっと圧倒的な激しさで驚かせたものがあった。
「しゃ・・シャラナさん!? 」
余りにも予想外の事だった。薄暗くて顔が判別し辛かった事もあったが、それ以前に、あのステージ上で踊っている、露出の多い、腰遣いの妖しげな女人がそうだなどと思いもしなかった。彼女の姿を求めて、一通り店内に目を走らせはしたが、ステージ上の女性に関しては、ロクに顔も見ない内から除外していたのだ。
子供達の母だという女性が、こちらに気付き、ステージから降りようと歩を踏み出した。シャラナもこちらを見て、直ぐに彼らに気付いたようだが、彼女がこちらへやって来ようとしたのは、そこから二節ほど腰を振った後だった。
寄ってきた母親は、男達になど目もくれない勢いで、まっしぐらに我が子達に手を伸ばした。抱き合上げ、両方の脚にひとりづつ正面を向かせて座らせ、両腕で抱え込んだ。それから、「これでよし」といった顔付きをした後で、彼等に挨拶を始めた。
「どうもこんばんは。ダリアと申します。この子達はマルロとカリー。あなた、バリー船長の息子さんね。てことは、この子達の叔父さんってことよね。」
「あはは、おじさん。まだ15ですけど。」
苦笑いで応じたユーシンに、ダリアは言った。
「いくつでも、あなたは彼の息子で、この子達は彼の孫よ。血の繋がりは無くても、叔父さんでちゅよー。よろちくー。」
後半は、子供達を代弁したつもりの発言だろう。言いながら、子供達の手をユーシンの方に持って行き、握手をさせようという動きを見せた。ユーシンも腕を伸ばしたが、子供達は二人とも、ぷいっと横を向き、「いやっ」とでも言いた気に手を引っ込めた。
「あっはっはぁ、ふられやがったなぁ、ガキィ。まだまだ、俺のように上手くはあやせねぇようだなぁ。あっはっはっはぁ。」
やたらと自慢気に、そう言って大声で笑うバルベリーゴに、ユーシンもつられて笑いがこみ上げる。
「ははは、まいったな。どうやったら、なついてもらえるんだろ・・」
「お前には百年早いわ、あっはっはっは」
「なんだよオヤジ!今までで一番偉そうだぞ。」
ガリアスもアドリアーノも笑っていた。テーブルには笑いが山積みだ。2つの幼い顔は、キョトン、としていたが。
「あらあら、賑やかです事。私も混ぜて下さいな。」
そう言いながら、ダリアの隣に腰を下ろしたのはシャラナだった。カウンターでもらって来たのか、ワイングラスを片手にしているシャラナは、ユーシンには目のやり場に困るような恰好だった。ひもだけで肩から吊るしたような、濃い紫のワンピースで、少しラメが入っている。さっくりと切れ込んだV字の胸元には、たっぷりとした重量感のふくよかな双丘が、これでもかとはみ出していて、2・3度ジャンプすれば、ポンと飛び出しかねない感じだ。
直視する度胸は無いものの、なんとなく周囲に視線を泳がせているだけで、その存在感に圧倒されるユーシンだが、圧倒されればされる程、一つの悔恨が頭をよぎるのだった。
(俺は未だに、お嬢様の胸元の具合を知らないままだ。チャンスはあったのに、全て逃してしまった。)
シャラナの胸の膨らみに圧倒されればされるほど、クレアの胸元の具合を知りたい気持ちが降り積もって行く。何度も視界には入っていたはずなのに、結局一度も意識してそこを見ることが無かった。なぜ今、こんなにも気になるものを、その時には注目しなかったのか、ユーシンは悔やんでも悔やみ切れ無いのだった。
一方、目の前のシャラナは、ふくよかな胸元を見せ付けるのと同時に、いつも通りに背筋はすっくと伸び、視線の配りに気品を漂わせている。大胆に露出された肢体と、その凛々しい佇まいの両立は、女神と称えるか、女王と祭り上げるかでもしたくなるような麗しさを漂わせているのだった。
「こぉらぁ、ガキィ!シャラナのねぇさんの色気に、すっかり魂を抜かれちまってんじゃねぇかぁ!」
バルベリーゴにそう指摘される程に、ユーシンは言葉を失い、時の流れを忘れ、表情も仕草も凝固してしまっていたのだ。
「えっ?いや・・俺は・・別に、その、なんだ・・」
もはや紡ぐべき言葉すら、見当もつかない。
