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『パラド=スフィア物語』 -カルロス-(オリジナル)  作者: みゃも
第四部 第21章 【アヴァイン】
169/170

ー10ー


 結局、進軍は10日後となった。

 ワイゼル公国の首都エングラートは、城塞となっていて壁が高く厚みもあった。攻略するのはかなり難攻しそうだった。


 幸いワイゼル軍は城から撃って出て来た。ワイゼル軍20,000。旧キルバレス軍30000。


 アヴァイン軍、聖霊兵器12000。重装甲騎兵32000。フォスター軍、聖霊兵器10000。


 数ではアヴァイン軍が勝っていた。だが、ワイゼル軍と旧キルバレス軍は、ほぼ聖霊兵器で武装していた。

 

「聖霊兵器部隊前、一斉射撃後、後退し装填。重装甲騎兵、聖霊兵器部隊を追わせるな。突撃せよ!!」

「おおおおおおおおおおおおーーーー!!!!!!」


 両軍突撃し射撃。装填の為に、後退。重装甲騎兵はそのまま突撃し、薙ぎ払い切り、暴れ回る。その暴れ回る重装甲騎兵を聖霊兵器部隊は再び装填し、射撃! そうした激戦が続き、数時間後、お互い撤退した。


 アヴァイン軍はガイデスヘルム街まで撤退し、守りを固めた。


 上院宿舎の2階でアヴァイン達は寛いでいた。

「傷者の数が半端なくて困るよなぁ……」

「重装甲騎兵は傷者でしょうけど、聖霊兵器部隊は死者が出ています。出来れば、こちらにも重装甲の鎧が欲しいところですね」

「重装甲で聖霊兵器の装備が理想なんだろうけどね。当分の間は無理だよ」

「こちらも被害が出てるが、向こうも相当なようだからな、強引に押すのもありなんだろうけど……」

「無理せず、回復を待ってでも良いと思いますよ」

「回復を待ってからの方がこちらが有利になるからね。回復模を待ってからにしよう」

「あー、てことはまた10日は待機ってか」

「仕方ないですよ」

「10日が20日になっても戦力差がつくほうが有利だからね。気長にいこう」

 

 ワイゼル軍とアヴァイン軍とで比べれば、ワイゼル軍は戦線復帰が長期化する傷や死傷を負う者が多い。それに対し、アヴァイン軍は待てば聖霊兵器と重装甲鎧の新たな補充も見込まれる。優勢となるのだ。それもあり、アヴァインは長期戦を念頭に考えていた。



 15日後、再びガイデスヘルムの街からアヴァイン軍は出撃した。

 ワイゼル軍は今回も城から撃って出て来た。ワイゼル軍15,000。旧キルバレス軍22000。


 アヴァイン軍、聖霊兵器10000。重装甲騎兵31000。フォスター軍、聖霊兵器8000。


「聖霊兵器部隊、前進! 一斉射撃後、後退し、装填せよ。重装甲騎兵は突撃!!!」

 

 ここまではいつもの流れだった。だが、


「後方から、ワイゼル軍10,000来ます!!」

「──!?」


 ワイゼル公国のグリトール要塞からガイデスヘルムの街を通過し、後方より突撃して来たのだ。

 

「装填した聖霊兵器部隊は、隊列を取り、迎え撃て!!」

 後方で撃ち合いが始まり、拡散性がある分、命中力のあるワイゼル軍が初めは押していた。だが、数で勝るアヴァイン軍が徐々に押しやる。確実に致命傷も与えてゆく。

「押し込め!!」

「おおおおおおおおーーー!!!!!」


 アヴァインは先陣を切り、聖霊兵器を構えた。だが、そのアヴァインの肩にワイゼル兵の聖霊兵器が当たった。

 アヴァインは前のめりに倒れ、落馬だけは免れた。

「アヴァイン皇帝!!」

「……私は大丈夫だ。それよりも突撃せよ!」

「ハハッ」

 

 アヴァイン軍の勢いに押され、グリトール要塞の軍は撤退していった。そして首都エングラートの軍もそれに合わせ、撤退した。


 アヴァイン軍もガイデスヘルムの街へと帰還する。そしてアヴァインは直ぐに治療して貰った。鎧の装甲が厚かったのもあり、幸い命には別状なかったが、直弾というのもあり、回復には多少時間がかかりそうだった。


