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『パラド=スフィア物語』 -カルロス-(オリジナル)  作者: みゃも
第五章【新たなる道への旅立ち】
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―66― 


 鉱山都市カルタゴに3日ほど滞在し、それまでの疲れをある程度取った所で、いよいよアクト=ファリアナへ向けて出発することにした。

 持てるだけの乾し肉をリュックに入れ、ぶどうの絞り汁は多く持つと重いし腐るので2本だけにし、チーズは沢山詰め込んだ。隣のファーを見ると、乾し肉と酒を入れていた。それから白パンは3日分だけ用意する。それ以上だとカビてしまうだけだからだ。

 それとは別に、予備の靴と衣類も入れる。それと地図もだ。

 首都キルバレスを出てから、もう一ヶ月が経つ。

 ここからアクト=ファリアナまでは、馬なら5日で行ける距離だが。この街中の様子を見て、検問が行われていることが十分に予想が出来たので、再び徒歩でしかも街道を逸れて抜け道を行くことに決めていた。ここから徒歩だと、一体何日掛かるものかも分からない。ファーの話によると、半月もあれば着くだろう、との事だったが。

 山道を進み、2山も越えた所で、早速と道に迷ってしまっていた。

「やれやれ……」

 深い森林と山間の中の為、太陽の位置すらつかめない。

「取り敢えず、あそこの小高い山へ登ってみよう。それで現在地が分かる筈だし」

 ファーは眺めていた地図をリュックの中へしまい、吐息をつくとそう言った。

 地図を見ても、今自分達がどの辺りに居るのか皆目見当もつかなかったのだろう。

「ああ……そうだな」

 2時間ほどを掛け、ようやくその小高い山へ着くと。その先の方にどこかで見た街並みが薄っすらと遠くに見えた。

 それは、懐かしい、なんて所の話ではない。今朝、早くに出発したばかりのカルタゴの街並みだった。

「ああ……出発して6時間も掛けて、まだこんなモンなのか……」

「ハハ(汗)」

 まあ、ここで落ち込んでいても仕方がない。時間が時間出だし、お腹も空いてきた。

「折角、見晴らしの良いところに着いたんだし。ここで昼食としようよ、ファー」

「……まあ、それもそうだなぁ」

 ファーはそんなアヴァインのさり気ない気遣いに気づき、笑顔でそう答える。

 直ぐ近くにいい場所を見つけ。途中、途中で採取していた木の実とチーズに、パンを小さく切り分け、乾し肉を一口サイズに切り取りファーに渡す。

「……これから、またこんな侘しい食事が当分続くのかと思うと。これからまた、あそこに見えるカルタゴに戻って、もう一週間くらい滞在したい気分だよ……」

「ハハ。まあー、気持ちは分かるよ。凄くね」

 その気持ちだけは理解出来るけど、もう身に着けていた装飾類はお互いに全て売り払ってしまい。有るのは、このリュックの中の食べ物や衣類と護身用の長剣。それから、たった銀貨3枚ずつのお金だった。

 これは、何かあった時の為にと残しておいたお金だ。

 食後、30分程だけ休み。ファーはその間にも、地図を開いてカルタゴの位置から向かうべき方角を見つめ、指を差して言う。

「アヴァイン、あの山だ。取り敢えず、あの山を目指そう!」

「分かった」

 そう言って立ち上がり、そのファーが指差した山を目指し、歩き始める。

 3時間ほどで、その山の麓へと辿り着き、そこから更に1時間ほど歩いた所に見晴らしの良い拓けた場所を見つけた。今晩はここで泊まることにした。

 途中、途中で採取した木の実とチーズにパンを小さく切り分け、乾し肉を一口サイズに切り取って渡す。

「この木の実以外は、昼間のと全く同じメニューだよなぁ……。

足らないし、飽きちゃうし、当分これが続くだろうし。(たま)らねぇーなぁ~……」

「まあまあ、そう思うのなら、少しでも早くアクト=ファリアナへ辿り着く様に努力しようよ」

「はいはい……それが正論で御座いますですよ、アヴァイン隊長」

 ファーは吐息をつき。ゆっくりと味わいながら食べ、酒を2口ほど飲むとさっさと寝転がり、間もなく(いびき)をかいていた。相当疲れていたのだろう。

 アヴァインはそんなファーを見て微笑むと、自分も同じ様にして寝転がり、満天の星空を見上げた。

「アクト=ファリアナか……」

 そこへ辿り着いたあと、ルーベンからの手紙を渡す。自分はその後、何をすれば良いのか……どこへ向かえば良いのか……。正直、その後の予定など未だに何も決めてなかった。

 ルーベンさんが言っていたこと。

 それは確かに、正論だ。だが、それが実現するのは一体いつなのか? 数ヶ月後か、数年後……はたまた数十年後なのかもしれない。アヴァインの気持ちとしては、そんなにはとても待てなかった。

 それに、お尋ね人である自分はその間、メルキメデス家としてはやはり厄介な存在だと思われる。『その時』が来るまではやはり自分は誰に取っても迷惑な存在だろうと思う。今まで世話になって来たメルキメデス家に迷惑を掛ける訳にはいかない。そもそもあの旧臣達が許す筈もないのだ。

 ルーベン氏の正攻法で行くのも良い。が、その間もあのディステランテがパレスハレスで権威を振りかざしているのを黙って見ているのだけというのは、やはり我慢がならないことだ。

 ファーと二人でこうして旅をするのも、アクト=ファリアナまでだ。到着さえすれば、あとはファーにこの手紙を託し。直ぐにでも立ち去るつもりだ。オルブライト様やケイリングに迷惑を掛ける訳にはいかない。

「そうだな……属州都アルデバルへ一度、行ってみるのも良いかもしれないなぁー……」

 アヴァインはその夜、色々なことをふと思い。そこまでのことを決め、静かに目を閉じて眠りについた。








 《第五章【新たなる道への旅立ち】》これにて完結です。


 ご意見・ご感想などを頂けたら幸いです。今後の作品制作に生かしたいと思います(__ 

 

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