「うふふ、光栄ですわ。ユーシンさんに見惚れて頂けて。」
「えぇ?見惚れてって・・?お、俺、そんな事・・」
「ははは。素直に、色っぽくてたまらんですと言っとけ、小僧!」
「あっはっは。これだけのプロポーションだからね、男だったら見惚れてしまうのも無理ないよ。」
ガリアスとアドリアーノが相次いで冷やかして来た。
何とか一時の混乱を脱したユーシンも、
「あ、ええ、す、すごく綺麗です。とっても・・、素敵だと思います。」
と、言語を発する事には成功した。
「うふふ、有難うございます。ユーシンさん。」
シャラナも言った。やはり彼女の声と視線には、どんな服装であれ、人を落ち着かせるものがあるようだとユーシンは思った。
「旦那さんと別れて、返って元気になったんじゃねぇか?ねぇさんよぉ。」
「ええ、とても解放感に浸っています。今までできなかったような事を、思う存分できるんですもの。うふふ。」
バルベリーゴの問いかけに、楽し気に答えるシャラナだったが、ユーシンの胸中は複雑だった。
シャラナの見せている様が、本当に幸せを感じてのものなのか、それとも、離婚やラクサスにされた事に対して、ヤケを起こしているとか、自暴自棄になっているとかといった状態なのか、彼にはよく分からないのだ。
この先シャラナは、新しい生活の中で、様々な可能性を見い出し、生きがいや幸福を実感して行けるのだろうか。ただ一時、呑んだり騒いだりして嫌なことを忘れて、またしばらくたったら、一人苦しく悲しい時間を過ごす事になりはしないのか。そんな思いが頭を駆け巡り、目の前のシャラナの姿に困惑し続けるユーシンだった。
「帰化プログラムの方は、順調に進んでいるのですか?」
ユーシンは尋ねてみた。
「ええ。と言っても、1日3時間ほどの講習を、2日に1回受けるだけですけれども。後はこの街で、近隣の方々と問題なく生活が出来れば良いそうです。こうして遊び仲間も出来ましたので、そちらも問題ございませんわ。」
そう答えてシャラナは、隣のダリアの右腕に、自分の左腕を絡めて見せた。ダリアもシャラナに体を押し付ける様な仕草をしながら、
「ええ、シャラナさんなら大丈夫です。何の問題も無く帰化は完了すると思います。」
と言った。ダリアの右腕に抱えられている子供は、少し迷惑気な表情をしているが。
「機構軍本部のある『イリノア星系』に、行けそうな可能性は無いのですか?」
ユーシンは重ねて尋ねた。
「行く事は出来ます。ただ一般の旅客宇宙船では、到着までに2か月を要してしまうのです。」
「そうですか。それなら、ここで帰化を完了してから、機構軍に『コーリク国』の件などを通報した方が良いですね。」
シャラナの答えに、少し暗い声で応じたユーシン。
「うふふ。心配して下さって有難うございます。ユーシンさん。でも、安心なさってください。直通で『イリノア星系』に向かう商船か何かに乗せてもらう手配は、出来るかもしれませんから。ですが、そちらはトクワキの方が動いてくれています。もし、手配が出来たとしても、トクワキは自分と家宰のみで行くので、私はこちらで、新しい生活を楽しんで欲しいと言ってくれております。私は、その言葉に甘えようと思っております。」
「そうですか。やっぱりトクワキさん、ちゃんとシャラナさんの事を想っているのですね。」
今度はシャラナの答えに、少し声を明るくさせたユーシンだった。
「ええ。あの方が私の幸せを思って、自分のもとから解放し、自由に行動出来るようにさせてあげたかったという気持ちは、嘘偽りの無いものだと思っております。そして、私がここで、しっかり幸せな人生を築き上げる事が、あの人にとっても幸せなんだと思っております。ですから今は、こちらの楽しみ方というものを、こうしてダリアさんに学んでいるわけです。」
そう言ったシャラナは、また更に、ダリアの腕を強く引き寄せた。ダリアの腕がシャラナ
胸に食い込んで行く様に、ユーシンは思わず目を背けてしまう。
わざとらしく斜め上を眺め、レンガが剥き出しの壁に視線を漂わせながら、ユーシンは内心で思っていた。
