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 アクト=ファリアナで衣服類を並べていたが、なかなか思う様には売れてくれなかった。

 アヴァインは思わず、吐息をついてしまう。

 この2日間で売れたのは、たったの1着のみ。商売を甘く見ていたな、とつくづく考えさせられてしまう。

 仕方なく値段を下げて様子を見るが、そもそも立ち寄って見に来てくれる人の数も少ない有り様だった。それでもその日は、2着が売れたので、まだ良かったと言える。

 初日なんて、1着も売れなかったのだから……。


 その次の日は更に値段を下げ、周りでアヴァインと同じ様にして商品を並べ売っている人の真似をし、呼び込みをやってみた。追われている身だけに、余り目立った事はやりたくなかったのだが、少し位なら良いかな? と思ってのことだ。

 すると10人に1人位は立ち止まって、商品を見てくれる様になった。すると、人が人を呼び。客寄せをわざわざしなくても人が集まる時もあって、しかも勢いで数着買ってくれる客までもが現れた。

 この日は12着が売れ、銀貨167枚。昨日までに売れた3着分の銀貨38枚と合せて銀貨205枚だ。

 この後の州都アルデバルまでの交通費や宿泊費を考えると、殆ど手持ちの銀貨に変わりがない。いや、寧ろ赤字だな、これは……これも良い勉強だったと今は思っておくことにしよう……。

 残った4着の衣服は、近くで同じ様に商売をやっていた人にそれぞれ1着ずつ渡した。

 今後もお世話になることもあるだろうし、仲良くして貰えたので、その感謝の気持ちだ。するとその中の1人が良い情報を教えてくれた。

「もし良ければ《ハインハイル交易ギルド》に入らないか? 私が紹介するよ♪」

「ハインハイル……?」

 話によると、最初の入会費銀貨500枚と毎月の会費銀貨50枚を支払えば、色々な交易情報や割引特典などが付いてくるらしい。それに、《ハインハイル交易ギルド》のギルドマスターは盗賊にも顔が利くらしく、会員証を見せるだけで多少の銀貨を渡すだけで済む場合もある、との事だった。

「一番初めに支払う銀貨500枚と毎月の銀貨50で、交易が有利に行えるんだからお勧めですよ。で、どうだい? もし入るのなら、今から一緒に私が案内するが?

紹介するだけで、私も銀貨50枚が貰えるしね♪」

 そこで男は冗談っぽくウインクをやっている。アヴァインはそれを見て、苦笑した。まあ、見た雰囲気からいっても悪い人ではなさそうなんだけど。銀貨500枚……というのは、正直言って今の自分には到底無理な話だ。だけど、交易情報や割引特典がある、というのは魅力を感じた。

「まだ商売を始めたばかりで、手元のお金もそんなにはないんだ。もう少し余裕が出来たら、改めてお願いさせて頂きますよ」

「そうかい? まあ、そういう事情なら仕方がないな……。

まあーでも、どの道これから私はそこへ行くつもりだから、なんなら一緒にどうだい? 本当は禁止されている事なんだけど。アンタなら信用出来そうだし、別に構やしないだろう。ワハハハ♪

で、どうするね? 一度、行きさえすばそれで場所も分かるんだし。あとで困ったことにはならない、と思うんだが?」

「……そういうことでしたら、はい。よろしくお願いします」

 男のその申し出を受けて、アヴァインは一緒について行くことにした。



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