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『パラド=スフィア物語』 -カルロス-(オリジナル)  作者: みゃも
第三章【キルバレスの大地より育まれ出でし……イモたち】
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 パレスハレスの近くにある貴族用の邸宅内に入り、中央階段を上がっていると。2階と3階の間にある踊り場で、ケイリングが頬杖をついて、こちらを不機嫌そうに半眼で見つめて待ち構えていた。

 相手は、マムシ程の恐ろしさではないけど……蛇に睨まれたカエルの気分、くらいにはなれそうだ。

「なんだか随分と、ご機嫌そうねぇ~? アヴァイン」

「……ハハ(汗) そうでもないよ」

 例えそうだったとしても、だ。今のでそんな機嫌とやらは、一気に吹き飛んじゃったろうしなぁー。

「そう、かしら?」

 なんだかこのまま、180度回転して、元来た道を戻りたい心境だけど。そうもいかないだろうなぁー……。

 仕方なく、アヴァインは吐息をついて。一段一段上がり、ケイリングの所まで来る。するとケイリングは犬でもあるまいし、クンクンと匂いを嗅ぐ仕草をしたかと思うと、ほぅと何だか安心したような吐息をついていた。

「女遊びをして来た、って訳でもなさそうだけど……アヴァインが外でお酒を飲むなんて、珍しいこともあるものね。どういう心境の変化? なんかあったの??」

「いや。たまたま、パレスハレスで昔の知り合いに会ってさ。それで……」

「それで、一緒に飲んで来た、って訳?」

「まあ~そんなトコ、かな?」

 あー……なんかヤバイな、こりゃどうも。ケイリングの奴、間違いなく怒ってるよ。

 今までの付き合いから、アヴァインは刹那的にそう感じていた。

「ふぅ~ん……。

だけど、アヴァイン。もう忘れちゃってるのかもしれないけどさぁー。あなたの仕事って、なに?」

「……え?」

「わたしを守ること、じゃなかったかしら? それを初日からイキナリ、ここに来て放棄したんだからね。この意味、少しは分かってる?」

「……あ(汗)」

 言われてみると確かにそうだ。今朝も『ちょっと、出掛けてきます!』の一言だけで、帰りはこの時間だ。ケイリングが不愉快になるのも頷けるよな。

 それに、着いて来ようとするケイリングを半場強引に説得して置いて、行った訳だしなぁー……。

「えーと……。

本当に、悪かったと思ってますよ、ケイ。今は特に、キルバレス内も危険だからね。

明日からは、ちゃんと守るからさ。今日の所は、これで許して!」

 それを聞いて、ケイリングは機嫌を少しだけ良くしてくれたみたいだ。

「ならば、よし! その代わり、明日はさ。わたしもどこかへ、一緒に連れてってよ♪」

「うん。じゃあーそうだなぁ~……良かったら、ルナ様のところへ。明日は一緒に、いく?」

「……」

 それを聞いて、ちょっとだけ悩んだ様子をケイリングは見せていたが「そうね……分かったわ。わたしも行く」と言って、3階の自室へと向かい階段を上がり始めた。

「シャリルって子には、最悪な位、嫌われちゃってたみたいだけど。ルナ様とは、もう一度会って、話もしときたいしね」

 シャリル様か……また、不機嫌にならなきゃいいんだけど。

「あ、そうだ」

 ケイリングが階段を上り切ったところで振り返り、手摺近くで両手と顎を乗せ、イタズラ心満面な表情でニヘラと笑み、言う。

「リリアも、明日にはここに来るそうなのよ。この前のコト、一応、明日にでも謝っとく?

わたしと一緒なら、話もし易いでしょ?」

「そ……そうだね(汗)」

 リリア・ホーリング様か……こっちも、まだ怒ってなきゃいいんだけど。

 リリア・ホーリングとアヴァインは、前に一度、見合いをさせられた仲だったが。結果、とんだハプニングから、アヴァインはリリアからフラれてしまっていた。

「まあ、もっとも。会った途端、1・2発くらいビンタされる覚悟はして置いたが良いと思うけどねぇ~っ♪」

 ケイリングはそこで、横目に意地悪くそう言い「それじゃあね、アヴァイン! アディオ~ス♪」と自室へクスクスと笑いながら入っていった。

「……はぁ~」

 アヴァインは、そこに一人取り残され。深いため息をつく───



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