(ここの生活の中で、シャラナさんが幸せを手にする事を、祈る事しか俺には出来ないな。)
今のシャラナの笑顔が本物で無かったとしても、今のシャラナの姿が、自由を謳歌した上での自己表現では無く、ただ思い切った事をして気分を晴らしているだけだったとしても、もはや自分には、何かをしてあげられるわけでは無いのだと思い、無力感に捕らわれるユーシンだった。
その後も楽しく歓談は続いた。しばらく母の脚の上にいた子供達は、またすぐにバルベリーゴの脚の上に戻って行った。彼は、銀河のあちこちに、このように面倒を見てあげている戦死した元部下の家族がいて、扱いに成れている為か、子供達にずっと甘えられ、人気者だった。一方でユーシンは、何度か子供達を抱かせてもらったりはしたのだが、すかさず“いやいや”をされてしまう始末で、どうしてもなついてもらえなかった。そしてその度に、バルベリーゴの勝ち誇ったような笑い声を浴びせられる事になった。
いつの間にかシャラナが隣に座っていた。
「さあ、どうぞ。呑んでくださいな。」
そう言って酌をしてくれる。15歳のユーシンだが、未成年が禁酒という法律はここには無い。ユーシンも得意でも好物でもないが、呑めなくも無いので、注がれれば呑んでいた。
少し右斜め前に体を傾けて酌をするシャラナの胸元は、へそが見えるのではと思えるほどの広大な開口面積を誇り、その開口部を支える巨大な半球状の肉壁は、見ているだけで呼吸が乱れる程の圧迫感を生み出していた。
「それほど懸命に目を逸らさなくても、結構でございますよ。」
一番恥ずかしいところを、シャラナにズバリと指摘されてしまったユーシン。もう赤面して、
「あ、いや、あ、あわ、あわわ」
と、言葉にならない声を発するしか無かった。
「でも、ユーシンさんの頭の中には、違う誰かさんが、おられるようでございますね。」
妬むようでも無く、全く棘の感じられない声色で、シャラナはそう言った。
「え?いや、そんな・・事は・・」
と、何とか否定を試みるユーシンだが、その指摘もあまりにも図星だったので、しどろもどろな返答にならざるを得なかった。
「以前おっしゃっていた、守りたい人というのは、クレアさんの事でしょう?」
「え?いや、そんな・・あれは・・」
「クレアさんの事で、頭の中がいっぱいのようですね。」
またしてもズバリ的中。もはやユーシンの心の中は、全て見透かされているのだろうか。
「え?いや、そんな・・俺は・・」
言いながらユーシンは、もう何を言っても否定できないと観念しつつあった。全くシャラナの言う通りで、彼女の胸元の迫力を感じれば感じる程ユーシンは、クレアの胸元の具合がどうなのか、気になって仕方が無かったのだ。
(何故、ちゃんと意識して見なかったんだ?何故どんな具合か、未だに知らないんだ?)
「クレアさんの事を、愛してらっしゃるのですね。」
単刀直入な表現に、ユーシンはたじろぐ。
「え?いや、そんな・・愛してるなんて、そんなんじゃないです。ただ、守りたい、支えてあげたい、そう思うだけで。」
「守ってあげたい、支えてあげたい、という気持ちが、愛ではないという事が、あるのですか?」
「え?いや、そんな・・。お嬢様は、機構軍幹部と結婚する女人です。俺なんかが・・」
口ごもるユーシン。
「そうかしら」
シャラナは姿勢を改め、ユーシンを真っ直ぐ正面に見据えて言った。「私も政略結婚でしたから、クレアさんの気持ちは分かるつもりです。決められた結婚相手では無い方が、1人の男性として愛して下さるという事は、女として、これ以上に無い喜びです。あなたがクレアさんを愛していると認める事が、何よりもクレアさんを守り、支える事になるのではないかと、私は思います。」
「え?いや、そんな・・、そんな事・・俺・・」
口からはしどろもどろな言葉を吐くユーシンは、内心では悲鳴のような言葉を吐いていた。
(ガリアス中佐といい、シャラナさんといい、せっかく整理が付きかけた気持ちを、なんでまたかき乱すような事を言うんだぁ!お嬢様への気持ちを、愛とか恋じゃないって事にしておかないと、ブルーハルト大佐とお嬢様を想像するだけで苦しくなってしまうのに。)
