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『パラド=スフィア物語』 -カルロス-(オリジナル)  作者: みゃも
第五章【新たなる道への旅立ち】
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―64―


 一言でアクト=ファリアナへ行くと言っても、簡単なことではなかった。

 先ず、このキルバレス市内から出るのにも困難を極めた。道の至る所に衛兵が居て、顔だけは見られない様に俯きながら通る。流石に街の門だけはどうしようもなく、通り掛かりの商人に金を渡して積荷の中に隠れ込み、なんとか抜け出せた。

 キルバレスから北へ10キロも進んだ所で、その商人とは別れ。そこから北東のアクト=ファリアナを目指すが、時折、主要な街道の為、衛騎兵が行き来し。その都度に、隠れる始末だった。しかも所々に関がある為、迂回するしかなく。気がつけば道に迷い、カンタロスの貯水池の山々に近づいていた事に気づく。東へではなく北へ歩いてしまっていた様だ。

 あれからもう、10日が経つ。

「あークソッ! 普通だったら、こんな苦労はしないのに!」

「まあ、そう言うなよ、ファー。

お陰さんで、こんな綺麗な場所が見れて、ラッキーじゃないか」

 カンタロスの大水源からの豊富な水で、辺り一面、見渡す限りの湿地帯が広がっていたのだ。

「ああ、全くだな。

しかし、下手に近づくんじゃないぞ。動物一匹歩いていない所を見ると、相当な底なしだぞ、ここは」

 確かに、鳥や小型の動物らしい生き物は見掛けるのだが。この湿地を自分達ほどの動物は一匹として歩いていなかった。

「あー良かった……。

ファーに言われなかったら、危うく踏み込んでしまうトコだったよ」

「……お前のそういう、迂闊(うかつ)なトコ。なんとかならないのかぁ?」

「ハハ。まあ、善処はします。約束は出来ないけど」

 それを聞いて、ファーは吐息をついていた。

 ようやくその湿地帯も抜け、大きな川で魚を獲り。弓矢で、鳥を射抜き。枯れ木を集め、火を(おこ)しその日の夕食とした。

 この辺りには木の実も多く。とても豊かだ。

「これだけの土地を遊ばせているってのは、なんとも勿体無い話だよなぁー……」

「まあ、仕方がないよ。カンタロスの大水源の周囲、30キロ圏内への立ち入りは基本禁止されているからね。

要は、あの山々が見えている所での狩りとかは、ぶっちゃけやっちゃダメなの」

「なんだ。じゃあー、俺たち。ルール違反してたの?」

「まあ、そういう事になるね?」

 最後の鶏肉を貪り食べていると、その向こうでファーが呆れ顔を見せていた。

「アヴァインさ。この魚とか焼く時、普通に火を使ってなかったか?」

「うん、鳥もね。そりゃだってまさか、生じゃ食べられないでしょ? ハハハハ♪」

 そう返すアヴァインの言葉を聞いて、ファーは頭を抱え、吐息をつく。

「衛兵がこの煙を見たら、この場所がバレるとか、思わなかったのかぁ?」

「……あ(汗)」

「あ、じゃないぞ、アヴァイン。まあ、気づかれなかったから、良かったものの……」

 とファーが言うも間もなく。ザザザ……と茂みをかき分ける音が聞こえ、数名の衛兵が弓矢を構えていた!?

「クッソォー!! 逃げるぞ、アヴァイン!!!」

「───お、おう!!」

 颯爽とその場から飛び出す様にして逃げ出し、間もなくそこへ弓矢が無数に斉射されていた。実に危なかった。危うく、串刺しだ。

「おい、アヴァイン!」

「え? なに??」

 死ぬ程に全力疾走で走りながら、ファーは言った。

「お前のその、迂闊なトコ、本気で直せ!!」

「善処はするよ、約束は出来ないけど!」

「だから、そこは約束をしろ、っての!」

「生来の人の性格って、そんな簡単には直らないものなの!」

「だから、そこをなんとかしろ、っての!」

「だから、全力で善処はするって! 約束は出来ないけど!!」

「だぁ───かぁ───ら! 頼むから、約束しろってのォ───!!

お前と一緒に居ると、命が幾つあっても足りねぇーよ!!」

 2人の足元と頭を弓矢は(かす)め、そんな弓矢の雨の中を2人で全力疾走し、なんとか衛兵達からの追撃を2人は振り切ったのである───



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