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『パラド=スフィア物語』 -カルロス-(オリジナル)  作者: みゃも
第四部 第21章 【アヴァイン】
163/170

ー4ー



 最高評議会議事堂パレスハレス内にて、この日、南部についての対応が議論されていた。


「アヴァイン皇帝の策により、アナハイトより軍勢がフォスター国に進軍したとの報告です。フォスター国からは救援の要請も来ております。この件について、議論して頂きたい」

「フォスター国に軍勢が動いたということは、南部の要塞が手薄になったということでしょうか?」

「そう聞いております」

「ならばこれを攻略し、フォスター国への救援を進めれば良いかと思います」

「で、実際のところ要塞にはどれ程の兵力が残っているのですか?」

「30000かと」

「3万か……それならば何とか出来そうですな」

「問題は要塞か……」

 その時、アヴァインがスッと手を上げた。

「これは皇帝陛下。どうぞ」

「今回新たに新兵器が開発されました。これは破壊力があり、貫通力もあります。これで要塞を破壊しようと思います」

「なんと、その様なものが……!」

 会議室内に実物が運ばれてきた。それは大きな大砲の様な形をしていた。


「これは聖霊砲と言います。飛距離は1キロメートル。使い方によっては戦闘にも使える筈です」

「しかしこれは騎馬に乗って……という訳にはいかなそうですな」

「はい。馬車2頭で運び、設置し使う形になります」

「使うまでに時間がかかりそうですな。欠点といえばそこですか?」

「ええ……そうなりますね」

「まあ、ここで議論ばかりしてても始まらん。兎に角、実践あるのみ。使ってみましょう」

「確かにそうですな」

「で、直ぐに動かせる兵力は?」

「50000ほどです」

「では、救援も来ていることだし、その兵力と新兵器で早目の日程で侵攻としましょう」


 結果、侵攻開始は一週間後と決まった。



 一週間後、予定通り進軍が開始された。要塞まで5日の距離である。アナハイト侵攻の際に以前作られた街道のお陰で聖霊砲の移動も思いの外スムーズであった。


 5日後、要塞付近に到着したが旧キルバレス軍は要塞から出ること無く立て籠もっているようだった。恐らく籠城戦の構えなのだろう。


「通常なら厄介だが、良い聖霊砲の的って所ですな」

「ハハ、良い結果を期待しますよ。

よし!射程内で設置してくれ」

「ハハッ」

 射程範囲は1キロある。軍勢は余裕を持って後方で待機し、敵が要塞から出て来るのを待ち構えた。


「よし! 放て!!」

 その指示を受け、全10門の聖霊晶が光り輝き、閃光が要塞に向かって走り直撃した。1メートル近い壁を粉砕して貫通し、その奥で火花が燃えている。


「おおおおあおあーーーー!!!!」

 歓声が上がった。


 その度に精霊水を1ガロン補充する必要があったが、その威力は凄まじかった。


 要塞内で旧キルバレス兵が混乱している様子が窺える。


「補充急げ! 用意次第、次々撃て!!」

 要塞を次々に貫通し、その機能を失い始めていた。


「……威力は凄いが、精霊水の消費量も半端ないな。なかなか多様は難しいか……」

 精霊水は聖霊兵器の弾薬の元である。一度に1ガロンという量はかなりの負担だった。


 要塞の至る所から火の手が上がり、壁は崩壊し、中の旧キルバレス軍は撤退し始めた。


「戦わずして逃げるのか……?」

「兵力を温存したいのかもしれませんな」

「追撃しますか?」

「……そうだね」

 余り好きではないが、フォスター国への救援を少しでも急ぐ必要がある。その為には少しでも数を減らしておきたい。

「よし、追撃しよう。重装甲騎兵は足が遅いが念の為、向かわせてくれ。聖霊兵器部隊を使って、出来るだけこちらの損害を出さない方が良い。頼んだよ」

 珍しいアヴァインの指示に副官は困惑したが、直ぐに命令に従った。




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