 ガイデスヘルムの上院宿舎の2階で、アヴァインはベッドに寝込みやすんでいた。

「つくづく迂闊だったよ……」

「心配するな。お前の迂闊は今に始まったことじゃない」

「酷い言われようだなぁ……」

「兎に角、アヴァインさんはゆっくりと静養してください。その間は、ファーさんがやってくれますから」

「まあ、オレに任せとけ! と言っても今回は傷者が多いから、長期間休養は確定だ。その間にアヴァインもしっかりと直しておいてくれよ」

「ああ、わかったよ」

「それにしてもグリトール要塞は厄介だな」

「フォスター国王に連絡して、キーリング·フィーリア側から5000程で抑えて貰いましょうか?」

「そうすりゃ、易易とは出て来ないだろうからな」

「そうだね。頼むよ」


 それから15日後、キルバレスから支援物資が届いた。聖霊兵器3,000、重装甲鎧6000である。それを受けて再び進軍をすることに決めた。


 ワイゼル軍は今回も城から撃って出て来た。ワイゼル軍13,000。旧キルバレス軍18000。


 アヴァイン軍、聖霊兵器13000。重装甲騎兵34000。フォスター軍、聖霊兵器7000。



 アヴァインはまだ完治していないので、後方で待機し、先陣と指揮はファー将軍に任せた。


「この戦いを最後とする覚悟でいよ! 聖霊兵器部隊全軍前進!! 射撃後、後方へ周り装填。重装甲騎兵は我と共に続け、突撃だ!!!!」

「おおおおおおおおおおおおおおおーーー!!!!」


 聖霊兵器同士の撃ち合いのあと、ファー率いる重装甲騎兵が突撃し、装填するワイゼル軍聖霊兵器部隊を撫で斬りにしていった。慌てて弾を落とす者、落馬する者、多数に及び、ワイゼル軍は混乱していた。そこへ旧キルバレス軍が突撃してくる。

「獲物が来たぞ! 迎え、突撃!!!」

 数でも装備でも勝るアヴァイン軍が旧キルバレス軍を圧倒していた。次第に撤退し始める。


「追撃せよ!!」


 ワイゼル軍は城門を通過し、守りを固めた。三階建の城門で、間々に聖霊兵器を撃つ為の穴が空いていて、そこから射撃してくる。


「距離を取れ!!」

 アヴァイン軍は下がり、聖霊兵器が当たらない所まで距離を取った。

 アヴァインはファーが居る前線までやって来た。


「このまま籠城戦になるかな?」

「出来れば避けたいところだけどな……」

「あの聖霊兵器を撃つ穴に聖霊砲を当てれば、被害を出せませんかね?」

「あの穴にか……」

 穴は、50センチ程の穴だった。


「やるだけやってみるか……幸い、ここだと精霊水には困らないからな」



 3日後、再びガイデスヘルムを出撃し、ワイゼル国の首都エングラートに到着した。今回はワイゼル軍は出て来なかった。


「聖霊砲を前へ!」

2頭引きの聖霊砲を近くまで運び、馬を外すと、車輪でエングラートの城門へと運び、10門を整然と並べた。


「よし、撃て!!」

 轟音と共に射撃され、城門に当たる。だが、聖霊兵器を撃つ穴には当たらず、魔障石が発動する聖霊障壁によって弾かれていた。


「都度、修正。いいか? よし、撃て!!」

 轟音と共に射撃され、今度は数門が聖霊兵器の穴に掠り城門内の奥の壁を粉砕していた。

 それを見てワイゼル軍は動揺している。


「都度、修正。いいか? よし、撃て!!!」

 再び轟音と共にに射撃され、今回は4門が聖霊兵器の穴に直弾し、城門内の壁を破壊していた。


 これは堪らないと、ワイゼル軍は城門から一斉に出撃してきた。それに対し、こちらも聖霊兵器部隊を並べ一斉射撃し、装填。重装甲騎兵が突撃し、薙ぎ払い切り倒してゆく。激戦だった。


「それを壊せ!!」

 ワイゼル軍の狙いは聖霊砲だった。聖霊晶を破壊しようと剣を刺したが割れず、逆に剣の柄で砕いていた。

 そうはさせるかと重装甲騎兵が聖霊砲を守り、切り、撃たれ、乱戦状態となっていた。最終的には、10門全て壊され、ワイゼル軍は撤退していった。


 アヴァイン軍はそれに追撃をかけた。


「突撃せよ!!」

 崩れ掛けた城門に突撃し、聖霊兵器の撃ち合いで双方被害を出しながら、そこへ重装甲騎兵が突撃し、城を目指した。

「アヴァイン! 無理するな!!」

「大丈夫だ!」

 その突撃する中にアヴァインも居た。


 城の前には、聖霊兵器部隊が並んでこちらを狙っていた。

 双方撃ち合い、アヴァインはまたしても今回は脚を怪我してしまったが、何とか耐えた。構え、撃ち! 装填し、構え、撃ち! 城の前の聖霊兵器部隊も崩れていった。その中に旧キルバレス軍がやってきて、こちらに突撃して来た。


「数が多いな……一旦下がるか。って、お前!?」

「大丈夫だ、わかった。そうしよう」

「一時、撤退!! 急げ!!」

 城門周辺では、まだ激戦が続いていた。

「アヴァイン皇帝を御守りしろ!!」

 全軍城門も出て、撤退した。


「……すまないな。足手まといになってしまって……」

「気にするな。お陰で指揮は最高に高まってたよ」

「このままガイデスヘルムに帰還しますか?」

「ああ、帰還だ」

「わかりました」


 全軍ガイデスヘルムへと帰還した。




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