そうやって気持ちをかき乱されたところで、また更に豊満な胸を見せ付けるようなポーズをされると、ユーシンの頭の中は、クレアの胸元の具合を知りたい気持ちが、爆発しそうな程に充満して来るのだった。
「で、昨日はどうだったんだよ。シャラナさんはゲット出来たのか?」
ニヤニヤしながら、キプチャクが尋ねて来た。翌朝のフードコートだ。並んで座る彼らの正面には、ニコルとノノもいる。
「だから、ゲットってなんなんだよ!顔を見に行っただけだよ。元気そうだった。ここでの新しい、自由な生活を満喫してる感じだった。『イリノア星系』に行く件はトクワキさんが全部引き受けたんだって。離婚がトクワキさんの善意によるものだってのも、シャラナさんは認めてるって言ってた。もう後は、俺達に出来るのは、祈る事だけだよ。シャラナさんがここで、幸せになる事を。」
「本当に、シャラナさんは楽しそうだったの。カラ元気とかじゃなくて。」
ずいっ、と、赤毛のボブ頭をユーシンの方に突き出して、ニコルが聞いて来た。
「そんなの、分からないよ。本当の笑顔なのか、やけくそになってるのかなんて。本物である事を、祈るだけだよ。」
「で、ユーシンはそれで良いの?このままシャラナさんと離れてしまって。」
「なんで俺の話になるんだよ!」
喚くユーシン。
「だって、ユーシン。整理の付いた顔して無い。」
今度はノノに言われた。
「俺の事は良いんだよぉ!」
「本当に良いのか?あんなイイ女滅多にいないぞ!お前が行かないんなら、俺がゲットするぜ。」
と、キプチャク。
「勝手にしろ!」
また喚くユーシン。
「あっはっは。なんだか威勢がいいなぁ。」
出て来たのはバルベリーゴだ。
「ユーシンがね、シャラナさんの話になると、ムキになるの。」
と、バルベリーゴに言ったのはノノだった。
「ムキってなんだよ!お前らが変な事を言うから俺は・・」
喚くしかないユーシン。
「あっはっは、そうか。それは仕方ねぇなぁ。なんたってこのガキは、昨日は、シャラナのねぇさんの、さっくり割れた胸元にメロメロだったからなぁ。」
「おい!オヤジィ。何を言ってくれ・・」
「なにぃ!ユーシン。そうなのか。あのシャラナさんが、谷間全開の服を・・、お前、写真くらい撮って来たんだろうな!」
「えー!そうなんだぁ。シャラナさん、そういうファッションもするんだぁ。ねぇねぇユーシン、どんな感じだったの?」
「あたしも見たかった。セクシーなシャラナさん。ユーシン、羨ましいぞぉ!」
踊るような動きの、青みがかった黒髪と赤毛のボブ頭が、ユーシンに攻め寄せる。
「う・・うるせぇ!おいオヤジ!オヤジが余計な事言うから・・」
「あっはっはぁ。さぁガキ共、おしゃべりはその辺にしとけ。あと3日で、『カーネラ星団』に向けて出航だぁ。忙しくなるぜぇ。」
今回の投稿は、ここまでです。今週の投稿もここまでです。次回の投稿は、 '17/6/9 です。
さて、胸元の空いた服の女性に近くに寄られた時、どうするのが正解なのでしょうか?見たくて当然のものを、これでもかと見せつけられているのに、見る事は憚られるとか、見ているのが誰かにバレたら冷やかされて恥ずかしい思いをさせられるとか、考えたら、とんでもなく理不尽な気がします。胸元を開けていたシャラナの気持ちや、ユーシンへの想い。ユーシンの、シャラナへの想い、クレアへの想い。そんな各自の内面の動きが錯綜しつつ、外側の世界でも色々な事が動いています。まもなくソリアノを立つ「キグナス」ですが、ユーシン、シャラナ、クレア、1-1-1戦闘艇団、その他の面々に、どんな運命が待ち受けているでしょうか。気にしたり、想像したりして欲しいと、作者は願うものです。というわけで、
次回 第37話 出立を目前に です。
ファランクス、アデレードとアドリアーノ少尉や、ユーシン、バルベリーゴとシャラナの関係性や想いについて、改めて実感してもらうための説話になります。ストーリーが大きく動く感じではないですが、よろしくお願い致します。




