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旧キルバレス軍の追撃を出している間に、フォスター国からの書状が届いていた。ディステランテ率いる軍勢が遂に進軍し、同時にワイゼル軍も攻めて来たらしい。その総勢5万。フォスター国は2万で応戦しているらしい。状況は厳しそうだ。
「5万か……」
丁度今、その兵力でここまで来ている。このまま進軍するのもありだが……。
「何を1人で悩んでんだ?」
誰かと思えば、ファーだった。コージーも隣に居る。
「フォスター国から手紙が来たんだけど……」
それをファーに手渡した。ファーはそれを読んで、肩を竦めた。
「逼迫してるようだな……」
コージーもそれを手にし読んでいる。
「うん……時間は余りないかもしれません」
「本来ならパレスハレスで会議を行い行軍するところなんだけど、それだと時間がかかり過ぎるからどうしたものかとね」
「まあ、そうだけど……。アヴァインは皇帝なんだから、即決して行動してもいいんじゃないのか?」
「フォスター国か……出来たらシャリルも連れて行きたいかな」
コージーがそんなことをポツリと言う。
シャリルは、フォスター国の国王カリエン·ロイフォート·フォスターの娘だった。だから、会わせてやりたいという思いで言ったのだ。
「そんな戦地に連れて行くのか?」
「やはり危険ですかね……」
「取り敢えず、ディステランテを追い払ってからが良いかも知れないね」
「で、どうするんだ? アヴァイン」
「一旦撤収して、パレスハレスで会議をやってからではひと月は要する。このまま行くことにしよう。
取り敢えず、各諸将を呼び集めてくれないか?」
「わかった」
各諸将を集め会議を行った。パーラースワートロームまでなので、最短でも3ヶ月は掛かる。それだけの長期間、5万もの軍勢を派遣することに難色を示す者も居たが、派遣することで話し合いは決着した。
「明日、早速出立する。あと、この要塞だけど、こちらで再建して利用する方向で手配した。キルバレスの守りに丁度いいからね」
「途中のオアシス·オルレアミスとアナハイトはどうする?」
「こちらに引き入れる。ディステランテとは、上手くいってないそうだからね。こちらに付くだろう」
「当然、話し合いか?」
「もちろん」
「だろうな」
「待ち伏せもあるかも知れないから、十分警戒していてくれよ。重装甲騎兵ファー将軍」
「わかってるよ」
次の日の朝早く、アヴァイン達は進軍した。これからアナハイトまで2ヶ月。更にパーラースワートロームまでひと月の道中である。フォスター国には手紙を送り、その旨を知らせている。支援物資の補給も欠かせない。軽騎兵を走らせ、周辺の警戒を行いながらの進軍であった。
2ヶ月後、アナハイトに到着した。旧キルバレス軍が大挙しているかと思えば、既にパーラースワートロームに全軍向かっていったらしい。
アナハイトのスカンク貴族員とアヴァインは面会し、アナハイトはこちら側に協力することで話し合いが決着した。その代わり、アナハイトの防衛を頼まれたが。